第51話 決戦開始
尾張の平原に夜明けが迫る。
安土幕府の増援が到着し、七条久貞と兵、民の盾は、ついに決戦の火蓋を切る時を迎えた。
全ての覚悟と理が試される瞬間である。
薄明の空に朝霧が漂う中、尾張の平原は戦場としての様相をさらに強めていた。
赤い安土の旗が揺れ、馬の蹄の音が地面を震わせる。
久貞は城外の高台に立ち、兵たちの士気を確かめる。
「民を盾にするな。我らは民を守る盾だ!」
その声に応え、兵たちは黙々と配置に就く。
民も恐怖に震えながらも、盾の列の背後に集まり、覚悟を胸に固める。
北の丘から安土軍の増援部隊が姿を現す。
赤甲冑の将が馬上で号令を上げ、槍兵が前進を始めた。
久貞は深呼吸し、短刀を握り直す。
「これが、七条の覚悟だ!」
七条兵は盾を連結し、側面からの突撃に備える。
真澄も槍を握り、民兵を守るために前線に立った。
「殿、右翼に敵が接近しています!」
「応援を送れ!盾を崩すな!」
久貞の指示が飛び、戦場は瞬く間に秩序を取り戻す。
火花と血、鉄と泥の匂いが立ち込める中、七条の盾は民を守り続ける。
安土軍の攻撃は熾烈を極め、盾の列にひびが入る。
だが、久貞は短刀で敵を阻みながら、声を上げ続けた。
「我らの盾は折れぬ! 民を守るために!」
戦場の中心で、久貞と真澄は互いに目を合わせ、無言の覚悟を確認する。
太陽が昇り、平原を赤く染める光が、二つの勢力の決戦の幕開けを告げた。
尾張の平原で、ついに決戦が始まった。
七条久貞と民、兵の盾は、安土幕府の剣に対して耐え続けられるのか。
次回、第52話「血に染まる平原」では、戦闘の激化と七条の理念が試される瞬間が描かれる。




