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第二次戦国時代 ―令和動乱記―  作者: 足利
第一部第3章双極の覇道 ―安土と京―
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第9話 兄弟の誓い、国を裂く

信義と理想、二つの誓いが国を裂く時が来た。

七月。夏の陽光が琵琶湖の水面を焼くように照り返していた。

 安土での会談からわずか二週間、情勢は一変していた。

 政府内部では強硬派が主導権を握り、幕府の武装解除を要求。

 これに対し、家昌の側近たちは「屈辱である」として決起を宣言した。


 八条家太郎は必死に戦を避けようとした。

 「家昌は敵ではない。彼はこの国の未来を思っている」

 しかし、もはや誰の声も届かなかった。

 軍は独断で動き、皇都から戦車隊が出撃。

 安土へ向かう道すがら、民の避難列が幾重にも連なった。


 太郎は議場で演説した。

 「この戦は、我らが再び過ちを繰り返すことになる。

  我々が守るべきは権威ではなく、人の命だ!」

 だが議員たちは沈黙し、誰も動こうとはしなかった。

 太郎の拳が震えた。


 一方の安土では、家昌が苦悩の末に決断を下していた。

 「幕府の名において戦を止めよ。

  兄上との誓いを、我らが手で汚してはならぬ!」

 しかしその命令を無視し、真田廉率いる反乱派が皇都進軍を開始。

 事実上、内戦の幕が切って落とされた。


 七月二十九日。

 京都郊外・大津原で、両軍が初めて対峙する。

 蒸し暑い空気の中、兵の眼差しには怯えと覚悟が交錯していた。

 遠くで銃声が響く――それが、第二次戦国時代の開戦の合図となった。


 八条家太郎は報告を聞き、崩れるように座り込んだ。

 「兄弟の誓いは、こうして血に染まるのか……」

 そして、空を見上げる。

 かつて共に見た青空の、その奥に、まだ見ぬ未来があることを信じながら。

兄弟の絆が断たれ、令和の日本は再び戦国の闇へ堕ちていく。

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