姉、襲来
「っ?!」
眩しいっ……!
一瞬で目の前へと落下した流れ星。その突然の閃光に目が眩んでふらついた私を、テオ様がサッと素早く支えてくれた。
「……っ」
「シア、大丈夫だ」
目を瞑ったまま反射的にテオ様にしがみつくと、テオ様は私を落ち着かせようと背中を優しくポンポンしてくれる。
落下の瞬間に閃光と微かな風圧はあったが、不思議なことに音や衝撃は感じなかった。
「おいルナ、勘弁してくれ……。頼むからアポとってから来てくれよ。それとその移動はやめろ。俺はともかく、シアが驚いて可哀想だろうが」
頭上から聞こえるテオ様の声はかなり不機嫌そうだ。
そんなテオ様の抗議に対して、流れ星が落ちた辺りからクスッと小さな笑い声が聞こえた。
「事前に連絡したら居留守を使うでしょー?」
可愛らしくぽわぽわとした穏やかな若い女の人の声……。
まだチカチカしている目を擦りながらおそるおそる視線を向けると……、ゆるふわウェーブの長い髪を背中に遊ばせた十代後半くらいの少女が私に向かって優しくニコッと微笑んだ。
腰まであるミルクティーアッシュのゆるふわ髪。糸目気味でぽわぽわした雰囲気。
テオ様より頭二つくらい身長が低くて、華奢と言えるほど小柄な体躯の持ち主だ。品のあるクリーム色のティアードワンピースが凄く似合っている。まるでお人形さんみたい。
「はじめましてー、シアちゃん。私はテオの姉弟子のルナリアだよー。気になって来ちゃったー」
こ、この人がテオ様の姉弟子様……。口調もぽわぽわでマイペースだ。
テオ様には兄弟子様がいることは聞いていたけれど姉弟子様もいたんだ。まさかこんな形でお会いするだなんて――。
……ん? あれっ? 姉弟子様? 姉?
どう見てもテオ様よりずっと年下にしか見えない。
テオ様は二十四歳くらいに見えるけれど、姉弟子様――ルナリア様は十七歳くらい……? テオ様よりも私の方が年齢が近そうだ。
「来ちゃったー、じゃねーよ。ふざけんな、アネキ」
テオ様が不機嫌そうにドスの利いた声で抗議しているが、ルナリア様は曲げた人差し指を口元に添えて悪戯っぽくクスクスと笑っている。
たんぽぽの綿毛にも似た優しくてぽわぽわとした穏やかな雰囲気。
初対面の人間だから最初こそ警戒したけれど、ぽわぽわなルナリア様からは敵意を微塵も感じないから怖くない。
「……シア、余所者を招き入れて本当にごめんな」
テオ様は頭痛を堪えるように額に手を当てて、盛大なため息をついた。
「コイツは本気で拗ねると俺の尊厳を根こそぎ粉砕しやがる厄災なんだ。しかもさっきまで結界を手加減なくガンガン攻撃しまくっていやがってな。あともう少し放置していたら、結界にヒビが入っていたかもしれない……」
「えっ」
物凄く物騒な話を聞いた気がする。
こんなにぽわぽわでふんわりと穏やかな雰囲気の可愛らしい人なのに……?
私が思わず驚きの声をあげてルナリア様を見ると、ルナリア様はとても悲しそうに眉尻を下げた。
そして、首を傾げながらテオ様の方へとゆっくり顔を向ける。
最初は糸目でわかりにくかったけれど、開いた瞳は神秘的な薄紫色だ。
「テオー? その言い方は酷いよー? シアちゃんが誤解するでしょー? ほらシアちゃん、怖くないよー」
「おいやめろ。逆に怖ぇよ」
ルナリア様はぽわぽわな声音と笑顔のまま、けれどもガン開きの目はじっとテオ様を捉えてる。
そんなルナリア様に顔をひきつらせたテオ様は、圧に押し負けて半歩後退した。
私は驚きと困惑で固まっていたけれど、テオ様が立てた足音にハッと我に返った。
大慌てでルナリア様にペコッと会釈する。
「あ、あのっ! はじめまして! シアでしゅっ!」
緊張のせいでひっくり返った声で噛みながら挨拶すると、ルナリア様はふにゃっとした穏やかで可愛い笑顔になった。
「うん、ご挨拶ありがとー。シアちゃん、よろしくねー」
「は、はいっ。よろしくお願いしますっ!」
「んー、健気でかわいいっ」
ルナリア様はご機嫌な様子だ。変な声で噛んじゃったけれど、挨拶ができてよかった……。
「……」
テオ様は未だに警戒の眼差しをルナリア様へと向けていて、じりじりと間合いをとろうとしている。
テオ様がこんなに警戒するなんて珍しい。どうしてそんなに警戒しているんだろう?
少し不安になってテオ様を見上げながら服を引っ張ると、テオ様は私を安心させるように表情を和らげて私の頭を撫でた。
「……ああ、いや、大丈夫だよ。敵に回ると厄介なだけであって、決して悪い奴じゃないから」
「ん? テオー? お姉ちゃんに何か言いたいことがあるのかなー?」
「ねーよッ!」
テオ様の子供っぽい反応がすっごく新鮮だ……。可笑しくて思わずフフッと笑ってしまった。
……あれ? そういえば、ルナリア様は私が名乗る前に私の名前を口にしていたような……?
「あの、ルナリア様は私のことをご存知なんですか?」
「あー……、俺が教えたんだよ」
おそるおそる訊ねた私に答えたのはテオ様だ。
テオ様は微妙な表情で気まずそうにうなじをポリポリと掻いている。
「正確には師匠に教えたんだ。師匠は何かと多忙な身だが、近況の変化を報告しておかないと後が怖いからな。ルナは師匠経由で知って、俺に接触していたわけだ」
「な、る、ほど……?」
テオ様がお師匠様のことをこうして話したのは、たぶんこれが初めてだと思う。
テオ様のお師匠様はご存命でお元気なのか……。何となくお年寄りのイメージがあったからちょっと意外だ。
「それで……、ほら、あれだ。実はな、ルナはこれまで俺には出来ないことに色々と手を貸してくれていたんだよ」
「テオ様には出来ないこと?」
「…………ほら……。俺は一応、男だからな……」
小さくぼそっと呟いたテオ様が不思議で私は少し首を傾げたけれど……、しばらくしてハッと思い当たって顔がボボッと熱くなった。
……これまであまり深く考えないようにしてきたのだけれど、もしかして私の下着などはルナリア様が手配してくれた物なのでは?
私はテオ様が用意してくれた物を身につけることには抵抗感がない……けれども、テオ様が女性下着の店へ行って下着を買う光景は想像がつかないし、したくない。
「え、ええっ? あのっ、そのっ……!」
恥ずかしさと申し訳のなさとであたふたしていると、ルナリア様が「大丈夫だよー」と優しく笑ってくれた。
「シアちゃん、驚かせてごめんねー? シアちゃんが困らないように私がこっそり手伝っていたのー」
「ぅ、あの……っ、ありがとうございます……」
「大丈夫だよー。これからもどんな些細なことでも頼ってくれて大丈夫だからねー。テオは女心がわからないポンコツだから不便でしょー?」
ポ、ポンコツ……! 不便っ……!
ルナリア様のぽわぽわ口調から容赦なく飛び出した言葉がちょっと可笑しくて、またフフッと笑ってしまった。
「チッ。勘弁してくれよ、アネキ……」
ああっ、舌打ちをしながら遠い目をして肩身が狭そうなテオ様がまたちょっと可笑しい……っ。
プルプルと肩を震わせて笑いを堪えていたら、テオ様が私の頭をわしゃわしゃっと撫でつけてきた。完全な八つ当たりだ。
テオ様の手を押し退けて、乱された髪を手櫛で整える。まったく、もう……。
「はいっ、シアちゃんにお土産だよー」
一段落したところで、ルナリア様がぽわぽわ笑顔で「はいっ」と持ち手付きバスケットを差し出してきた。
……ええと、ついさっきまで手ぶらでしたよね?
呪文も使っていなかったですよね?
…………古代魔術師の相手って大変なんだなぁ……。
「あ、ありがとうございます」
考えることを放棄してバスケットを両手で大事に受け取ると、ルナリア様は嬉しそうにニコニコと微笑んだ。
バスケットには清潔な白い布が掛けられているから中身は見えないけれど、ほんのり甘くていい匂いがしてくる。
「アップルパイ焼いたのー。よかったらおやつに食べてねー」
「は、はいっ」
手作りのアップルパイ……!
布を少しだけめくって中身を覗き見ると、とっても綺麗な焼き色のパイが見えた。パイの表面が三つ編みと葉っぱみたいな凝ったデザインで見映えもする。
焼きたてなのかまだ温かいみたいだし、見るからにサクサクで凄く美味しそう……!
ウキウキしながら布を直していると、バスケットの持ち手にストラップがぶら下がっていたことに気が付いた。
ストラップにはガラスで出来た瑠璃色の小鳥が付いている。サクランボくらいの大きさで愛らしくてとても綺麗だ。
「それはねー、お手紙の代わりだよー」
ガラスの小鳥に気付いた私にルナリア様はフフッと笑った。
「お手紙……?」
「そうだよー。こんな風に嘴を軽くつっついてみてねー」
ルナリア様はお手本と言わんばかりに指先でガラスの小鳥をチョンとつついてみせる。
すると――。
ストラップからガラスの小鳥が消えた――と同時にポンッとふわふわな羽毛の小鳥が現れて、ルナリア様の指にチョコンと止まった。
「伝達の魔術具だよー。何か相談事がある時や、テオがどうしようもなく役立たずな時には、この鳥さんに伝えてみてねー。そうすればいつでも私とお話ができるからねー」
「は、はいっ」
やりとりをしていると、小鳥がパタパタと私の肩まで飛んできた。
私の肩でふわふわな瑠璃色の羽をモコモコと羽繕いしている。
か、可愛い……。
それに羽毛が頬を掠めてくすぐったい……っ。
「元の形に戻す時も嘴を軽くつっついてみてねー」
「えっと……、こうですか?」
見様見真似で小鳥の嘴をそっとつつくと、ポンッと音を立てて小鳥が消えて、バスケットのストラップにガラスの小鳥が戻った。
わぁ、不思議で面白い……!
「うんうん、そうだよー。普段はどっちの状態でも大丈夫だからねー。ストラップから外して好きに使っても大丈夫だよー」
「はいっ、ありがとうございますっ!」
「……シアがあのルナリアに懐いている……」
ルナリア様にすっかり感心していたら、背後から恨めしそうにぼやくテオ様の声が聞こえてきた。
すかさず一瞬でテオ様との距離を詰めたルナリア様が、薄目を開けてひょいっとテオ様を覗き込む。
「んんー? テオー、私にシアちゃんをとられて妬いているのかなー? 男の嫉妬は見苦しいぞー?」
「マジで勘弁してくれ……」
テオ様はルナリア様にタジタジで逃げ腰だ。テオ様にもこんな側面があったんだ……。
とことんマイペースで楽しそうなルナリア様はクスクスと笑ってから私に向かって微笑んだ。
「シアちゃん、何も心配しなくていいからねー。テオがシアちゃんをいじめたり悲しませたりした時は、私が『えいっ』って懲らしめるからねー。私はシアちゃんの味方だよー」
「なぁ、頼むからもう帰ってくれよ……」
「テオー? ガールズトークに文句があるのかなー?」
「ガールって歳――いッたぁあッ?!」
ピョコッとつま先立ちで背伸びしたルナリア様が、テオ様に軽くデコピンをした。
パァンッ! と大きな破裂音が辺りに響く。
……えっ? 今のって本当にただのデコピン? 凄い音だったよ?
プスプスと煙を立てているおでこを押さえながら地面にしゃがみこんだテオ様を、ルナリア様がぽわぽわ笑顔のままガン開きの目で淡々と見下ろしている。
「テオー? お姉ちゃんに何か言うことはー?」
「ゴメンナサイ」
ルナリア様、凄い。テオ様をアッサリやっつけちゃった……。
ルナリア様は平和な糸目に戻ってフフンと誇らしげに微笑んでいる。
「ちくしょうっ、マジでいってぇ……。抉れてねぇだろうな、これ……」
テオ様は涙目でブツブツ呟きながら自分のおでこを擦っている。普段と違う荒っぽい口調と仕草が子供っぽい。
セーブルが小さく鼻を鳴らしながらテオ様の顔を覗き込んでいるので、私もそーっと様子を窺った。
うん……。大丈夫ですよ、テオ様。
真っ赤に腫れてはいるけれど、抉れてはいないですよ。
しゃがんだままおでこを魔術で治しているテオ様の背後に、仁王立ちのルナリア様の影がヌッと落ちた。
「テオー? 私に本気で『えいっ』ってされたくなかったら、これからもシアちゃんを大切にするんだよー? わかったー? 返事はー?」
「……ったく、わざわざお前に言われなくたってそうするに決まっている……」
テオ様の小さな呟きが風に乗って聞こえてきて私は少し嬉しくなった。
が、ルナリア様はこの程度では到底満足していない。
ルナリア様は相変わらずマイペースな雰囲気で、声音も穏やかでぽわぽわなのに、たとえどんな相手であっても絶対に自分の前から逃がさないという圧倒的なオーラを放っている。
「テオー? シアちゃんの心にもキチンと伝わるように、ちゃんとシアちゃんの目を見て、ハッキリと声に出して、心の底から言わないとダメでしょー? テオー? テーオー?」
「…………大切にします……」
テオ様は私の目をチラッと見ながら、それでも誠意を持った言葉でハッキリと告げてくれた。
「っ!」
うわっ、どうしよう……。本当にすっごく嬉しいけれど、まるで告白されたみたいでドキドキして顔が熱いっ。
「シアちゃん、どうかなー? 少しはちゃんと伝わってきたかなー?」
くるっと私に顔を向けたルナリア様は、真っ赤な顔でそわそわしている私にニコッと微笑みながら訊ねてきた。
「は、はい……っ」
ちょっと恥ずかしい……っ。
もじもじする私にルナリア様は満足そうだ。
そしてぽわぽわなのに圧倒的な存在感でテオ様を見た。
「うんうん、いいねー。テオー? お姉ちゃんが言質を取ったからねー。返事はー?」
「はいはい……」
「テオドア。返事は一回。簡潔に」
「……ハイ……」
「よろしい」
ルナリア様、完全勝利。背景に花吹雪が舞っていそうな満面の笑みだ。
つ、強い……!
私はとんでもない存在を味方につけてしまったのかもしれない……。
ちなみにセーブルは最初からルナリア様を敵認定していないみたいだ。デコピンの音には驚いていたようだけれど、テオ様の無事を確認し終えると再び石のボールで遊び始めている。平和だ。
「それじゃあ、言いたいことは話せたしそろそろ帰るねー」
ルナリア様はニコッと笑いながら両手をパチリと軽く合わせた。
すると、ルナリア様の華奢な体が光の膜に包まれていく。
「シアちゃん、またねー」
「は、はいっ。ありがとうございましたっ」
可愛らしく手を振ったルナリア様は、来た時と同様にバビュンッと空高く飛んでいった。
その姿はあっという間に遠ざかって見えなくなっていき、残された光の軌跡がキラキラと空中へと溶けていく。
「はぁぁぁ……。やっと帰りやがった……」
テオ様が過去一番の特大なため息をついている。
ルナリア様の突然の訪問には驚いた……。でもルナリア様はとてもいい人だし、テオ様の知らない一面も発見できて面白かった。
思わずフフッと思い出し笑いをしていたら、テオ様は小さく苦笑して私の手からバスケットをひょいと奪い取った。
「シア、おやつ休憩にしようか。ルナは凶暴だが菓子作りの腕は間違いない」
「はぁいっ。ふふっ」
「ったく、いつまで笑っているんだよ……。ほら、これは大事に持っていなさい」
家へ向かって歩き出したテオ様に追いついて並ぶと、テオ様は器用にバスケットの持ち手から小鳥のストラップを外して私に手渡した。
透き通った瑠璃色の小鳥が本当に綺麗で可愛い。空にかざして観察していると、疲れたように苦笑いをしているテオ様の横顔が見えた。
私にとってテオ様は大切な憧れで、私を守ってくれる大きな存在だ。だからこそ先ほど見たテオ様の子供じみた態度は新鮮だった。
……き、訊いてもいいのかな……?
「あの、テオ様はおいくつなんですか?」
何となくこれまで避けてきた質問を思いきってぶつけてみると、テオ様は少し困ったように微笑んだ。
「その質問は俺以外の魔術師にするんじゃないぞ、シア。魔術師は魔力の関係で見た目と年齢が離れて、寿命も伸びるんだ。中には擬態の魔術で外見を偽る者もいるしな。とにかく魔術師相手に実年齢を知ったところで意味がない。その辺りの話は魔力を揺り起こして魂の修復が軌道に乗ったら説明しようと思っていたんだ」
「……」
小さい頃に聞いた「魔術師は普通の人間よりも長生きだ」というおとぎ話は本当なんだ。
それじゃあ……、私も魔術師になったら普通の人よりも長生きになるの? 何歳まで生きるの? テオ様は?
「……いつかテオ様と離れ離れになって一人ぼっちになっちゃうのなら、魔術師にはなりたくないです……」
暗い不安に流されて、どんどん悲しい気持ちが込み上げてきた。
堪らずテオを見上げると、私の涙目を見たテオ様が驚いて大きく目を見開く。
そして呆れたように大きく深いため息をついた。
「…………シアの軽く二倍以上は生きているぞ、俺は!」
「わっ!」
テオ様は開き直ったようにわざと明るく言い放って、私の髪をぐちゃぐちゃっと掻き乱した。
私の二倍以上……?
私が十三歳でその二倍だから……、二十六歳くらい? それなら見た目と大きな差はないかも。
あぁでも「軽く二倍以上」だから、三十歳は超えているのかな……?
「ルナはあの見た目で孫がいるし、師匠はルナの二倍か三倍かを生きている現役の自称美魔女でルナの実母だ」
「ええっ?!」
テオ様の実年齢を勘繰っている途中で衝撃的な情報を大量に流し込まれて、思わず大きな声が出てしまった。驚きのあまりに思考が止まって涙が引っ込む。
えっ? どういうこと?
もうわけがわからないよ……?
あんぐりと口を開けたまま固まった私を見て、テオ様は悪戯っぽくニヤッと笑ってみせた。
「だから、な? 魔術師の見た目や年齢、ましてや寿命を気にするのは無意味だ。魔術師本人が自分の年齢を雑に扱って、歳を数えていない奴もいるくらいだしな。シアが変な心配をする必要は何もない。
だから、まずは魔力を起こしてシアの魂を安定させよう。な?」
「……はいっ」
バスケットを持っていないテオ様の左手をキュッと握ると、テオ様も優しくキュッと握り返してくれた。




