小学生編⑥
5年になっても両親の喧嘩は激化するばかり。
母がぶちギレては睡眠薬を大量に飲み、その枕元で父親が延々謝り続ける。
そんな光景をすでに100回は見たんじゃないかってぐらいだった。
もう両親の怒鳴り声にも慣れ、ギャーギャー叫んでる横で宿題するのも日常茶飯事だった。
そんな生活を続けていたある日。
ある日学校から帰ってくると、いつも迎えてくれる母がいなかった。
どこに行ったのか。
鍵が開いてるのにどこへ行くわけもない。
母を呼びながら探す俺。
・・・と、風呂場から物音がする。
行ってみると、母が手首を血まみれにして倒れていた。
あの凄惨な光景は死ぬまで忘れないと思う。
死ぬほど驚いて、焦った俺は救急ではなく急いで親父の会社に電話する。
父「どうした」
俺「お母さんが!お母さんが死んでまう!!どうしよ!手首が赤くて剃刀でびええうあええうあおえ」
涙で顔をびっしょびしょにしながら言うと、まず救急車を呼べとなだめられ、これまた泣きまくりながら救急車を呼んだ。
結果大事には至らなかったが、この事件は当時小学生の俺には衝撃的過ぎた。
が、それも母が似たようなことを何度も繰り返すうちに慣れてしまった。
よっぽど強く切らなきゃ手首切るぐらいで死なないことも分かった。
6年になる頃には、帰って来て母がそうなっていても、『あぁまたか。はやく病院行きや』ぐらいは言えるようになってた。
慣れって怖いね。
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こんな後味の悪い終わり方をするのも何なので、少し余談をば。
5年6年ともなれば、男ならそろそろピンク色なことに興味を持ち出してもおかしくはないだろう。
例にもれず俺もその辺はそれなりに健康で、公園に落ちてるガッサガサになったエロ本を友達と探しに行ったり、それらを自分たちの秘密基地に隠したり、自宅のあるマンションのポストに入るピンクチラシをポスト下の隙間に集めて友達とワイワイ鑑賞したりしていた。
そして決まって夜寝るときは俺の妄想タイムだった。
と言っても何かをするではなく、単に妄想するだけ。
クラスでいちばん好きな女の子と手をつないだり、いろいろな子に好きって言ってもらったり。
そんなハーレムを思い浮かべては、ちょっとした下半身の変化を感じながら眠りについていた。
これは悪いことなんだろうと何となく思っていたし、今となっては夜な夜な何をやってたんだと我ながら失笑してしまう。
だが、俺にとっては怒濤の一日を終えたあとの、ほんのわずかな休息だったのだ。




