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異世界少女は殺し合う  作者: 廃丁
6/6

第6話 ダンジョン

次の日


三人は眠りから覚めた後

朝食を食べ少し遅めに外に出ていた


目指す場所は街から少し離れたところにある

初心者向けのダンジョン

通称『黄金の遺跡』


すでに三人は身支度を整え

ダンジョンの入り口に立っていた



「すこし緊張する」


「大丈夫よイスズ!

昨日も言ったけど

ここで死ぬようなことはないわ!

それにあたしたちがついてるから

安心してちょうだい!」


おじけづくイスズに二コルが激励する

そこに装備の最終確認を行っていたガレットがやってきた

彼の装備は重装備で鉄の鎧にかなり大きい金属の盾

そして西洋風の両刃の剣を腰に下げていた



「二人とも準備はいいかい?」


「ええ」


「大丈夫」



二コルはワインレッドのローブで頭には

いかにも魔法使いらしい

つば付きのとんがり帽子を被っていた


一方イスズは二コルから借りたグレーのローブを着ており

それ以外は二コルの予備の杖以外目立った装備はしていなかった



「じゃあ出発だ!」



ガレットが張り切って先導する

イスズは昨日の夜ご飯を食べながらしたした

打ち合わせの内容を思い出した


今回の攻略ではガレットを先頭に

真ん中にイスズ

最後尾に二コルを配置する

初心者のイスズを守りながら戦う

という作戦になった


イスズはガレットの後についていき

二コルは後ろを警戒しながら後をついていく

そう言う役割分担だった



ダンジョンの中は暗く

ガレットが持ってきたランタン以外の光源はなかった

しかし

このランタンの中には妖精が入っており

通常の炎のランタンよりもかなり光が強く

ダンジョンの中でも外のように明るかった



「イスズ

大丈夫そう?」



二コルは心配そうに声をかけてきた

当のイスズは多少の緊張があるものの

恐怖などは一切感じていなかった


「うん大丈夫

ありがとう」



二人が声を掛け合っていると

彼らの前方に動くものが見えた


ズズズっと暗闇から這い出てきたのは

ゼリー状の水の塊だった


「あ!イスズ!

これがスライムよ!」


スライムは空気が抜けたバスケットボールほどの大きさで

色は青緑色のクラゲのような見た目だった


「いい?スライムは動きは遅いけど

顔に張り付かれたら窒息する危険があるわ!

見付けたら早めに倒すのよ」


そう言って二コルはスライムに向けて

岩魔法を放った


こぶし大の鋭いつぶてがスライムに当たり

スライムは落としたゼリーのように崩れた


「スライムの大部分は水なのよ

本体はこのコア

これを中心にして体が出来上がるの」


そう言って二コルはスライムの中にあった

水色のビー玉みたいなものを取り出し

麻袋の中に入れた


「そしてこのコアをギルドにもっていくと

スライムの討伐報酬がもらえるのよ!」


「でも報酬は少ないけどね」


ガレットが残念そうにしながら話した

すると

また奥の方からスライムが出てきて

こちらに向かってきていた


「それじゃあイスズ!

あのスライムに覚えた魔法を使ってみて!」


「わかった」


二コルの言われた通りに

スライムに照準をあわせ杖をかまえる

そして自分の頭の中で水の矢を思い浮かべる


たちまち杖の先に水が生まれ

変形して先がとがった矢の形になる

これがイスズの昨日の特訓の成果だった


イスズは心の中で水の矢を発射する

すると矢がスライムに向かって飛んでいき

スライムを射抜いた


「やった」


イスズは喜んだがスライムの様子が変だった

二コルのようにスライムは崩れなかった

それどころかスライムは水の矢を吸収して

大きくなった


「え?どういうこと?」


「はい!イスズ

ここで魔物に関する重要な知識よ!

一部の自然物で構成されている魔物には

その構成されている物体の魔法は効きません!

それどころかあのスライムみたいに

強化してしまうこともあります

わかったかしら!」


「わかったけど・・・

それ口頭の説明だけでよかったんじゃない?」


「まあそうだけど

身をもって体験した方がわかりやすいと思ったの」



一見無駄に見えるこの教え方も

イスズのことを考えての二コルのやさしさだった

二コルがイスズに説明している間に

ガレットが肥大化したスライムを倒していた



「イスズ

スライムは俺たちに任せてくれ

君には別の魔物をやっつけてもらうよ」



ガレットがスライムのコアを回収しながら言った


「別の魔物って・・・」


「ネズミよ!

正確に言うならデブネズミっていう魔物だけど」


「ネズミ・・・」


イスズはネズミは嫌いではないが

良いイメージがなかった



「ここのスライムはあらかた倒したみたいだ

先に行こう」


ガレットが二人に呼びかけ

ダンジョンの奥へと進む


「二コル

さっきの岩を飛ばす魔法は何?」


イスズは先ほど二コルが使った

岩の魔法に興味があった

スライムにも有効な攻撃を覚えたかったのだ


「岩魔法のことね!

あの魔法は土魔法の応用だから

土魔法を覚えたら教えてあげるわ!」


「土魔法はどれくらいで覚えられるの?」


「そうねえ

水魔法を一日で覚えたし

二日もあれば覚えられるわ!

それに水と土それから火と風は

基本魔法だから

そのうち絶対に覚えることになるわ!」


「わかった

楽しみにしてるね」



そんな会話をしていると

右の壁からカサカサという物音が聞こえた


「何?」


イスズは思わず飛び退き杖をかまえる

前にいたガレットがイスズの前に出てきて

ガレットを先頭にイスズと二コルが

後衛を担う布陣となった


よく見ると壁には穴が開いており

穴の向こうは暗闇になっていた


「この穴は・・・

デブネズミの巣穴だ

二コル

イスズに倒し方を教えてやってくれ」


ガレットが穴を観察した後

二コルに向かって言った


「命令しないでちょうだい!

さあイスズ!

今回は水魔法が有効よ

あたしの魔法をよく見ておいて!」


そう言ってニコルは足元にあった石ころを拾い上げ

壁の穴の中に放り込んだ


すると

中から一匹のネズミの顔が出てきた

いやネズミにしては頭のサイズがウサギくらいはある

大きなネズミだった


「でたわね!」


その瞬間を逃さず二コルは水魔法を使い

水流を穴まで素早く伸ばした

ネズミを驚いて逃げるも水流にからめとられ

穴から引きずりだされた


「これがデブネズミよ!」


そう言って水の腕でネズミをつかみ

イスズに見せた


見た目はまるでモルモットだが

尻尾は蛇のように長く毒々しい色をしていた


「こいつは毒はないけど

なんでも食べるんだ

街にこいつがいるときは

大抵何かかじられてる」


「そう

だからこのデブネズミも

ギルドにもってけば換金してくれるわ!」


「それでどうやって持ってくの?

まさか生きたまま持ってく訳じゃないでしょう?」


イスズは二人に質問した


「もちろんよ!

こうやって水でデブネズミをくるんで」


二コルは杖を動かし

デブネズミの周りを水で満たした


「このまま放置すれば窒息死してくれるわ!

イスズが覚えてる水魔法でもできる

簡単な倒し方よ!」


こうして説明している間に

水の中のネズミはもがき始め

くぐもった鳴き声が聞こえ始めた


「結構グロイ殺し方なんだね」


「そうかしら?

血も出ないし原型も残るから

そんな風に考えたことはなかったわね」

「あ!

死んだみたいよ

デブネズミの死骸はスライムみたいなコアじゃないから

そのまま持って帰るのよ」


そう言って二コルは大きめの袋を取り出し

ネズミの死骸をその中に入れた


「こんな感じで魔物を倒すのよ!

さあ

イスズもやってみて!」




その後

三人はダンジョンのあちこちを回り

ダンジョン中のスライムとデブネズミを狩りつくした


「そろそろ良いころ合いね!

次に出てきた魔物を狩ったら終わりにしましょう!」


二コルがパンパンに張った袋を担いで

宣言した


今回の攻略でイスズは何匹ものデブネズミを捕まえ

魔物退治に慣れてきていた


ダンジョンでの勝手もなんとなくわかり

怪我をすることなくここまで来ていた



「ん

二コル

あそこの穴はまだ見てないよね」


「そうね!

じゃああそこで最後にしましょう!」


その穴は今までの比べると一回り大きかったが

隅の方にあって今まで気づかなかった穴だった


さっそくイスズは小石を穴の中に投げ入れ

デブネズミが顔を出すのを待った

しかしキーキーという鳴き声だけがきこえ

いっこうに太ったネズミの顔は現れなかった


「へんねぇ?

とりあえず水魔法で内部を探ってみてちょうだい」


二コルに言われた通り水流を作り出し

穴の中に入れる

水流が穴の内部をかけめぐっていた時

カーンという金属音とともに

水流が何かにせき止められた


不自然に思った三人は顔を見合わせ

壁を凝視する


「今の金属音だったわよね」


「俺もそう聞こえたけど」


「うん」


「ねぇイスズ

もっと水流を強められない?」


「?

やってみる」


二コルに提案され

水圧をあげる

すると壁の中からカタカタと金属音が聞こえてきた


「!

イスズ私の魔力も貸すから

もっと強くして!」


「俺も手伝う!」


二人はイスズの肩に手を置き

魔力をイスズに注いだ


水流はその激しさを増し

間部の中の音はガタガタと響いた


「あとちょっとよ!」


二コルがそう叫んだ瞬間

壁が水流で壊れて中から金色に光る塊が飛び出した


「あれは!

黄金の鎧!?」


ガレットが思わず叫んだ


「いいえ!

黄金の鎧をきた

ビッグサイズのデブネズミよ!」


二コルが物体をよく観察して叫んだ


確かにそれは

ネズミというよりも豚に近い大きさだった

そしてそのデブネズミが

キラキラ光る黄金の鎧を身に着けていたのだ


「すごいわ!イスズ!

最大サイズのデブネズミを捕まえて

そのうえ金の鎧まで見つけるなんて!

大手柄よ!」


「二コル!」


二人は喜んで抱き合った

そんな二人を見てガレットも笑みがこぼれ

ダンジョン内は幸せな雰囲気に包まれた


その後は捕まえたデブネズミを処理し

黄金の鎧を抱え町に帰宅した


そしてギルドで換金してもらうことになった


ギルドは街の中心地にあり

冒険者でにぎわっていた


イスズ達一行とすれ違う冒険者は

皆彼らのもつ黄金の鎧に目を引かれ

羨望の眼差しを三人に向けた



「換金をお願いします!」


ガレットがギルドの受付に話しかけた

受付は袋いっぱいのネズミと

何より金色の鎧を見て驚愕し

まさしく腰を抜かした


「えっとぉ

換金額は50万ゴールドです!

そうぞお納めください!」


受付嬢が金貨がたんまり入った袋を

5袋渡しガレットと二コルが受け取る


ちなみに宿の朝食が一人前で300ゴールドなので

50万ゴールドは彼らにとってまさしく大金だった


「よっしゃ!

イスズ!今回はお前がMVPだ!

ありがとな!」


それまでなんとなく距離の遠かったガレットが

イスズに感謝をした

イスズも照れながらうなづいて

喜びを隠しきれないようだった


「イスズ!今夜は何が食べたい?

なんでも食べに行けるわよ!」


二コルがはしゃいで喜び

イスズも一緒になって喜んだ


その日の夜は少し高級な店で夜ご飯を食べ

いつもの宿で二人用の部屋とシングルの二部屋を借りて

男女で分かれて眠りについた



「ねえイスズ?

あなたが来てから

いいことばかり起きるわね

もう少し一緒に冒険しない?」


「もう少しどころか

ずっと一緒にいたい」


二人はそうやって

一晩中おしゃべりして夜を過ごした

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