著者:かりんとう
瑠奈「どうしてないてるの?」
太陽「……」
瑠奈「ねぇ」、
太陽「……パパからもらったキーホルダーが……」
瑠奈「……そう、どんなかたちしてるの?」
太陽「アンパンマンの……」
瑠奈「わかった、さがしてくるね」
太陽「ぇ……」
瑠奈「あったよ」
太陽「!!!」
瑠奈「はい、もうなくさないようにしなよ?」
太陽「う、うん!ありがとう!」
瑠奈「なにやってるの?」
太陽「つみきであそんでる」
瑠奈「ふーん……わたしもいっしょにやっていい?」
太陽「もちろん!」
瑠奈「これはこっちのほうがよくない?」
太陽「いやいや!こっちのほうがかっこいいって!」
瑠奈「えー、こっちのほうがいいとおもうけどな」
太陽「……」
瑠奈「……」
太陽「やっぱこっちにする……」
瑠奈「ん、それでよし」
太陽「ねぇ、ルナちゃんはおひめさまやくやらないの?」
瑠奈「え?なんで?」
太陽「……ルナちゃんにはおひめさまやくがにあうとおもったから」
瑠奈「っ」
瑠奈「……ちょっとせんせいにきいてくる」
太陽「!うん!」
瑠奈「……」
太陽「あ、やっぱりここにいた」
瑠奈「……なに」
太陽「ルナちゃんおちこんでるかなって」
瑠奈「……わるい?」
太陽「んーん、わるくないよ?」
太陽「ぼくはかんそうをつたえにきただけだから」
太陽「ちょっとしっぱいしちゃったけど、ルナちゃんがいちばんかがやいてたとおもう」
瑠奈「……」
太陽「それだけ、じゃあね」
瑠奈「……」
瑠奈「~っ!?ほんとに……あいつは……」
太陽「ルナちゃん!入学式だね!」
瑠奈「そうね」
太陽「小学校でもよろしくね!」
瑠奈「……こちらこそ」
太陽「ねぇ!ルナちゃん!今日のほうかご空いてる!?」
瑠奈「空いてるけど……」
太陽「じゃあ遊ぼ?」
瑠奈「……いいわよ」
太陽「やった!」
太陽「うわー!遠足のおやつどれがいいかなぁ!なやむなぁ!」
瑠奈「私はこれとこれでいいや」
太陽「ルナちゃん!?決めるの早くない!?」
瑠奈「別になやむものじゃないでしょ……」
太陽「そんなことないよ!300円じゃ全然足りないもん!!」
瑠奈「……そ、じゃあ私の分もえらんでよ、それで半分こすれば600円分使えるでしょ」
太陽「いいの!?」
瑠奈「別にいいわ」
太陽「やった!ありがとう!」
瑠奈「……どういたしまして」
太陽「ルナちゃん!いっしょに帰ろ!」
瑠奈「……今日はちょっと…」
太陽「えー!?」
太陽「……どうしてもダメ?」
瑠奈「うん、ごめん」
太陽「うー!じゃあ明日は?」
瑠奈「明日なら……」
太陽「じゃあ約束ね!」
瑠奈「手、つなぐわよ」
太陽「え!?な、なんで!?」
瑠奈「あんた危なっかしいのよ……車道に飛び出そうで見てるこっちがヒヤヒヤするわ」
太陽「あ、あはは」
瑠奈「……ん」
太陽「……」
太陽「……なんかちょっと恥ずかしいね…」
瑠奈「……こら、そういうのは思っても言わないの」
太陽「ご、ごめん」
瑠奈「もう……しょうがないんだから」
太陽「ルナちゃん!お祭り行こう!」
瑠奈「えぇ……お祭りかぁ……人多いじゃない……」
太陽「……ダメ?」
瑠奈「……うぅ……ダメじゃない……わ」
太陽「やった!」
太陽「ねぇねぇ、何食べる!?」
瑠奈「私はなんでもいいわ」
太陽「うーん、僕もなんでもいいからなぁ」
瑠奈「……なんで来たのよ」
太陽「あはは……うん、やっぱり最初は定番のたこ焼き食べよ!」
瑠奈「わかったわ……あ!ちょっと!」
太陽「え?何?」
瑠奈「あんた先走るんだから……はぐれちゃうでしょ」
太陽「あー……ご、ごめん、テンション上がっちゃって」
太陽「じゃあ……はい!」
瑠奈「……!?」
太陽「どうしたの?」
瑠奈「い、いや……別に……」
太陽「……顔赤いよ?大丈夫?」
瑠奈「うっさい!とっとと行くわよ!」
太陽「わっ!?ちょ!?は、早いー!手がちぎれちゃう!」
瑠奈「ちぎれろそんなもん!」
太陽「ひどい!?」
太陽「おいしーね」
瑠奈「そうね」
太陽「たこ焼き食べる?」
瑠奈「んー……じゃあ貰おうかしら」
太陽「じゃあ、はい、あーん!」
瑠奈「……じ、自分で食べれるわよ……」
太陽「え?そう……?」
瑠奈「貸して……熱っ!?」
太陽「わ、わー!?大丈夫!?」
瑠奈「し、したがいたいぃ……」
太陽「ちょ、ちょっと待ってて!!」
太陽「はい!水!買ってきたよ!」
瑠奈「あ、ありがとう……」
太陽「……だ、大丈夫……?」
瑠奈「……まだちょっと舌が痛いわ……」
太陽「ご、ごめんね」
瑠奈「あんたのせいじゃないわよ」
瑠奈「水ありがと、返すわね」
太陽「はーい、僕も喉乾いたし飲もうかな、」
瑠奈「!?ちょ!?」
太陽「……?どうかした?」
瑠奈「いや……それ……っ!!な、なんでもないっ!!」
太陽「えぇ……」
太陽「修学旅行だよルナちゃん!」
瑠奈「そうね」
太陽「どこ行く!?」
瑠奈「ちょっと待って……なんで私とあんたが一緒の班って前提で進んでるのよ?」
太陽「え?ダメ?」
瑠奈「……いやまぁダメでは無いのだけれど」
太陽「じゃあいいじゃん!ほらー!どこ行くどこ行く?」
瑠奈「そうね……こことかどうかしら?」
太陽「おー!いいねいいね!じゃあここは?」
瑠奈「……ありね」
瑠奈「まさか自由行動がないとは思わなかったわ……」
太陽「……うぅ……せっかく計画建てたのに……」
瑠奈「もう、そんなに落ち込まないの」
太陽「……だってぇ……」
瑠奈「……そんなに残念ならまた来ればいいじゃない」
太陽「……え?」
瑠奈「っ!?」
瑠奈「は、恥ずかしいから2回言わせないでよ……」
太陽「う、うん!もちろん!いつかまた絶対来ようね!!」
瑠奈「…………うん」
太陽「……卒業式だね」
瑠奈「……そうね」
太陽「まずは来てくれてありがとう」
瑠奈「別に……構わないわ、要件は何かしら」
太陽「そうだね……色々言いたいことはあるけど……うん、まずはこれかな」
「好きです」
太陽「ルナちゃんの不器用な優しさが好きです、ルナちゃんの笑った時の顔が好きです、ルナちゃんのいつも僕のわがままに付き合ってくれるとこが好きです」
太陽「だから……僕……雨夜太陽と……付き合ってください……!」
瑠奈「……」
瑠奈「気持ちは……とても嬉しいの……」
瑠奈「けど……ごめんなさい」
瑠奈「私……恋愛が分からないの……こんな気持ちで付き合っても、きっとお互いに不幸になるだけだわ」
瑠奈「だから……ごめんなさい」
太陽「……そう、わかった……ごめんね、呼び出しちゃって」
瑠奈「……大丈夫よ、私もう行くわね……」
太陽「……うん」
太陽「入学式だよ!ルナちゃん!」
瑠奈「…………ちょ、ちょっと待って」
太陽「……?どうしたの?」
瑠奈「いやどうしたのはこっちのセリフなのだけれど……大丈夫?ここ数週間の記憶消えたりしてないかしら?」
太陽「あはは、消えてるわけないじゃんやだなぁ」
瑠奈「そ、そうよね……?じゃあどうして……?」
太陽「あの後色々考えたんだけどさ……ルナちゃんって僕のこと嫌いだから振ったわけじゃないんだよね?」
瑠奈「そうね……あんたの事は嫌いじゃないわ……むしろ……その、好ましいと思ってるわ」
太陽「ありがとう、なら別に諦める必要ないなって!僕のことを好きになるまでアタックしてやる!」
瑠奈「……っ!?……そ、そう……好きにしたら……」
太陽「うん、好きにさせるね」
瑠奈「意味が違うじゃないのそれ…!」
太陽「おはよう!ルナちゃん!好きです!付き合ってください!」
瑠奈「おはよう、ごめんなさい」
太陽「また振られた……」
瑠奈「当たり前……あれから何回告白されたと思ってるのよ……いい加減慣れるわ」
太陽「最初の方は結構動揺してくれてたのに……」
瑠奈「……それはそれ、これはこれよ」
太陽「ねーねー、そういやルナちゃんって部活入らないの?」
瑠奈「んー……そうね、入る予定はないわ」
太陽「どうして?」
瑠奈「……なんとなく、本気になれないような気がして」
太陽「……なるほど」
太陽「じゃあ僕も部活入るの辞めようかな」
瑠奈「……いや、あんたは入りなさいよ……」
太陽「嫌ー、部活入らなかったらその分ルナちゃんと一緒にいる時間増えるし、メリットしかないね!」
瑠奈「……私が部活入らないイコールあんたと一緒にいるって訳では無いのよ?」
太陽「僕が構いに行くから関係ないよ!」
瑠奈「……まったく……もう」
太陽「ねーねー!今から遊び行こ!」
瑠奈「え!?い、今から!?さ、さすがにもう暗いしやめた方が……」
太陽「大丈夫!もう中学生なんだしちょっとくらい平気だよ!もしなんかあってもルナちゃんは絶対に僕が守るから!」
瑠奈「~っ!?もう!ちょっとだけだからね!!」
瑠奈「……映画に行くわよ」
太陽「え?映画?」
瑠奈「そ、そう、気になってる映画があって……1人じゃ心細いから……ダメ?」
太陽「ぜ、全然ダメじゃないよ!」
瑠奈「良かった……」
太陽「いつにする?」
瑠奈「……明日とかどうかしら?」
太陽「もちろんいいよ!」
太陽「あ!?またルナちゃんピーマン残してるじゃん!好き嫌いしないで食べないと僕と一緒に長生き出来ないよ?」
瑠奈「あんたと長生きする予定は今の所ないのだけれど……」
太陽「今の所……ね?」
瑠奈「……忘れなさい」
瑠奈「……ん、私は食べられないから食べて」
太陽「えー……もー、しょうがないなぁ……美味しいのに……」
太陽「ね、ねぇ……また告白されたの?」
瑠奈「……ん、そうね」
太陽「すごいなぁ……確か有名な先輩なはずだよ」
瑠奈「そうなのね」
太陽「……興味無さそう」
瑠奈「実際興味無いもの」
太陽「辛辣だなぁ……最近ルナちゃんよく告白されるようになったよね、やっぱ可愛いからかな?」
瑠奈「そうね、時間取られるから困ってるわ、あと可愛いとか簡単に言わないの、もう」
太陽「モテてるのにその感想が出てくるのはすごいよ……簡単に言ってるつもりは無いんだけどな……」
太陽「……ち、ちなみにその先輩とは付き合わないんだよ……ね?」
瑠奈「当たり前じゃない、さっきも言ったけど、興味無いわ」
瑠奈「それに……その……私は恋愛がよく分からないとは言ったけれど、もし……仮に……その時が来たとしたら……好きになる人は決めてるの」
太陽「え!?そ、それって……!?」
瑠奈「…………ふふっ、さて、誰でしょうね?」
太陽「ルナちゃん……クラス離れちゃったね」
瑠奈「そうね……まぁしょうがないんじゃないかしら」
太陽「うー、寂しい……」
瑠奈「……流石に休み時間の度に会うことは出来ないだろうけど、昼休みとかなら会えるでしょう?それで我慢しなさい」
太陽「……はーい」
太陽「ルナちゃん、志望校って決めたりした?」
瑠奈「……ん、そうね、ここにするわ」
太陽「わぁ、すごいなぁ……!めっちゃ頭いいとこじゃん!」
瑠奈「結構勉強頑張らないとだけれどね」
瑠奈「……あんたはどうするの?」
太陽「ん?もちろんルナちゃんと同じとこに決まってるじゃん!」
瑠奈「っ!?も、もう、そういうのはしっかり考えて決めなきゃダメよ?」
太陽「考えた結果だよ!!」
瑠奈「それに……あんたの成績だと……その……」
太陽「……うっ……きょ、今日から勉強始めます……そ、それで……わ、分からないとこがあったら聞いてもいい……?」
瑠奈「……構わないわよ」
太陽「やった!よろしくお願いします!ルナちゃん先生!」
瑠奈「先生……ふふっ、悪くない響きね……」
太陽「……あった!あったよルナちゃん!!ルナちゃんはどうだった!?」
瑠奈「こっちもあったわ……良かった……」
太陽「よし!これで四月からも一緒にいれるね!」
瑠奈「……そ、そうね……まぁ、よろしく……」
太陽「こちらこそ!」
太陽「じゃじゃーん!どう?制服だよ制服!かっこいい?」
瑠奈「……まぁ悪くないんじゃないかしら?」
太陽「ありがとう!ルナちゃんはやっぱり可愛いね!似合ってるよ!」
瑠奈「……ありがと……」
太陽「うー!勉強難しい!」
瑠奈「……そうね、だいぶレベル上がった気がするわ……」
太陽「このままだと赤点かも……」
瑠奈「それはダメ」
太陽「えー、でも難しいし……」
瑠奈「全く……じゃあ勉強会でもしましょうか」
太陽「えっ!?い、いいの!?」
瑠奈「ダメな理由ないでしょう……」
太陽「やった!場所はどうする?」
瑠奈「そうね……私の部屋……とか?」
太陽「!?」
瑠奈「ふふっ、冗談よ、ファミレス……いやちょっとうるさいかしら……図書館はどう?」
太陽「わかった!」
太陽「ルナちゃん!文化祭だよ!劇だよ!」
瑠奈「知ってるわよ……」
太陽「懐かしいね……幼稚園の頃も劇やったっけ……ルナちゃんがお姫様だった覚えある!」
瑠奈「……そうね……どっかの誰かさんに唆されてね」
太陽「今回はお姫様役やらないの?」
瑠奈「そもそもまだ何やるか決まってないからお姫様役があるかすら分からないじゃない」
太陽「確かに……でももしお姫様役があったとしたら僕はルナちゃんを推すね!」
瑠奈「……そ、ありがと」
瑠奈「……だとしたらあんたは王子様役かしら?」
太陽「え!?」
瑠奈「少なくとも……私はあんた以外のお姫様役をやりたいとは思わないわ……」
太陽「っ!?」
太陽「ルナちゃん!好きです!付き合ってください!」
瑠奈「ごめんなさい」
太陽「なんでぇ!?」
太陽「文化祭お疲れ様ー!」
瑠奈「そ、想像以上に疲れたわ……」
太陽「まぁまぁ、楽しかったからいいじゃん?」
瑠奈「それもそうね」
太陽「今回は失敗しなかったね!」
瑠奈「……叩くわよ?」
太陽「どうして!?」
太陽「ルナちゃん!一緒に帰ろ!」
瑠奈「えぇ、構わないわ」
太陽「それでさー!もう大変で大変で……」
瑠奈「……そうだったのね、あ、ごめんなさい電話だわ、ちょっと待ってて」
太陽「はーい」
瑠奈「もしもし?お母さん?どうしたの?……え?嘘……お父さんが……?」
太陽「……どうしたの?」
瑠奈「……お父さんが……お父さんが……!」
太陽「落ち着いて!!」
瑠奈「す、すぐ帰らなきゃ!」
太陽「ま、待って!その状態で走ったら危ないよ!落ち着いてって!」
瑠奈「うるさいわね!鬱陶しいのよ!放っておいて!」
太陽「別に鬱陶しくても構わない!今の状態のルナちゃんを1人にする方が危険だ!」
瑠奈「っ!?邪魔!!」
太陽「わっ、ま、待って……!?」
瑠奈「……昨日はあいつに悪いことをしてしまったわね……あいつなりに心配してくれたのに……今日は時間ないから謝れないけれど……今度会ったら謝罪しなきゃいけないわね……いや今からでも電話しようかしら……」
瑠奈「……ん?電話……?」
瑠奈「……はい、もしもし……?」
瑠奈「……ぇ?」
瑠奈「来たわよ、ごめんなさい……最近バタバタしてて……来ることが出来なかったわ……それに……心の整理も必要だったし」
太陽「……」
瑠奈「それでね……私、気づいたの……想像以上に、あなたの存在が私の中で大きくなってたことに……」
太陽「……」
瑠奈「……この感情を好きって言うのかしらね……だとしたら、残酷だわ……」
太陽「……」
瑠奈「……ぁ……お、おかしいわね……どうして泣いているのかしら……ご、ごめんなさい……あなたに……こんな姿……見せたくなかったのに……」
太陽「……」
瑠奈「……ねぇ……もしも……もしもよ……?あの時あなたの告白を受けてたら、あなたはまだ私の隣で、笑っていてくれた……?」
太陽「……」
瑠奈「今日は……帰るわ……また……来るわね」
瑠奈「こんにちは、今日はいい天気ね……あなたにピッタリだわ……」
太陽「……」
瑠奈「ねぇ……お母さんに頼んで今日はピーマン食べてきたのよ」
太陽「……」
瑠奈「そしたらね、そこまで悪くなかったのよね、なんて言うか、今まで食わず嫌いしてただけだったんだなって……」
太陽「……」
瑠奈「……ほら……私苦手なピーマン食べれるようになったのよ……?だから……あなたも約束を守って……私と一緒に長生きしてよ……お願いだから……ねぇ……」
太陽「……」
瑠奈「……あなたに言っても意味ないわよね……ごめんなさい……」
太陽「……」
瑠奈「……これ、お土産、置いとくわね、今日は帰るわ……」
太陽「……」
瑠奈「今日はいいものを買ってきたのよ?」
太陽「……」
瑠奈「じゃーん、たこ焼きよ、祭りの時食べたわよね、懐かしいわ……」
太陽「……」
瑠奈「いただきます、あむ…………」
太陽「……」
瑠奈「うーん、確かに美味しいのだけれど……あの時よりかは美味しくないわね……なんでかしら?」
太陽「……」
瑠奈「……あら?あなたも食べたいの?……ふふっ、仕方ないわね、ならあの時のお返しに私からあーんしてあげるわ、ほら……あーん……なんて……ね」
瑠奈「今日はパンフレットを持ってきたわ」
太陽「……」
瑠奈「え?なんのパンフレットかって?……そうね……強いて言うなら、私とあなたのやり残したこと……かしら?」
太陽「……」
瑠奈「ふふっ、答えになってないって?そうね、確かにその通り」
太陽「……」
瑠奈「……けど……あなたならきっと分かってくれると思ってるわ」
太陽「……」
瑠奈「もし、もしも、また一緒に話せたのなら……いえ……ごめんなさい……言うべきではないわね……」
瑠奈「そろそろ髪が伸びてきたのよね……」
太陽「……」
瑠奈「切ろうと思ってるんだけど、あなたはどんな髪型がいいと思うかしら?」
太陽「……」
瑠奈「……思えば、私ってあなたの事をそこまで知らないのよね……あれだけ一緒にいたのに……」
太陽「……」
瑠奈「あなたの好みの髪型も、あなたの好きな食べ物も……まぁ、あなたはなんでも美味しいって言ったり、どんな髪型でも可愛いって言ってくれてたから、好みにこだわらなくても良かったってことでもあるのだけれどね……」
太陽「……」
瑠奈「でも……知ろうとさえ思えば知ることだって出来た」
太陽「……」
瑠奈「ねぇ……あなたは何が好きなの?髪型はショートの方が好み?それともロングの方が好みかしら?」
太陽「……」
瑠奈「……ねぇ……答えてよ……お願いだから…………」
太陽「……」
瑠奈「ねぇ……聞いて欲しいの……最近、毎日つまらないのよ……」
太陽「……」
瑠奈「……あなたがいた時はどんな時も、輝いて見えた……どんな些細なことでも楽しくて、幸せだったの……」
太陽「……」
瑠奈「……思えば……あの時からもう既に恋に落ちていたのね……けど、馬鹿な私は気づけなかった……」
太陽「……」
瑠奈「……最近ね、なんで生きてるんだろうって考えるようになったの」
太陽「……」
瑠奈「前までは……あなたがいてくれた」
太陽「……」
瑠奈「あなたは……いつも私のそばで……こんなこと考える暇ないくらい楽しませてくれた」
太陽「……」
瑠奈「……けど……あなたを失って……考えたの……どうして生きてるんだろうって……」
太陽「……」
瑠奈「……ねぇ……私に、生きる理由を下さい……この世界を……生きていたいって思えるような……」
太陽「……」
瑠奈「……ねぇ?知ってる?私の名前って、ローマ神話の月の女神のルナから取ってるらしいのよ」
太陽「……」
瑠奈「幼稚園の頃、私が1番輝いていたって言ってくれたわよね……あの時は嬉しかった……私のせいで劇が失敗しちゃって……どう……?今の私……輝いているように見える……?……見えないわよね……」
太陽「……」
瑠奈「ねぇ……起きて……起きてよ……お願い……お願いだから、私は……私はね……?月は太陽が居ないと輝けないのよ……!!!」
太陽「……」
瑠奈「……ごめんなさい……取り乱しちゃって……今日はもう帰るわね……また明日……」
太陽「……ま……って」
瑠奈「……ぇ?う、うそ……太陽?太陽なの!?」
太陽「……う……ん」
瑠奈「っ!!嘘……そんなこと……もうほとんど起きることは無いって言われてたのに……あ、な、ナースコールしなきゃ……!」
太陽「……ちょ……っと……まっ……て」
瑠奈「え!?」
太陽「いろ……いろ……いいたい……ことはあるけど……大……好き……だよ……」
瑠奈「っ!!!うん!私も……大好きよ!!」