84.他国をアラスタ化
ファムール王国内は順調にアラスタ化していく。
王都までまっすぐ行けば1小年かからないで行けるが、全町村の都市をアラスタ化しながらだと2小年はかかってしまう。
護送荷車と別行動だとアラスタ化は10日かからず終わってしまうが、犯罪者ホイホイで捕縛もしながらだとゆっくり移動しなければ取りこぼしが出てしまう恐れがある。
この国のエールベやフォルフは傘下にするつもりはないので、専らガンモに森の中を探索してもらっている。
ガンモ曰く、この国の森で何頭か逸れエールベに出会ったが、大した事無かったと言っていた。
尻尾で軽く吹き飛ばしたらそのまま逃げて行ったってさ。
その時近くにいたフォルフのオスにしつこく付きまとわれたけれど、あまりにもしつこかったから、殺気飛ばしたら泡吹いて倒れちゃったそうだ。
そのままほったらかしで戻ってくることが数度あったそうだ。
明日あたり僕とロックとガンモで森の散歩行ってみたいな。
というのは、さっき“ういんどばりあ”でエールベの巣と思ったら結構近くにある事が判ったからだ。
僕達の邪魔しないでほしいから、それを言いに行く予定だ。
翌朝、予定通り僕とロックとガンモが護送荷車を降りる。
そして僕だけ“でゅーんよろい”をかけ、皆に“りにばり”をかけ走ってエールベの巣に向かう。
結構大きな集団だ。
50頭は居る。
一際大きな個体がロックの前にやって来て何か話をしている。
『あそこにいる人間が俺たちのボスだ。俺たちは東の果ての森から来た。俺たちのボスと話をしてほしい。』
『あのフォルフはお前の攻撃は通らんぞ。』
『ボス、私戦ってみたい。』
ぉおぉ、戦闘狂だ。
[殺さないでね。]
『ボスが治してくれるだろうから死ぬ一歩手前まで痛めつけてやるわ♡』
この森のエールベのボス、一瞬で両手足無くなった。
『おれがやったらひき肉なっていただろうから、命拾いしたな。』
ナニコレ、ロックだとひき肉にしちゃうんだ。
可哀そうだから虫の息の一応ボスに近付き、“かいわする”魔法をかける。
[僕達の邪魔しないと約束してくれたら治してあげるよ。]
『おれは良い、他の者は助けてくれ、頼む。』
[約束してくれるという事で“きれいきれい♡”と“さいせいちりょう”(NEW)で“えぇーゆだなぁー”]
浄化消毒体力回復の欠損部再生の最後に再生後の体力回復3っつセットで全快したよ。
前もって考えていた“さいせいちりょう”は問題なく成功した。
『ヨッシャー!欠損再生成功だ!』
これで2人揃って二重詠唱しなくても良くなった。
もし僕が正拳突きしたら貫通してしまうから、ガンモにやって貰って正解だった。
地元のエールベとの交渉を無難に終え意気揚々と野営中の護送荷車へ戻る。
10人の盗賊が護送荷車を取り囲んでいる。中に入ろうとする気配が無い。
僕が森から一人で出て行く
「あれー?おじさん達何しているの?」
全員の目がこちらに向くそして腰を抜かした。
僕の後ろに巨大なエールベ(ロック)が現れたらだ。
そしてロックが殺気を振り撒いた途端皆、失神の失禁のオンパレード。
うーん中に入らないで消耗戦に持ち込むパターンもあったか。
ロックは盗賊一人一人摘まんでは護送荷車に放り込む。
「この森のエールベに話通して来たよ。安心して良いからね。」
「ジョンが居るだけでも安心感が凄いよ。」町娘役
こんな感じで2小年と数日をかけ、アラスタ化しながらファムールの王都へ到着した。
ホイホイの独房全132部屋が満室だ。
2人部屋状態が4部屋ある。
思っていたより釣れてしまった。
ノードスカーで身動きがとりにくくなった為か、近場のファムールに拠点を移した者が多かった。
相部屋の人達は初犯のグループで反省の色が濃い人で組ませた。
メインの護送者23人を引くとこの国に入ってから王都まで113人捕縛したことになる。
犯罪者率の高い世界だと思う。
こいつら地球の日本に居たら
平気で人を刺しておいて「殺すつもりは無かった。」と思い付きで言い訳するような連中なんだろうな。
だって人刺して物奪って逃げるんだろ?救命措置なんかしないんだろ?救護以来なんか出さないんだろ?殺す気満々じゃないか。
だから僕は野盗なんかには、慈悲なんてかけない。
後は各国の法律が裁いてくれるでしょう。
という事でこの国に入ってから捕まえた113人を引き渡し、王城へとやって来た。
移動農場の中を見学したジョーシュ王。
ブーモの階層は危険が半端ないのでスルーしてもらう…してくれない。
仕方がないので“ひとりけっかい”をかけた。
早速ブーモに攻撃されるジョーシュ王。
まぁ、攻撃は一切通さないだけだから良いけれど、“でゅーんよろい”だと威力100%のまま反射しちゃうから、ブーモの頭部炸裂オンパレードにならなくて良かった。
ジョーシュ王が移動農場を欲しがって、制作依頼をして来たが、あれはあくまで僕が快適に長期間移動できるようにするために考えに考え抜いて創ったものであって、普及させるつもりはない。
移動農場の運営にかかるコストを説明したら、しばらく、長時間考えて諦めてくれた。
作物が収穫できる10日間だけでも1台当たり、浄化魔法で400万回分必要だ。
1フロアだけでも100万回分だ。
1フロア1日10万回分の浄化魔法並みの魔力量は、一人10回分の魔力供給が出来たとして、1万人。
便所浄化専用部隊員約1万人が、移動農場の1フロアに対して必要となる。
普通に考えて無理でしょ。
それをしばらく考えるとは、どれだけ欲しいか良ーく解る。
僕は毎年ボランディアで各国…何か国になるかわからんけど、移動農場の為だけに訪問するなんて…キューだと簡単に移動できてしまうな、ちょっと…旅行感覚で良いかも…。
いやいや、僕はのんびり過ごしたいのだ。
今思ったがキューってVTOLの超音速?極音速プライベートジェット機みたいだな。
移動農場を諦めてもらったので、その分この移動農場で獲れた作物を全部献上した。
ブーモとケッケは半数裁いて肉にしたのを献上した。
禁断の餌“麦”で育てたせいか、肉質は最上級だ。
ちなみにこの国で獲れた麦、アラスタでは僕が手を加える前の麦をケッケに与えてみたが、食べる気配が全く無かった。
一応“もりもり”では農作物の害獣害鳥を寄せ付けない事になっているから、ノードスカー辺境3村にはケッケやブーモが襲って来る事は無いだろう。
ファムールの王都を出発。
1小年程でエルガー帝国との国境に着いた。
ここまでで、新たにホイホイにかかった野盗は22人だった。
ノードスカーの時と同じで、ファムールの王都へ、この22人を護送し終えてから国境を通過。
エルガー帝国へと入国した。
これにて、ファムールのアラスタ化は完了。
ちなみに僕は、この長期移動中、こまめにノードスカーへ帰国し、残りの町を全部
建物の浄化強化に加えて、全世帯を魔洗便器式のトイレへと魔改造、冷蔵庫と冷凍庫の設置、全世帯のカスタムオーダーメイドシステムキッチンの設置、町内の道の快適化
という完全アラスタ化を終えている。
エルガー帝国内も今までと同じ、各村や町をアラスタ化しながら、盗賊をホイホイしながら、帝都を目指す。
予定では2小年かからない程度で着きそうだ。
帝国でも一番大きい群れのエールベとフォルフのボスの手足と尻尾をもぎ取って、僕達の邪魔になるようなことはしないという誓約をもぎとった。
もちろん、ちゃんと元通りに回復させたよ。
今回の“もぎ取りは”簡単。
僕が一人でボスらしき個体に近付き、手足尻尾に手刀を当て切り取り、“かいわする”の魔法で誓約をもぎ取り、回復させる。
エールベは左右の前足は自らの攻撃でもげたから、僕は後ろ足と尻尾をちぎっただけだ。
ロックとガンモは護送荷車の護衛をしていた。
魔王様と守衛の兵士10名は外に出て僕の交渉を微妙な顔で見学していた。
昔は僕が何かの魔法をするたびに驚いたりして面白いリアクションが見れたのに、この頃当たり前の様に微妙な表情になるだけだった。
76日目、ようやく帝都に到着。
護送荷車の空き部屋はかろうじて1室で間に合った。
新規の捕縛者数108人、人の煩悩の数だ。
帝城でも皇帝が移動農場をご所望して来た。
ファムールの時と同じ感じで断り、諦めてくれた。
やはり運営魔力量問題だ。
魔王様は自分と僕達兄弟4人以外は無理し分かっているから何も言わずニコニコしているだけだった。
僕は1~2日に1回アラスタ往復しているから、秋の収穫は妹達に任せても大丈夫と判断している。
今年の後半から1小年である41日おきに耕耘・種蒔きを行っているので大収穫期は無くなっている。
しかし、タルタンとモーラストは今まで通りなので、そちらの大規模収穫を行う事は決定事項だ。
僕は状況を見に帰って、その後すぐに護送荷車に合流する予定だ。
現在アラスタの耕耘魔法は父母アレックの3人がメインで行っている。
だって毎小年10分の1の面積しかしないから、出来てしまうのでね。
妹達は大規模な収穫・耕耘を行うタルタン・モーラスト地区を行っている。
僕は外国旅行中で、時々森の中で動物たちと手足尻尾を〇って|じゃれあって(脅迫して)いる。
本当、ただじゃれあっているだけだよ。
あと少し続きます。