第9話 ラグナスの脅威
封印の鍵を手にした三人は、山間部の祭壇を後にして斉藤の研究室へ戻る途中だった。
異世界の力が渦巻く中、その空気の重さに誰もが無言で歩を進めていた。
だが、その静寂は突然の轟音によって破られる。
レイナ「来たわ…!」
彼女の視線の先に現れたのは、巨大な闇の塊だった。
その中心には、異様な気配を放つ男が立っていた。
黒いローブを纏い、片手には異世界の力を凝縮したような大剣を握っている。
彼こそがヴァレリアのリーダー、ラグナスだった。
ラグナス「封印の鍵を手に入れたようだな。
だが、それを持ち帰れると思うなよ」
その声には冷たさと威厳があり、三人の心を圧迫するようだった。
大地「お前が…ラグナスか!」
ラグナス「そうだ。そしてお前たちは、私の計画の邪魔をする愚か者だ」
彼は剣を軽く振り下ろしただけで、周囲の地面が裂け、大地が揺れる。
その威力に三人は息を飲む。
レイナ「彼の力は桁違いよ…油断しないで!」
大地「分かってる!」
大地はキー・アームを構え、ラグナスに向かって突進した。
だが、その一撃は彼の大剣によって軽々と受け流される。
逆にラグナスが振るった剣風が大地を吹き飛ばした。
大地「ぐっ…なんて力だ!」
美咲「大地、大丈夫!?」
美咲が盾を構え、大地の前に立ちはだかる。
ラグナスの攻撃を防ごうとするが、その衝撃は彼女の体を震わせた。
ラグナス「弱い。お前たちの力では私には到底及ばない」
その圧倒的な力に、三人は徐々に追い詰められていく。
だが、大地は諦めなかった。
立ち上がり、再びキー・アームに力を込める。
大地「俺たちは…負けられないんだ!」
その言葉に呼応するように、キー・アームが眩い光を放ち始めた。
大地の全身に異世界の力が流れ込み、刃がさらに輝きを増していく。
ラグナス「ほう…少しは楽しませてくれるのか?」
レイナも剣を握り直し、美咲と共にラグナスの周囲を囲むように動く。
三人は連携して攻撃を仕掛けるが、彼の防御は鉄壁だった。
剣技だけでなく、彼の纏う闇そのものが攻撃を無効化しているかのようだった。
ラグナス「つまらない。お前たちでは、この闇に触れることさえ叶わない」
彼が再び剣を振り下ろすと、闇の波動が三人に襲いかかる。
美咲の盾がそれを防ぐが、その衝撃で彼女は膝をついてしまった。
美咲「くっ…!」
レイナ「このままじゃ持たないわ。何か突破口を見つけないと…」
大地は再び立ち上がり、ラグナスに向かって叫んだ。
大地「お前が何をしようとしてるのか知らないけど、俺たちは絶対に負けない!」
ラグナス「その無駄な抵抗、どれほど持つか試してやろう」
彼はさらに力を解放し、空間が揺れるほどのエネルギーを放つ。
その場の空気が重くなり、三人は思わず息を呑んだ。
だが、その時、斉藤から託された通信機が鳴り響く。
斉藤「聞こえるか、君たち!鍵が反応している。
その力を使えば、一時的に彼の闇を中和できるかもしれない!」
レイナ「分かったわ。大地、鍵を!」
大地は手にした封印の鍵を掲げた。
その瞬間、鍵が眩しい光を放ち始め、ラグナスの周囲の闇を少しずつ浄化していく。
ラグナス「その光…!」
彼は初めて動揺を見せた。
その隙を突いて、三人は全力で攻撃を仕掛けた。
大地「これで決める…!」
キー・アームを振り下ろし、ラグナスの体に直接打撃を与える。
その一撃は彼に傷を負わせるが、決定打には至らなかった。
ラグナス「愚か者ども。次は容赦しない」
彼は再び闇を纏い、三人に向けて力を解き放つ。
その圧倒的な力に対抗するため、三人は再び立ち上がる決意をする。
戦いはまだ終わらない。
彼らの限界は近いが、それでも希望の光を信じて前に進む。
次なる一手が、運命を変える鍵となるのだ――。