疲労
会社の経営者がどう解決策を打ち出し、それがどういう風に転ぶのかが見所です。
会社の業績を上げるのに熱を上げている経営者がいた。俺のことだ。
そんな俺はパソコンを見て落胆していた。
経営が傾いている…。
「申し訳ございません」
社員が電話に向かって謝る声が聞こえた。きっと苦情が来たのだろう。
これで何度目だ?
久しぶりに社内を歩いてみる。気分転換も兼ねてだ。
社員の一人が声を掛けてきた。
「おつかれしゃまでぇす」
おつかれしゃまって何だ。顔が死んでるじゃないか。
「何かあったのか?」
「何でもないです」
いや、何かあるはずだろ。
他の社員も同じだった。全然元気がない。
帰って家内に話してみた。
「最近、会社全体が暗くてさ」
「あーらぁ」
元気の良い声が聞こえる。
「それって疲れじゃなぁ~い?」
「疲れ?」
「そう、私みたいに毎日遊んでなきゃ、そりゃ疲れもたまるわよぉ」
お前は毎日何をしてるんだ。
ふと、会社のことを思いだしてみた。多忙な業務。そして過剰な苦情。
もしかしたら、日々の殺人的な忙しさが社員の元気をなくしてるのかもしれない。
決めた、俺、業務減らすわ。思い切って。
それからしばらくの間、会社は明るくなった。苦情も減ったし、社員の元気も取り戻せた。
今はまだ全盛期には遠く及ばないが、しばらく経てば景気も良くなるだろう。
しかし、社員の一人が通りかかり、挨拶をしてきた。
「おはようごじゃいば~す」
初めて聞いたわ、そんな挨拶。
「どうした、顔が死んでるじゃないか」
社員は答えた。
「暇疲れです」
ガクッ。今度はそっちか。
やりすぎは良くないです。