表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/124

第109話:やっと元の関係に戻りました

 必死に頭を下げるグレイソン様を見たセレーナとミシェルが、お互いの顔を見合わせている。


 そして


「グレイソン様、謝るのは私達ではありませんわ。それから、もしまたルージュを泣かせたら、その時は本当に許しませんからね」


「グレイソン様が本当に悪いと思っているのでしたら、これからはルージュを大切にしてあげてください。私たちがしっかり見張らせていただきますから」


 相変わらずグレイソン様に厳しいセレーナとミシェル。でも、彼女たちなりのグレイソン様に対するエールなのだろう。


「もちろんだ、二度とルージュを傷つけたりしないよ。それにしても、義父上と義母上に口止めまでしていただなんて…」


「あら、当たり前でしょう。ルージュの居場所が分かっては困りますから。あなた様には、ルージュの居場所もわからず、いつ帰って来るかずっと不安の中、待っていてもらおうと思ったのです。ルージュを泣かせたのですから、それくらい当然でしょう!」


「公約様と夫人が、グレイソン様に話してしまわないかハラハラしましたが、さすが公爵様と夫人ですわね。私達との約束をしっかり守って下さるだなんて。後でお礼をしに行かないと!」


「公爵様と夫人の前で、あれだけ頭を下げてお願いしたのですから、さすがにお2人も私たちの気持ちを汲んで、グレイソン様に話すことが出来なかったのでしょう」


「あら、ミシェルの“公爵様と夫人なら、絶対に私達との約束を無下にはしませんわよね”と、笑顔で圧を掛けたのが効いたのではなくって?」


「それを言うなら、セレーナが誓約書を公爵様と夫人に書かせたからではなくって。まさかセレーナが誓約書まで準備してくるだなんて、思わなかったわ」


 ミシェルがため息をついている。


「ルージュの友達は、本当にやり手だな…この2人だけは、敵に回したくはない…許してもらえて本当によかった…」


 2人のやり取りを見ていたグレイソン様が、ぽつりと何かを呟いたのだ。


「グレイソン様、何か言いましたか?」


「いや、何も言っていないよ。ルージュにはこんなに心強い友人がいて、安心だなって思っただけだよ。これからもどうか、ルージュの事をよろしくお願いします」


 グレイソン様がまた頭を下げている。


「もちろんですわ。随分長い事話し込んでしまいましたわね。急いで昼食を頂きましょう」


 気を取り直して、7人で昼食を頂く。やっとこれで、元の関係に戻れたのね。やっぱり私は、皆で仲良くこうやって過ごすのが一番好きなのだ。


 そうだわ!


「皆、私ね。あなた達にお土産があるのよ。はい」


 友人4人とアルフレッド様に、大きな袋を渡した。


「お土産なら、朝もらったわよ」


「あれはクラスの皆に配った分よ。本当のお土産はこっちよ。私が1つ1つ詰めたの。気に入ってもらえると嬉しいのだけれど」


 皆の顔を思い浮かべ、1つづつ選んだのだ。4人それぞれ全く好みが違う。だからこそ、皆のお土産はそれぞれ違うものにしたのだ。


 さらに


「お嬢様、準備が整いました」


「ありがとう、すぐに持ってきてくれる?」


 アリーとグレイソン様付き執事が持ってきてくれたのは、パレッサ王国のパスタだ。さすがに貝を持って来ることはできなかったので、ソースはバジルとトマトをベースにしたものにした。


 でも、これはこれでとても美味しいのだ。


「ルージュ、これは一体なに?」


「これはね、パスタと呼ばれる食べ物なの。パレッサ王国で食べたのだけれど、とても美味しくて。どうしても皆に食べてもらいたくて、今日は学院の許可を取って、料理長に来てもらって調理してもらったの。早速食べてみて。こうやってフォークに巻き付けて食べるのよ」


 クルクルとフォークに巻き付け、ぱくりと口に運ぶ。うん、相変わらず美味しいわ。


 皆も見よう見まねで、パスタを口に入れた。


「これは美味しいわ。ソースとこの細長いのがよくあっている」


「本当ね、この細長いの自体も、モチモチしているし。こんな食べ物、食べたことがないわ」


「これは病みつきになりそうね。本当に美味しいわ」


「確かに美味いな。こんな料理があるだなんて」


 皆喜んでくれている様で、よかったわ。


「パスタは乾燥させていて保存がきくそうなの。だからパレッサ王国から持って帰ってくることが出来たの。ゆでる前なら、1年程度は持つそうよ。パスタの茹で方とソースのレシピも付けてあるから、ぜひ家でも食べてみて」


「こんな美味しいものが、家でも食べられるの?パレッサ王国には魅力的なものが沢山あるのね」


「そうなの、小さい島国なのだけれど、本当に素敵な国なのよ。今日お父様が王宮に出向いて、パレッサ王国の特産品を持って貿易交渉に行っているから、もしかしたら近い将来、この国でもパレッサ王国の特産品が出回るかもしれないわね」


「まあ、そうなのね。正直私、ルージュがパレッサ王国に行くまで、名前すら知らなかったわ」


「私もよ。真珠にパスタ、とても魅力的な国なのね。なんだか急に、親近感が湧いて来たわ」


「ルージュがパレッサ王国に行かなければ、絶対に知る事がなかったものね」


「そうよね、そう考えると、ルージュが国を出たのも、悪い事ばかりではなかったのかもしれないわね。だってこのパスタ、本当に美味しいのですもの」


「もう、メアリーったら。でも、確かにそうね」


 そう言って皆が笑っている。


 確かに我が国の人たちは、パレッサ王国の名前すら知らない人も多い。私がパレッサ王国に出向いたことで、少しでもこの国の人に、パレッサ王国の事を知ってもらえたら。そしてこれを機に、2つの国が交流を持ってくれたら嬉しいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ