表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第二次戦国時代 ―令和動乱記―  作者: 足利
第一部第4章 宿命の継承 ―宿政の時代―
10/100

第10話 静寂の芽吹き

戦乱の果て、新たな世代が希望を紡ぐ。だが、その影には再び嵐の気配が――。

安土決戦から一年後。

 戦火はようやく収まりを見せたものの、日本の大地には深い傷が残っていた。

 多くの都市は廃墟と化し、中央政府の支配力も形ばかり。

 そして、安土幕府の若き将軍――八条宿政やつじょう・やどまさが静かに登場する。


 宿政は、かつての将軍・八条家御の次男であり、家昌の甥にあたる青年であった。

 二十六歳。細身の体躯に長い黒髪、そして透き通るような瞳。

 彼は、戦乱の中で唯一「人を憎まぬ将軍」として知られていた。


 彼のもとには、戦で傷ついた民、職を失った武士、そしてかつて敵であった皇軍兵士までもが集まり始めていた。

 宿政は安土城の政庁で告げた。

 「幕府は戦うためではなく、民を守るためにある。

  兄弟が争い、民が泣いたこの国を、再び同じ轍に踏み込ませてはならぬ」


 その声は穏やかで、しかし確かな力を帯びていた。

 彼の治世が始まるにつれ、安土の街は急速に秩序を取り戻していく。

 戦後の荒廃から立ち上がる希望――それが、宿政の政治の基礎であった。


 一方、京の中央政府では八条家太郎が老いを隠せずにいた。

 「宿政という若き将軍……あの者には、兄たる家昌の理想が宿っておる」

 太郎は、宿政の評判を聞きながらも、心の奥に複雑な思いを抱く。

 かつて自分が掲げた理想――令和律令――が、戦の果てに歪み、そして今や若者の手で新たに生まれ変わろうとしている。


 その時、富士川弘が静かに告げた。

 「太郎様。宿政殿は、和議を望んでおられます」

 「……和議?」

 「はい。幕府を国政の一翼として、再び中央との共存を提案なさると」


 太郎は長く沈黙した。

 そして、窓の外の灰色の空を見つめながら呟いた。

 「ならば――私もまた、最後の戦を終わらせねばならぬな」


 こうして、再び歴史は動き始める。

 しかし、その裏で暗躍する者たちがいた。

 宿政の平和路線を快く思わぬ、旧幕府の強硬派・真田廉の残党、そして中央政府の過激派たち。

 彼らの思惑が、静かに次なる嵐を呼び寄せようとしていた。

平和を願う宿政の理想。その光が、古き闇を呼び覚ます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ