第53話 民の叫び
尾張の平原で戦火が続く中、七条の盾は民を守りながら耐え続ける。
戦場に響くのは兵の声だけでなく、恐怖と覚悟に満ちた民の叫びも混ざる。
その声が、久貞の心と兵たちの意志をさらに強くする。
戦火で煙る尾張の平原。
七条兵の盾の列を、民が背後から支えている。
恐怖に震える者もいるが、戦場で生き残るため、盾を握る手を緩めない。
「殿、あそこです!民が攻撃を避けられず…!」
真澄の叫びに、久貞は瞬時に駆け寄った。
「皆、後ろに下がれ!盾を前に!我らが守る!」
兵たちは短剣を構え、槍を突き出し、民の前に盾を並べる。
恐怖に顔を歪める民の背を、七条兵は支え続けた。
赤甲冑の安土将が突進してくる。
久貞は短刀を握り、盾で民の命を守るために前に立つ。
「盾は民を守るためにある!」
叫びが戦場に轟き、兵も民も声を上げて応じる。
戦闘の最中、民の叫びが響き渡る。
恐怖や悲鳴だけではない。
「私たちはここで負けない!」
そういう覚悟が混じった声が、兵たちの背を押し、盾を強固にする。
久貞は目を閉じ、民の声を心に刻む。
この声こそが、七条の盾を支える力――理念を支える証だと。
戦場の赤い光が夕暮れに染まり、尾張の平原は焦土と化す。
それでも民と兵は立ち上がる。
血と泥の中で、七条の盾は揺るがず、民を守り続けていた。
民の叫びと兵の意志が、戦場で一体となった。
七条久貞の盾は、民を守るために揺るがぬ存在であり続ける。
次回、第54話「影の策略」では、戦局を変える新たな安土幕府の策略が描かれる。




