表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第二次戦国時代 ―令和動乱記―  作者: 足利
第一章 影の久貞(前半)
70/100

第40話 盾の誓い

父の言葉に再び立ち上がった久貞。

燃え尽きた城の中で、彼は“剣ではなく盾”としての七条を掲げ直す。

その誓いが、やがて幕府再生の火種となる――。

夜が明けきる前、城下の空はまだ赤く染まっていた。

煙の匂いと焼けた木の残り香が、風に乗って漂う。

民衆たちは不安と疲労に満ちた顔で、崩れた街並みを歩いていた。


そのとき、鐘の音が響く。

かつて政令を告げた大鐘――

もう誰も鳴らせる者はいないと思われていたそれが、再び鳴ったのだ。


「……七条様だ!」

誰かが叫んだ。


瓦礫の上に立つ影――久貞だった。

彼の鎧は煤け、腕は包帯で覆われていた。

だが、その瞳は燃えるように力強かった。


「民よ――」

その声は震えながらも、確かに響いた。

「我は七条久貞。かつて、この地に秩序を取り戻すために剣を取った者だ。

 だが、剣は人を守らぬ。守るのは“盾”であると、今ようやく知った。」


民衆のざわめきが止まる。

兵たちも手を止め、その言葉に耳を傾けた。


「我らはこれより、再び盾を掲げる。

 民を守るために、武を取る。

 怒りではなく、理で立ち上がるのだ!」


佐久間がその隣に立ち、叫ぶ。

「七条家は不滅なり! 信義の盾を掲げよ!」


その瞬間、誰かが地面に落ちていた幕府の旗を拾い上げた。

血に汚れ、焼け焦げたその布を、民の手が次々と支える。

やがてそれは、人々の頭上に高く掲げられた。


城下の空に風が吹く。

炎の中でもなお、旗は揺れた。

それは、滅びかけた幕府の「再生の象徴」だった。


久貞は深く息を吸い込み、呟く。

「父上……盾を掲げました。

 この盾が、再び人を守る日が来るように。」


空の彼方から、かすかな太陽の光が射した。

それは、長く続いた夜に差し込む初めての朝の光だった。

久貞は「剣の幕府」から「盾の幕府」へと理念を変えた。

民衆の心に再び火を灯し、七条家の信義は新たな形で蘇る。

次回――第41話「再生の行進」では、民と兵が一つに動き始め、

「大和幕府再起」の最初の一歩が描かれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ