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ごんぎつね

「ごんはきっとさびしかったんだと思います」

「だからにいたずらをしたんだ」

「そうなんだ~」

「みんなもさびしいといたずらしたくなる?」わたしはクラスの子達に問いかける。今日は国語の『ごんぎつね』を読み進めて、主人公ごんの性格や対役のとの気持ちのすれ違いについて理解させる授業だ。子供達はこの『ごんぎつね』が大好きで上手に自分の体験や日ごろの喜怒哀楽を下敷きにして、物語文を解読していく。

「うん、いたずらって言うか、だれかが上手く行っていることが、いやになってくる」

「うん、うん」

「そうそう。他の人が喜んでるのを見るとウザって思う」

「だから、兵十がうなぎをとったり、友達と親しくしているのがおもしろくなかったんじゃないかな」

「っていうか、自分の方に気づいて欲しかったんだよ。ずっと一人だったからね、ごんは」

「へえ~そうなんだ~」

「かすみ先生はそういうことないの?」

それまで子ども達同士の意見のやり取りが続いていたが、佳子という普段は目立たない女の子が、わたしに意見を求めると、一斉に子供達の視線がわたしに集まった。

「先生も本当はそう思っていたのかも知れないわ」

「『本当は』って?」

なぜかわたしの胸は温かくなり顔が火照る。

「先生は、みんなみたいに自分の気持ちに素直に生きて来なかったのかなって、みんなの話し合いを聞いていて思ったの」

「へぇ」子供達はポカンと口を開けている。

「そんな風に感じて良いなんて、先生知らなかったの」

 ポロリとわたしの目から涙が滴った。


               

                   つづく

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