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8.新しい村民

収穫が終わり年貢徴収部隊が帰る頃、1人の部隊員が数日間残ることになった。

そして村民が増えた。

居残り隊員は村民には含まない、バナナはおやつに含まない。

新しく増えた村民とは僕の妹“セーラ”だ

誕生日は僕と一緒。

9月2日。

僕は2歳。

妹は、両親・僕と同じ茶髪の癖毛で茶色の瞳。

泣いては乳を吸いまた寝るの繰り返し。

おしめは当初母ちゃん担当だったが、すぐ僕になった。

我が家の魔法関連は・・・アラスタ村内の魔法関連のほとんどが僕担当。

村の住宅密集地域の共同便所は、僕が行けない時、各地区で担当さんが奮闘している糞「フン」だけに。

寒い?今は初冬だから余計に寒い?


年貢担当部隊員が居るので祭りがなかなか始まらない。

別に年貢をごまかしているわけではないのに。

だって、今年は例年以上のとんでもない量の麦が有る。

年貢未納の気がして戸惑っているのだ。

既に麦は挽かれ粉になっている。

準備は万端。

9月の5日目、祭りの準備が始まった。

隊員が

「年貢は予定の2倍もくれたから全然気にせず盛大にしてくれ。」

と言ったので、一気に準備が進んだ。


僕は居残り隊員に

「りょーしゅしゃまの・・」

「普通にしゃべっていいぞ、知っているから、そのしゃべり方だと疲れるだろう。」

まーそりゃぁ何日も村に居たら僕の通常の言葉遣いは耳にするわな。

「領主様の家では便所の浄化はどんなふうにしているの?」

「あー、屋敷の中に便所専用の部屋が在る。

下は溜め池になっていて、その溜め池の横に浄化部隊専用の部屋が有り、隊員が3人以上常駐している。

屋敷内は人が多いので便所の利用頻度が高い、なので浄化部隊員は20人以上は居るな。」

なんと人海戦術だ。

しかも田舎の農家の2歳児に対してのこの会話。

まー、僕は前生25年生きていたから気にしなかったが、僕の知識量・力量・魔力量を見極めるために残っていたみたいだ。

僕は更に質問する

「自動浄化機能付きの便所は在るのかな?」

一瞬ギョッとしたみたいだが

「王城の王族が使用する所には、自動的に浄化する便所があるらしいぞ。」

在るには在ったが、特別な存在なのね。

で、先ほどの会話内で、“使う回数が多い”ではなく”“利用頻度が高い”それと“自動浄化機能付き”や“有る”ではなく“在る”なんて言葉を理解し使い分けていることが知られた。(バレた)

けれどこの時の僕は全く気にしていなかった。

そして、次の日には彼は帰っていった。


収穫祭(村祭り)

パンおいしい。

めちゃくちゃ美味しい。

村長曰く、今回の麦で作ったパンは今までと違って旨味が格段に良いらしい。

粉にした時点で既に気になっていたみたいだ。


年貢で収めた麦の一部は王都に行くんだよね。

領主様の所では夏の麦でパンつくっているはずだから、この麦を国に納めたら“緘口令”は意味なさないと気付くかも。

後で聞いたのだが、実際、年貢で届いた麦を見たとたんうなだれたそうだ。

一応言い訳として

“今年はたまたま気象条件がすこぶる良くこのような優良麦が実ったのではないかと思う”

と報告をして夏の残り分と合わせて例年の5割増しで収めていた。

一応それで納得してくれたみたいだ。


冬。

昨年と同じ藁播き積雪を確認してから冬ごもり開始。

“きれいきれい”の依頼という強制魔働は相変わらずだ。

村中の便所を連れ回される日々。

移動に便利そうなので、お馬鹿さんが欲しい。

現代日本では3000万円超えのスーパーカーね。

(燃料)は本来ニンジンとかなどの野菜類(レギュラー)だけども、たぶん奴らは“きれいきれい♡”(高性能ハイオク)だけでも良さそうだ。


セーラは普通の一般乳児と同じで僕より表情変化が豊らしい。

僕は前世の記憶があったから、そんなに表情が変わらなかったみたいだ。

実はこの時、セーラの体に変化が起こっていたのだが、僕は気が付かずに毎日数回“きれいきれい”ではなく“きれいきれい♡”の方をかけていたのだった。

だって可愛いんだもん、仕方ないじゃん。


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