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第二次戦国時代 ―令和動乱記―  作者: 足利
第一部第5章 黎明の乱 ―最後の戦い―
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第14話 決戦、東山原

冬の京、宿命の兄弟が再び相まみえる。理想と現実、最後の戦いが始まる。

冬の終わりを告げる冷たい風が吹き抜けた。

 京の東山原――そこは、かつて桜が咲き誇った平野だった。

 今は、重戦車の轍と土嚢の影に覆われている。


 安土幕府軍八万、榊原征人率いる旧皇軍残党十一万。

 両軍は、わずか一里を隔てて対峙していた。

 白い息が朝霧に溶け、兵たちの鎧が凍りつく音だけが響く。


 宿政は本陣の指揮台に立ち、双眼鏡を下ろした。

 「これが……我らの国の末路か」

 その言葉に、美鈴が息を詰めた。

 「兄上、まだ道はあります。――今こそ理想を貫く時です」


 宿政は彼女に微笑みを返す。

 「そうだな。……ならば最後まで、私の信じる道を進もう」


 一方、榊原の陣では、血のように赤い軍旗が風にはためいていた。

 「和平など偽りだ!」

 榊原征人の怒号が轟く。

 「この国は再び、剣の力で立つのだ! 宿政は弱者の象徴に過ぎぬ!」

 その眼は狂気にも似た光を宿していた。

 長年の忠義が、理想への憎悪へと変わっていた。


 やがて太鼓が鳴る。

 先陣が動いた。鉄の轟音、ミサイルの閃光。

 大地が裂け、空が燃え上がる。

 戦乱の音が再び京の空を染めた。


 宿政は震える手で通信機を掴む。

 「前線に命ず。攻撃を停止せよ。――捕虜も民も守れ!」

 その声に幕府の将兵たちは戸惑う。

 「しかし、殿下! 敵が迫っております!」

 「構わぬ! 民を守らずして、我らが何を守る!」


 榊原軍は怒涛のように押し寄せる。

 砲弾が宿政の本陣近くに落ち、爆風が幕舎を吹き飛ばした。

 美鈴が駆け寄る。

 「兄上! ここは危険です!」

 宿政は立ち上がり、血に染まった旗を見つめた。

 「この旗が倒れぬ限り、理想は死なぬ……!」


 その時、空を裂くような轟音が鳴り響いた。

 上空に、中央政府軍の戦闘機群が現れたのだ。

 彼らを率いていたのは、かつて宿政と敵対した兄・家太郎だった。


 「兄上……!」

 無線から、老いた声が響く。

 『宿政、退け。これ以上の流血は、私が許さん。』

 宿政の瞳に涙が滲んだ。

 「兄上……あなたも、理想を信じてくれたのですね……!」


 空からの爆撃が榊原軍の後方を切り裂き、戦況は一変した。

 榊原征人はなおも剣を抜き、最後の突撃を敢行する。

 「宿政――貴様の理想、今ここで斬り捨てる!」


 両軍の中央、土煙の中で二人が対峙した。

 長き戦乱の果て、言葉はもうなかった。

 ただ一閃――。


 榊原の刃が宿政の頬をかすめ、宿政の佩刀がその胸を貫いた。

 榊原は血を吐きながら笑った。

 「……理想で……国が……救えるとでも……?」

 宿政は答えず、ただその身体を抱きとめた。

 「征人……お前もまた、この国を想っていたのだな……」


 榊原は微笑みを浮かべ、静かに息を引き取った。

 雪が舞い、戦場に静寂が戻る。

激戦の果てに残るのは、勝利か理想か。宿政の選択が未来を決する――。

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