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異世界少女は殺し合う  作者: 廃丁
5/11

第5話 魔法

二コルの特訓は厳しいと自称していた割に

座学から始まった



「はい!

それじゃあ

あたしの言うことをよく聞きなさい!

そして!

私のことは二コル先生と呼ぶこと

いい?」



だだっ広い草原での青空教室は

二コルとイスズのマンツーマンで行われた



「はい二コル先生」



「よろしい!」



二コルは満足そうに口角をあげ

20センチほどの棒

もとい魔法の杖を取り出した



「まず魔法というのが何たるかを教えてあげるわ!

魔法とはこの世界にある自然現象を

魔力を介して再現することよ」



「自然現象を再現・・・」



話しの中で最も大事だと思ったことを復唱する



「そうよ

例えば水を例にすると

雨が降って川に流れて

海に注がれる

これが自然現象よ」



得意げに話す二コルだったが

イスズにはさっぱり内容が理解できなかった



「言葉だけじゃ理解しづらいわね

それじゃあ

今のを魔法で再現するわ!」



二コルはそう言うと魔法の杖をかまえて

意識を集中させた


すると雨粒大の水滴が現れ

杖の先端の数センチ先に浮かんだ



「これが雨粒よ

最初はこれから始まるの」



魔法を見せてくれるといわれて期待していたが

出てきたのが小さな雨粒でイスズは少し落胆していた


二コルは落胆するイスズをよそに

宙に浮く雨粒を凝視した


すると杖の先の雨粒が次第に大きくなっていき

ついにはサッカーボールほどの大きさになっていた


「このぐらいで十分ね」



二コルは満足そうに水球を見つめ

イスズに説明し始めた



「これが雨粒が集まった状態よ!

水魔法はこうやって作り出した雨粒を使って

発動するの

さあ見ててちょうだい!」



今度は杖を弧を描くように振り

上を見上げた


すると水球から水が立ち上り

上空へ流れていった

まさにそれは川のように流れ

曲がったり円を描いたり真上へ流れたりした



「すごい!

これが魔法・・・」


思わずイスズの口から感嘆の声が漏れる



「そうでしょう!

これが川の状態よ!

魔法を扱うということは

水を創造することと

水を操作する事で成り立ってるの」

「そしてその応用がこれよ」


二コルはそう言うと

また杖を動かした


それまで空中を自在に流れていた水は

一定の規則性をもって流れ始めた


それは優美な曲線でまるで何かの形を成しているようだった

やがて水の流れが定まるとそこには

水でできた竜が宙に浮いていた



「これが魔法の応用よ!

自然を再現した先で自分の想像を加える

この状態まで行けば魔法を攻撃に転用できるわ!」



そう言うと二コルは

杖を少し離れたところで素振りをしているガレットに向けた


そして二コルが「いけ」と唱えると

水竜はまっすぐガレットの方へと飛んでいき

とてつもない轟音と激しい水しぶきとともに爆発した



「どう?

これが魔法よ!

大事なのは創造と操作

応用はまだ二の次でいいわ!」



攻撃されたガレットが気になったが

魔法の凄さに驚いたイスズは

すぐに練習することにした



「先生!

私にもやらせてください」



「もちろんよ!」



さっそく二コルは彼女の予備の杖をイスズに持たせて

魔法の練習を始めさせた

その間にガレットが水浸しになって文句を言いに来たが

二コルが杖を向けて脅したことで退散していった


魔法の練習は難しいものだった

第一棒の先から水を出したことなど

人生で一度もないのだ



「はぁ!」



力を込めても何も出ず



「・・・」



心を無心にしても

雨粒のような水滴は出なかった



「んー教えるのって

案外難しいものね

私の師匠の言ったことをそのまま

教えたんだけど」



二コルが顎に手を当てて

考え込んだ



「師匠は他になんて言ってたかしら・・・」



この時イスズの中である疑念が生まれた

それは魔法はどうやって発動するのか、という問いだ

こんな超常的な現象はイスズの知ってる

物理法則では起こりえるはずがなかった



「ねえ二コル

魔法はどうやって動いてるの?」



「動く?

ああ!魔力のことを説明し忘れていたわ!

さっきも少し話したけど魔法は魔力を使って

発動するの!

魔力っていうのはたしか・・・」



そこで二コルの言葉が濁った

どうやら師匠とやらの言葉を

必死に思い出そうとしているらしい



「魔力は自然界に存在する

あらゆる物体に内包するエネルギー」



その時離れたところで素振りをしていたガレットが

いつの間にか近くに来て助け舟を出した



「そうそれよ!

魔力は空気とか食べ物とかにも含まれていて

それらを取り込むことで人間は魔力を補給するの

だからイスズが魔法を発動できないのは

魔力不足が原因かもね」



「じゃあどうすればいいの?」



「そうねえ

魔力は普通に生きてたら何となく貯まるものよ

でも今回はあたしが少し分けてあげるわ!」



そういって二コルは手を差し出し

握ってと言わんばかりに手のひらをこっちに向けた


イスズはその手に自分の手を重ね

少し待った


すると手と手が合わさっている隙間から

温かい何かが流れていのを感じた

それは瞬く間に全身を駆け巡り

体に新しい力が芽生えた感覚を感じた



「これくらいなら魔法も使えるでしょう!」



しばらく手を握った後二コルは手を放し

イスズの顔見た



「さあやってみてちょうだい!

まずは雨粒を創造するのよ!」



二コルの魔力が体に流れているのを感じる

足のつま先から頭のてっぺんまで

今までにない感覚が体中を駆け巡った


イスズは杖をかまえ

その先端に集中する


二コルが言っていたことを

頭の中で復唱し

水を思い浮かべる



すると杖の先に小さな水球が現れた

まさに雨粒ほどの大きさだったが

初めての魔法にイスズは感激した


「きれい」



ちいさな水球は太陽の光を浴びて

キラキラと輝き

まるで真珠のようだった



「まずは一歩目ね

さあ!次はこの雨粒を増やして

大きくするのよ!」



二コルは嬉しそうに

イスズに次の課題を提示した



「うん

やってみる」



イスズは再度杖を握りしめて

雨粒をたくさん思い浮かべた


するとブクブクと真球だった水球が変形し始め

次第にその体積を増やしていった


成功の喜びとともに

自分の身体から少しずつ魔力が抜けていくのを感じた



「その調子よ!イスズ!

そのまま水を操作してみて!」



二コルが激励し

イスズも水球に集中する


そしてこの水の塊が

一本の川になることを想像する


その途端

水の塊からまるで間欠泉のように水が噴き出し

はるか上空で散らばって大きな噴水のようになった



「すごいわ!イスズ!

魔法の創造と操作をこんな短期間でできるなんて

本当の大魔法使いにだってなれちゃうわ!」



イスズの魔法に

大喜びする二コルと

少し照れくさそうに微笑むイスズだった


気づけば創造した水球の水はすべて上空へ飛んでいき

水球はなくなってしまった



「二コル

ありがとう」



「いいのよ!

私も教えるの楽しかったし!」



二人は顔を突き合わせて笑いあい

また魔法の練習を再開した


そんな二人を怪訝な顔でガレットが見つめていた




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




その日は一日中魔法の練習をした

やることは最初の繰り返し


水を創造して操作する

魔力がなくなれば休憩して

二人でおしゃべりする


途中ガレットが合流し

ガレットに向けて魔法を放つ練習もした


おかげでイスズは魔法の感覚に慣れ

水の塊を四角や三角などの

単純な立体物に変質させられるようになった


日も暮れはじめ宿に戻ることになった三人が

オレンジ色に染まった街中を歩いていた



「それにしてもすごいわ!

イスズ!

まさか一日で水魔法を習得するなんて!

あたしでも二日かかったのよ!」



「二日か~

あんまり変わらないじゃん

もっとこう

習得に一年かかる魔法を一日で!?

みたいな感じかと思ってたのに」



イスズと二コルは一日で友達と呼べるくらいには

仲が良くなった



「フフフ

でも一年かけてもできなかった人もいるのよ~

ねぇガレット~」



二コルはそう言うと

二人の後ろをとぼとぼと歩いている

ガレットのほうを見て意地悪く笑った



「はぁ

俺には才能がなかっただけだ

それに俺は魔法じゃなくて

剣と盾で戦う方がかっこいいと思ってる」



「ガレットたら負け惜しみね~」



二コルにあおられたガレットは

二コルを睨みつけるが

街中で喧嘩するわけにもいかず

腕を組んで不機嫌そうな顔をした



「フフ

イスズ!明日はダンジョンに行くわよ!

魔法は実戦で使ってこそ伸びるものよ!

楽しみにしておいてね!」



「うん

わかった」



イスズはうなずき

二コルは嬉しそうにはしゃいでいた

ガレットはいまだふてくされていたが

ダンジョンに行くと聞いて組んでいた腕をおろして

二人に追いつくために足早に歩いていった




その日の晩御飯は宿の下の食堂で食べることになった



「それじゃあいただきま~す!」



二コルが音頭をとり食事が始まる

内容は人数分のパンと暖かい野菜のスープ

それと焼いた七面鳥のような料理が出てきた



「イスズ~

明日はたくさん動くわよ!

だから今日はたくさん食べなさい!」



「うん

ありがとう

いただきます」



礼を言った後

さっそくスープに手を付ける

味は少し薄味だったが野菜の甘みと

スープの暖かさが体にしみて

本当においしいと思えた



「それで

明日はどこのダンジョンに行くんだ?

まさかいきなり三つ首の洞窟に行くなんて言わないだろうな?」



鶏肉をナイフを使って切り分けながら

ガレットが二コルに聞いた



「もう決めてあるわ!

明日行くのは黄金の遺跡よ!」



「黄金の遺跡?」



イスズが聞き返すと

ガレットが教えてくれた



「黄金の遺跡は比較的弱い魔物が集まるダンジョンだ

スライムとか大型のネズミとか

攻撃されても致命傷になりにくい魔物が多いから

ビギナーの冒険者に向いてるんだよ」



「そうなんだ

なんで黄金って言われてるの?」



「かなり昔

その遺跡には黄金でできた彫像が多く保管されていたらしい

今は大部分が盗まれて行方不明だけど

その名残で今も黄金の遺跡って呼ばれてる」



「へぇ~~」



二コルが知らなかったとばかりに相槌を打つと

ガレットがため息をついた



「はぁ

二コルにはこの前話しただろう

聞いてなかったのか?」



「フフフ

ごめんガレット」



茶化すような笑みで謝り

ガレットは呆れる



「まぁ今に始まったことじゃないか」



その後も食事は続き

魔法のことやダンジョンのことを

話しながら楽しい時間が流れた


寝るときは私が目覚めた部屋で三人で寝ることになった

いつもは二コルがベットで寝て

ガレットが床で寝ているらしい


だが今夜はガレットが床に寝るのは変わらないが

イスズと二コルが狭いベットでともに寝ることになった

二人は身を縮こませてベットに入った


「明日楽しみね!イスズ!」



「うん

ちょっと心配だけど」



「大丈夫よ!

何かあったらあたしが守るわ!」



二人がひそひそと話す

しかしガレットにはうるさく聞こえた


「二人とも静かにして」



「は~い

ウフフフフ」

「フフフ」



二人はクスクス笑いながら

まぶたを閉じた

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