サボタージュ
シアは真面目で要領がいい子だ。家政の仕事は順序立ててこなしているし、俺の授業もすんなりと内容を理解して律儀に復習までしている。
問題は……、俺と違って真面目すぎることだな……。
「……はぁぁ……」
ウルフヘアの頭を掻き乱しながら、つい遠い目をしてしまう。
俺の前には散らかり始めた魔術工房が広がっている。
いや、俺が掃除をサボっているわけではない。そもそも俺にとって工房の掃除は優先度が低いのだ。普段は古代魔術師らしく調べ物と術式開発に重きを置いて行動し、空き時間は書庫で過ごしているのだから仕方がない。
工房の掃除は気分転換を兼ねてやっている程度だ。だから徐々に散らかっていくのは自然なことで仕方がないのだ。
換気のために開けた窓から外を見ると、手入れをほぼ放棄している薬草畑が見えた。
畑といってもさほど広さはなく、ちょっと広めの花壇程度だ。放置しているせいで半ば茂みと化している。
植えている薬草の大半はポーションの調合に扱う品種で、珍しい物は特に植えていない。そもそも必要な薬草はほとんど森で採集しているから薬草畑の意味がない。
いっそのこと畑は潰してしまってもいいかもしれない。
……よし、燃やすか。
幸いなことに燃やして有害となる薬草は植えていなかったはずだ。
燃やして、潰して、跡地は……、どうしようか……。
「はぁ……」
ダメだ。考えることが面倒くさい。頭が回らないしやる気も出ない。今日はきっと何をしてもダメな日だな。
ため息をつきながら頭を振っていると、ドアからコンコンとノックが聞こえた。
「テオ様、昼食が出来ましたよーっ」
「わかった、今行くよ」
張り切った声にフフッとなりながら窓を閉めて工房を出ると、シアがホッとした表情で嬉しそうに俺を見上げた。
配膳は一緒に行うのが自然と決まりになっている。
鳥挽き肉と葉物野菜が入った溶き卵スープ。
とろけ加減が絶妙なチーズトースト。
美味そうな焼き目がついた厚切りハムとソーセージ。
そしてデザートには先日買った初物の大粒ブドウ。
「お味はどうですか?」
シアの料理が不味かったことなどない。たまに冒険した料理を作ったり少し焦がしたりしても、味そのものはまったく問題がなくて美味いのだ。
シアの料理は素材のよさと旨味が十分に活かされていて落ち着く味わいがある。
困った時はとりあえずトマトとベーコンでごり押す俺とは大違いだ。
「うん、美味いよ」
「よかったぁ……」
俺が感想を告げるとこうしてふにゃっとした笑みをするのも定番だ。
スープは挽き肉にした鳥肉から旨味と油がしっかりと出ている。ふわふわな溶き卵も口当たりがよくて美味い。
食べるタイミングと逆算して焼いたチーズトーストのチーズも実にいい感じだし、ハムとソーセージの焼き加減も上手い。
これが俺だったら肉をわざわざ挽き肉にはしないし、卵のふわふわ加減やチーズのとろけ加減、ハムとソーセージの焼き目もここまでこだわったりしない。シアは本当に気配りができる子だな。
ちなみにチーズはシアの好物だ。シアはまだ酒が飲めない年齢だが、俺がチーズをツマミに晩酌する時には果実水で同席して一緒にチーズを楽しんでいる。
機会があれば酪農大国ファルムへと小旅行に連れていって、現地で多種多様なチーズを味合わせてやりたいものだ。
「いつもシアの料理が楽しみだよ」
「っ! あ、ありがとうございますっ」
俺が素直に言うと、シアは少し照れたように笑いながらお礼を言った。本当に嬉しそうだ。
最初はシアの自己肯定感の低さをどう上げていけばいいのかで悩んだものだが、こうした日々を積み重ねた成果が実を結んできたんじゃないかと思う。
そのタイミングで起きたのが、先日のレオの一件だ。シアがこの半年間で築いてきた自信を瓦解させるのではと心配したが、その被害は最小限で抑えることができたようだ。もちろん楽観視はしていないから今後もケアしていくとも。
あ、そうだ。今度レオに会った時はスパイク付きブーツで一発急所を蹴っておこう。
あの後アネキがやや本気で締めたと聞いたが、それだけだと俺の気が収まらない。
ウチのシアに精神的ダメージを食らわせたんだからな、俺からも一発仕返しをしておかないと。
「さ、そろそろ片付けようか」
「はいっ」
食休みの後は一緒に後片付けを行う。これも自然と決まった流れだ。
「よいしょっと」
小さく呟きながらシアが蜂蜜色の魔力を操って水道の魔道具を使っている。
以前のシアは俺が作った魔石のペンダントを利用して魔道具を使っていたが、最近は自分の魔力を使うようにと指導している。魔力の扱いに慣れる練習にはちょうどいい。
魔石の魔力を使わなくなったとはいえ、シアは魔石のペンダントを肌見離さず身につけている。
お守りでもあるから身につけていて正解だが、たとえそうでなくてもシアはペンダントを大事にしてくれることだろう。嬉しいことだ。
「あっ」
キュッと蛇口を閉めたシアがふと俺を見上げた。
「そういえば。テオ様、レガリオ様が言っていた大事な会議っていつなんですか?」
「……」
ほら、やっぱりシアは真面目だ。そんなどうでもいい情報は忘れたままでよかったのに。
じっと俺を見つめる素直な視線が痛い。
「ん、あぁ……。来月だ、来月」
「落葉の月の、いつですか?」
適当にはぐらかそうとした俺を追撃する笑顔……、絶対にルナの影響だろう。怖いからやめてくれ。
居たたまれなくなって思わず目線を逸らす。
「……中旬……」
「具体的には、いつですか?」
「…………十日から十二日までの三日間だ」
渋々と白状すると、シアはフムフムと頷いている。
リビングの壁掛けカレンダーに大きく印を書かれそうだな……。
「どんな会議なのか訊いても大丈夫ですか?」
シアが無邪気にコテンと首を傾げながら訊ねてくる。
う……、無垢なシアの視線が俺の怠け心をグリグリと抉る……。
俺は盛大なため息をついた。
「上位階級の現代魔術師と古代魔術師が集まる場だ。内容は大魔術協会の運営関連から魔術研究の発表やら討論会やらと様々だ」
「おーっ、凄そうですっ。テオ様は何かするんですか?」
しない。したくない。
だからシア、頼むからそんなキラキラした目で俺を見ないでくれ。
この場から逃避したい衝動を堪えつつ、俺は頭を乱暴にガシガシと掻いた。
「するとしたら、大森林と魔獣の現状に関する報告だ」
「かっこいいです、テオ様っ」
「面倒くさいだけだぞ? いつもは報告書の提出だけで済ませているし、今回は特に報告することもないから本当に何もしない」
「そうなんですね」
「そうなんだよ」
そう。だからわざわざ出席する必要性を感じない。俺は席に座って他の報告やら発表やら討論やらを聞くだけだ。面倒くさい。
だからと総会中に居眠りを装いつつ書庫でサボれば、傍の席にいるアニキ達に速攻でバレてしまう。これだから古代魔術師相手は厄介で困る。
「全然楽しくないし、退屈で俺は寝るぞ」
「えっ、やだ。テオ様、寝ちゃ嫌です。ちゃんとしてください」
「……あ、ああ」
シアにそう言われると俺は妙に弱い。
はぁ、仕方がない……。当日はそれっぽく見えるように振る舞うとしよう。
「真面目にローブを着て行くか……」
「いつもと違った服装で行くんですか?!」
無意識の呟きにシアが反応してしまった。
拳を握りしめたシアが期待に満ちた目を大きく見開いて俺をじーっと見つめてくる。
そういえばシアにローブ姿を見せたことがなかったな。
「一応、な」
「うわぁ……っ! 楽しみですっ!」
……しまった。無駄にハードルを上げてしまった気がする。
そもそも俺がいつも似たような服装で変わり映えしないのが原因か。はたまた擬態を解いた後の俺に触発されたのか……。
普段の俺が擬態状態だと明かして以降、俺は夜の風呂から朝の身支度までの時間を擬態なしで過ごすようになった。
ここ数年は就寝中も擬態のまま過ごしてきた俺としては少し違和感があるのだが、シアが俺の瞳と髪を気に入ったのだから仕方がない。
擬態を白状する前はシアに不気味がられて嫌われるのではと恐れていたのだが……、まさかシアのお気に召すとは予想外だった。
擬態を解いた状態のままリビングのソファでだらけているとブラシを持ったシアが嬉しそうに寄ってきて、俺の髪を好きなように梳かしたり結ったりして遊ぶのだ。
俺の髪を弄るシアは鼻唄を歌うほどご機嫌で楽しそうだし、俺も悪い気はしないから好きにさせている。
……まさかこれがシアにもふられている時のリーやセブの気持ちか? だとしたら複雑なんだが。
俺は気を取り直してシアに問い掛けた。
「俺は朝から夜までいないんだぞ? しかも三日間だ。もちろんセブ達はウチに残していくが、俺がいなくて本当に大丈夫か?」
これまで俺が家を不在にする時間といえばせいぜい買い出しへ出掛ける数刻程度だった。だが今回は三日間に渡って朝から夜までと長時間だ。
総会後には飲み会の類いもあるのだろうが、俺は絶対に参加しない。
面倒くさい連中に絡まれるのはごめんだし、俺は家で静かに飲む方が好きだ。何がなんでも一刻も早く帰宅するぞ。
シアの留守が無理そうなら総会へ行くこと自体をやめにしよう、そうしよう。
そんな俺の淡い期待を粉砕するように、シアは呆気なくコクンと頷いた。
「大丈夫です。読み書きのお勉強をしたり、星空へ行ったりしています」
星空とは以前に解放したシアの内面世界だ。
あの日に埋めた種はシアの成長と呼応して発芽し、今ではシアの肩の高さまで成長した若木となっている。澄んだ蜂蜜色の幹と星空を映す若葉が美しい若木だ。もう少し枝が育てば魔術触媒の杖としても使えるだろう。
シアはまだ魔力の操作に慣れる段階だ。古代魔術の習得には手をつけていないから古代魔術師とはまだ呼べない。
自分の空間で過ごす時間は魔力との親和性を高める大切な時間でもあるから、行く分には問題ない。むしろどんどん行って構わない。俺がガキの頃なんて数日間ぶっ通しで籠ったものだ。
ああ……、俺も総会の会場よりも書庫でぼんやりしていたい……。古代魔術師としてはそっちの方が遥かに有意義な時間の過ごし方だろう。
だがダメだ。俺がサボって書庫へ行くと師匠とルナは恐怖の笑みを浮かべつつも黙認するだろうが、その代わりにレオが口うるさくて面倒だ。
「あとは縫い物で小物を作ったりしようかなぁ……」
どんどん気落ちしていく俺とは正反対に、シアは俺が留守にしている間のプランをあれこれ楽しげに考えているようだ。
もちろん好きに過ごしてもらって構わない。……シアが楽しんでいる間、俺は観念しておとなしくしているさ……。
「はぁ……」
昼食の片付けを終えた俺は気分転換に庭へと出た。
カラッと乾燥した秋の空気が心地いい。森の木々も鮮やかに紅葉しており、森からほんのりと金木犀の香りがしてくる。
シアが育てている花壇を見ると、色とりどりのコスモス達が風に揺れていて実に賑やかだ。家事と勉強もこなしつつよく手入れをしているものだと本当に感心してしまう。
それに比べて、薬草畑は……。
「やっぱり燃やすか」
「は?」
ボーッとしながら物騒な独り言を呟いていたら、洗濯物を取り込もうと外へ出てきたシアに引き気味の目を向けられてしまった。
「え? テオ様、何を言っているんですか?」
「薬草畑を焼き払って更地にしようかと」
「ええ……? その後はどうするんですか?」
「考えていない」
「ちょっと無計画すぎますよ、テオ様。それに私は薬草畑のハーブを料理に使っているから困ります。ディルとかチャイブとか」
「あ、そうか」
そういえばそんな物も植えていたな……。最近はあまり自分で料理を作らないから失念していた。
シアお手製のハーブバターがこれまた美味いんだよなぁ。肉にも魚介にもパンにもよく合って……。
そんなことを呑気に考えていたら、シアにため息をつかれてしまった。
「ちゃんとお世話をしてくださいね、テオ様。薬草畑はテオ様が管理するって言っていましたよね?」
「…………はい」
ごもっとも。耳が痛い。
自由奔放な薬草畑を前に後頭部を掻き乱した俺は、気合いを入れ直して物置小屋から農作業道具を取り出した。
ちくしょう、こうなったら徹底的にやってやる……!
久しぶりに魔術を使わずに全力で土いじりをしたおかげで見事に汚れた俺は、まだ夕方だが早めに風呂に入ることにした。
ウチの風呂はアルドリール北部にある温泉郷から空間接続して引いた温泉だ。
源泉を利用するには利用料の徴収やら面倒な手続きやらが必要なのだが、その辺のことは協会の担当者に丸投げしている。こういった時に魔術公の立場は実に便利だ。
国にとって力のある魔術師は脅威の存在であり、有事の際は強大な戦力となる。魔術公といった上位階級の肩書きなど聞こえはいいが、言い換えれば国と協会の首輪付きだろう。
ならばこちらとしては使える権限と権力は最大限に利用しなければ損だ。
「あー、だる……」
風呂の時は擬態を解いているから、長い髪を洗うのが面倒くさい。ま、乾燥は魔術で手抜きするからまだマシだがな。
「……ひぇっ! テオ様っ、ちゃんと着てくださいっ!」
擬態を解いたまま風呂上がりにキッチンで水を飲んでいると、俺を見てギョッとしたシアが顔を伏せながら背中をバシバシ叩いてきた。
「ん? ああ」
何を慌てているのかと思えば、寝間着の前ボタンが全開だからか。そんなに驚くことか?
「風呂上がりで熱いんだよ」
「私に見えない所で涼んでいてくださいっ。恥ずかしいですっ!」
「えぇぇ……?」
恥ずかしいとは酷くないか?
俺はレオと違って運動嫌いだが、魔力鍛練である独特な呼吸法の副産物として軽く腹筋がついている。だから腹は出ていないし、一応だらしのない体つきではないつもりなのだが。
「ほらっ、こっちにいてくださいっ!」
そんなことを考えていると、強引に背中をグイグイと押されてソファに座らされた。
シアの耳が真っ赤だ。思春期は扱いが難しいなぁ……。
しみじみと思いながらキッチンのシアを眺めていると、シアはテキパキと夕食作りの準備を始めた。本当によく動く子だ。
「シア、何か手伝おうか?」
「来ないでくださいっ。心臓に悪いですっ!」
「ええぇ……?」
俺の扱いが雑すぎないか? ルナの影響か?
シアがまだブツブツと文句を言っているようなので、俺はシアの視界に入らないようにとソファに寝転んだ。
男親に対する娘の反応ってあんな感じなのだろうか……? だとしたら何とも世知辛くて難しい。
あぁいや、そもそもの視点が違うな。シアにとって俺は師匠かつ同居家族というか……。とにかく、手本となる大人としてはこのままではダメなんじゃないか? シアの道標となるように俺がちゃんとしないと。
……ま、面倒くさがりの俺がどこまでちゃんとできるのかは謎だがな……。
そんなことを考えつつぼんやりしていると、肉を焼くご機嫌な音がしてきた。
土いじりで動いた後だから腹が減っている。いい音と匂いだなぁ……。
「テオ様ー、配膳手伝ってくださーいっ」
「はいはい」
「あっ、ボタンを掛け違えていますよ」
「ん? ああ、気付かなかった」
「まったく、もう……っ」
シアに呆れられながら配膳を手伝って、テーブルを囲む。
真っ白でツヤツヤな炊き立ての新米。
米がどんどん進むポークチャップ。
味わい深い秋のキノコスープ。
新鮮なレタスとブロッコリーのサラダ。
癖になるカブとキュウリのピクルス。
「おいリー、少し落ち着けって」
俺の膝に乗ってきたリーが、早速俺の皿に狙いを定めて前のめりになっている。
リーは俺の分を食いたがる面倒な性格をしており、最初からリーの分として別に取り分けておいても絶対に食わない。仕方がないので俺の皿からリーの分を小皿へ取り分けるという作業が必要になってしまう。まったく、誰に似たんだか。
「ふふっ……」
小皿の豚肉をハグハグと噛みしめるリーをシアが嬉しそうに眺めている。
シアが嬉しそうなのはいいんだが、リーに膝を占領されている間はどうしても食事の手が止まるんだよなぁ……。
シアは動物が大好きだ。俺の使い魔達にも怖じけることなく触りに行くし、森で見掛ける野生動物や低級の魔獣にも興味津々だ。シアにまだ会わせたことがない使い魔の飛竜を見せたらどんな反応をするんだろうな。
「リー、食い終わったのならさっさと退い――おいこら、肩に乗るなっ。髪を乱すなッ」
とてつもなく邪魔だ……。
調子に乗ってじゃれつくリーを無理矢理床へと下ろすと、一連の流れを見ていたシアが楽しそうにクスクスと笑った。
俺はやれやれと苦笑混じりのため息をつきながら、髪を緩く一つに束ね直して食事を再開する。
ハーブ入りのピクルス液にしっかりと漬かった野菜達はやみつきになる味だ。安心する家庭の味、という奴だろうか。これをツマミに酒を飲むとまた美味いんだよなぁ。
そしてこのポークチャップの美味さよ……。濃いめの味付けで米との相性が最高だ。パンに挟んでも美味いんだろうが、ここは米で間違いない。
俺の好みを知っているから、シアはこうして週に何回かトマトを使った料理を作ってくれる。俺が教えた自家製トマトソースの作り方もバッチリだ。
「美味いなぁ」
「えへへ……」
俺が褒めるとシアは頬を少し紅潮させてはにかんだ。えくぼが可愛らしい。
半年前と比べたら本当に表情が豊かになったし、あのやつれ果てた姿からは想像がつかないほどに健康的になった。このまま健やかに成長して欲しいものだ。
シアはどんな大人の女性になるのだろう? ……見本となる身近な女性がルナリアなのが少し心配だ。
アネキ以外でシアに会わせても問題がなさそうな女性というと……、師匠か? いやダメだ。あの自称美魔女がシアにどんな影響をもたらすのか想像するだけでも恐ろしい。
総会で魔術師仲間の女性陣と鉢合わせするかもしれないが、一癖も二癖もある連中だからあまり関わりたくない。シアと会わせるなど論外だ。
……あれ? 俺の周囲にいる女性ってシア以外にマトモな奴がいないのでは?
「はぁぁ……、やっぱり総会へ行くの面倒くさいなぁ……」
「お土産楽しみにしていますからね、テオ様っ」
思わずぼやく俺にシアが発破をかけてくる。
俺の扱いにも慣れたよなぁ、シア……。まぁこの調子なら俺が下手にあれこれせずとも強かで賢く正しい大人になりそうだ。
「……おー……」
力なく応えた俺にシアはまたクスクスと楽しそうに笑った。




