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第4話 力の代償

異世界の力を手にしてから、幾度目かの戦闘を終えた大地と美咲。

勝利の度に心に浮かぶのは達成感ではなく、どこか拭えない不安だった。

彼らは斉藤の研究室で短い休息を取りながら、次の行動を話し合っていた。


斉藤「異世界の力というものは非常に特異だ。君たちが手にしているキー・アームやその武具も、そう簡単に使いこなせるものではない」


彼はモニターに映し出された異世界のエネルギーの波形を指し示す。

それは安定とは程遠い、波乱に満ちた変動を示していた。


斉藤「特に君だ、大地。君のキー・アームは異常なほど強力なエネルギーを宿している。

だが、それを扱う度に君自身の体にも負担がかかっているのが分かるだろう?」


大地は思わず右手を見つめた。

キー・アームを使うたびに感じる腕の痛みや、全身に走る疲労感は、戦闘が終わっても消えない。

その代償がどれほど大きいのか、彼はまだ理解しきれていなかった。


大地「…でも、それがなきゃ戦えない。俺たちに他の手段があるのか?」


斉藤「君が戦う意思を持つことは素晴らしいが、同時に冷静に考えなければならない。

その力を過信すれば、いずれ君自身が壊れてしまう」


美咲「大地、無茶しすぎなんだよ。ちゃんと考えて使わないと…」


彼女の言葉は、どこか怒りを含みながらも心配そうだった。

大地は少し笑って彼女に答えた。


大地「分かってるよ。でも、こんな状況で立ち止まる余裕なんてないだろ」


その言葉に美咲は口をつぐんだが、表情にはまだ不安が残っていた。


その日の夕暮れ、斉藤の研究室を離れた三人は、次の目標地へ向かう準備をしていた。

目指すのは、ヴァレリアの拠点に繋がるとされる隠された遺跡。

そこにある「封印の祭壇」を破壊することが、彼らの第一の目標となった。


だが、その道中に待ち受けていたのは、またしてもモンスターの襲撃だった。

二体の巨大な獣型モンスターが、突然街角から姿を現し、こちらに向かってきた。


大地「来やがったな!」


美咲「また…!準備して!」


大地はキー・アームを握り、美咲も武具を構えて戦闘態勢に入った。

だが、今回の敵はこれまでのモンスターとは比べ物にならないほど強力だった。

その動きは速く、一撃一撃が大地たちを圧倒する。


大地「くそっ、こいつら…!」


必死にキー・アームを振るう大地。

だが、敵の攻撃を受ける度に体への負担が大きくなり、動きが鈍くなっていく。

痛みが全身を駆け巡り、視界がぼやけ始める。


美咲「大地!無理しないで!」


美咲は大地の背後に回り込み、盾を構えて彼を守った。

その間に彼女は防御しつつ、反撃の隙を探していた。


美咲「もう少し…もう少しだけ耐えて!」


彼女の声に呼応するように、大地は再び力を振り絞り、キー・アームを振り下ろした。

その一撃はモンスターの片方に致命傷を与えたが、同時に大地の体に深刻なダメージを与えた。

膝をつき、息を切らしながら大地は倒れそうになる。


大地「くそ…まだだ…まだ終わってない…」


美咲「大地、もう無理だよ!」


美咲が叫び、残ったもう一体のモンスターに必死で立ち向かう。

だが、彼女もまた限界に近づいていた。


その時、レイナが前に飛び出し、剣を振り抜いた。

その刃は光を纏い、最後のモンスターを切り裂く。

轟音と共に、モンスターは消滅した。


レイナ「これ以上の無茶は許さないわ」


彼女は厳しい声で言い放ちながら、大地を抱き起こした。


戦闘を終えた三人は、ひとまず安全な場所に身を隠した。

大地は痛みで動けなくなり、美咲が彼を支えていた。


美咲「大地、もう無理するのはやめてよ。あんたが倒れたら、誰が戦うの?」


彼女の言葉には、怒りだけでなく深い悲しみが込められていた。

大地は俯きながら、力の代償を改めて感じていた。


レイナ「この戦いは、ただの気持ちだけでは勝てない。

あなたたちはもっと力を使いこなせるようにならなければならないのよ」


その夜、三人は次の戦いに向けて力を磨く決意を新たにした。

だが、大地の中には、この先の戦いへの恐怖が静かに芽生え始めていた。

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