第61話 裂けた戦線
尾張の平原での戦闘は膠着から一歩動き出した。
だが、七条の盾は新たな危機に直面する。
敵の策略により戦線が裂け、民と兵の命が試される瞬間が訪れる。
夕暮れの平原で、戦場は不気味な静寂を帯びた。
安土軍の増援が一度退いたかに見えたが、その裏で側面攻撃の準備が進められていた。
「殿、敵が左翼を突破しようとしています!」
真澄の叫びに、久貞は即座に反応する。
「左翼を守れ!右翼と中央から援軍を送れ!」
だが、風雨と戦場の混乱で、指示は完全には届かない。
一部の兵が動揺し、盾の列がわずかに裂け始める。
民も恐怖に押され、後方から声が途切れる。
久貞は短刀を握りしめ、裂けた戦線に飛び込む。
「退くな!我らの盾は民を守るためにある!」
その叫びに応じ、兵たちは再び盾を前に押し出す。
民も後方から声援を送り、勇気を振り絞る。
赤甲冑の安土将が突進してきた。
久貞は盾で民を守りつつ、敵を押し返す。
槍と矢が交錯し、戦場は混沌の極みに達する。
裂けた戦線は徐々に修復され、民の安全が確保される。
久貞は戦場の混乱を見渡し、冷静に次の作戦を考える。
「敵は増援を使い、我らの盾を崩そうとしている。
だが、民と兵を守る限り、盾は揺るがぬ。」
夕陽に赤く染まる平原。
裂けた戦線の隙間から見える民の顔に、久貞は覚悟を新たにした。
「これが七条の盾の強さだ。」
裂けた戦線は、七条久貞と兵、民の結束で修復された。
だが戦局はなお混迷を極め、次回、第62話「迫る夜の影」では、尾張の平原に新たな脅威が忍び寄る。




