第11話 静かなる接触
民衆の小さな抵抗は、夜の城下で徐々に形を取り始めていた。
第11話では、民衆同士の連携が進み、初めて互いの行動が接触する様子を描く。秩序と抵抗の微妙な均衡が崩れ始める伏線の章である。
瓦礫の街角に、民衆の小さな集まりが現れる。若者たちは火の揺らめきを目印に、互いに位置を確認しながら慎重に近づく。「今夜は、少し遠くの家にも届ける。小さな行動でも、連鎖させなければ意味はない」
路地の炭火は弱く揺れながらも、民衆の希望の象徴として光を放つ。街の隅々に潜む反抗の芽を、かすかに照らしていた。
商人や農夫も互いに手を貸し合い、物資を慎重に分け合う。布告による配給制限に不満を抱きつつ、目立たぬよう行動する。子供たちは親の背後に隠れ、息を潜めながら、微かな希望を胸に抱いた。瓦礫に覆われた街は秩序の陰に押さえ込まれているが、民衆の火は確実に揺れ続けていた。
城内、大和城の会議室では、久貞が参謀たちに民衆動向の報告を求める。「将軍閣下、民の行動は互いに接触し始めています。小さな連鎖ですが、夜の城下では影響が出始めるでしょう」
宗盛は眉をひそめ、「将軍閣下、このままでは小さな火が大きな炎になる可能性があります」と答える。
久貞は冷たく視線を巡らせる。「見逃すな。秩序を乱す芽は必ず摘む。民の反抗は徹底的に制圧せよ」
参謀たちは葛藤を抱えつつも従い、夜の城下での小さな接触を静かに見守る。
深夜、城下では民衆の小さな行動が次々と増え、物資を隠す者や配給を拒む者が現れる。幕府兵が巡回する中、民の目には恐怖だけでなく、微かな希望も宿る。瓦礫の街角で、民衆の小さな怒りは静かに渦巻き、秩序の影に抑え込まれながらも、やがて幕府の安定を揺るがす炎へと変わろうとしていた。
久貞は城の高台から夜景を見下ろす。民の声も、揺れる火も、すべて秩序の影に押さえ込む。彼の意志は鋼の如く冷徹で、民の抵抗の芽にまだ気づかぬまま、夜を支配していた。
民衆の小さな接触は、静かに連鎖の第一歩を踏み出した。
第11話では、秩序と抵抗の均衡が微妙に崩れ始め、次章での大きな動乱への伏線が形作られる。




