76.魔法の法則(一部)
魔王様と二人きりの会議室。
僕は今までの考察から導いた魔法の法則を話した。
この世界での魔法の大原則は
1.魔力量は生まれた時から決まっている。(いわゆるMAX-MP)
2.魔法の強さも生まれた時から決まっている。(いわゆる最大魔法レベル)
3.魔法の種類や精度は努力次第。(覚える事は出来るが十全に使えるかは別)
4.何らかの原因により後天的に魔力量や魔法の強さが増えたり減ったりする。
5.魔法は呪文を唱えなければ発動しない。(しかし声の大小は威力に関係ない)
6.魔力枯渇状態の時は吐き気とめまいに強烈に襲われ、時には気を失う。
7.丸一日魔力枯渇状態で魔力が回復しなければ魔力量が減るか死んでしまう。
であるという事は皆知っている。
それに僕の実体験で最も重要な8番目
8.3歳未満に限り6.7.が適用されない。
が追加されたのは魔王様は知っている。
僕の小さいころからの実体験から導き出された魔力量増加の法則は、
魔力量が最大魔力量の10%未満になるとNo.6の症状が現れ始め、この症状が現れない限り魔力量はほぼ増えない。
ほぼというのは例外が有って、その例外が僕の作った魔法“きれいきれい♡”と“えぇーゆだなぁー”により、少しの魔力回復でも、ごくごく微量ではあるが最大魔力量が増える。
魔力量が残り9%からの完全回復で総魔力量が1%増える。
魔力量が残り1%からの完全回復で総魔力量が9%増える。
完全魔力枯渇=魔力残量0%からの完全回復で総魔力量が20~50%増える。
ボーナスみたいなものだ。
3歳未満では、上記の増量部分が最大10倍になる。
一般的に魔力残量が5%あたりで昏睡状態になるが、訓練次第で残量1%までは意識を保つことが出来る。
魔力残量が完全に0%になるとその瞬間意識を失い、この症状が続いてしまうとNo.7が適応されてしまうと思われる。
更に0%時から、“えぇーゆだなぁー”で強制魔力回復をして、回復にかかる時間が長くなればなるほど増加する魔力量は2倍~10倍になる。
これは僕がブラックアウトした時に判明した。
もしかしたらもっと増えるかもしれない。
魔王様も体験した回復5重掛けは通常増加量の5倍になる。
回復威力と速度は2の(かけ数-1)乗倍の速さになる。
2重掛けで2の(2-1)乗で2倍。
3重掛けで2の(3-1)乗で4倍。
5重掛けで2の(5-1)条で16倍。
今現在最大8名なので2の(8-1)条128倍になる計算だ。
魔力の消費量は大きさの3乗に比例する。
いわゆる体積に比例する。
“きれいきれい”など素材をいじる魔法は、対象物の素材の種類や仕様により消費魔力量は一定ではない。
最後に魔法がかかった時のイメージがしっかり・はっきりしていると、その分効果が効率良く表れ、消費魔力量は減る。
「ほー・・・、なるほどのぅ。」
「あともう少しで分かりそうなのは距離なんだよね。」
「距離?」
「例えばコレ」
と言って右手の人差し指の先に火の玉を作った。
「これは指先の皮膚から火傷しない位の小さな火の元が出てきて、指先から離れながら大きくなってこうなるのと、」
と言って今度は左手の人差し指の先から1mほど離れた所にいきなり同じ大きさの火の玉を出現させ
「こっちの離れた所に同じ大きさ・威力の火の玉を出現させるのとでは、けた外れに魔力を使ってしまうの。」
「何と!」
この“何と”とは離れた空間にいきなり現象を生み出したからだ。
「この法則が判ればもっと色々効率よく出来そうなんだけどね。」
今度は右手で中指の指先から2m先に同じ火の玉を出現させて、
「さっきのと今のでは距離が2倍になったので消費魔力は8倍使っている事まではわかっているけれど、どの距離からこの法則が当てはまるのかが解らなくて…」
と言いながら火の玉を消す僕。
「ところで結界越しにそのように火の玉出せるのか?」
「結界の条件にもよると思うよ」
「僕のは中から外へは出来る様になっているけれど、外からはそのまま術者の所に帰る様にしてあるから、そんな実験はしないよ。呪い返しと一緒。」
ジョンの研究で魔力量増加の法則がほとんど判明したのだ。
ほとんどというの、はなぜ魔力量が増えるのかとか、そもそも魔法とは何ぞやとなってしまうからなのだ。
『このような重要な話は私の中だけでは処理しきれないな。現に見習い達は一気に魔力量が増えている。皆で話し合わねば。』
[そうだね]
魔王様の心の声が駄々洩れだった。
数時間後、会議室で先ほどの僕の研究結果と火の玉を使った話もした。
数百年、判からなかった事が一気に判明したものだから、他国に戦争に利用されないか頭を悩ます。
「魔力量増加の法則は良いとして、魔力回復魔法はここでしかできないと規制をかければ良いんじゃないかな。」
「そうするとジョンの国内ではできなくなるぞ。」
「そうじゃなくて、これから“えぇーゆだなぁー”の使用制限をかけてしまって、僕の他この地で聖女様以上の立場の人が認めた人だけ、この場所以外のどこでも使えるとしようかなと思っているんだよね。」
「そのような事が出来るのか?」
「たぶん。」
「それならば・・・とりあえずやってみてくれ。」
異ジョーンモードに入る。
『という事なので魔法さんよろしくネ♡、お・ね・が・い。』
心の中でお願いした。
「もう良いよ。」
「「「「え?何したの?」」」」
「さっきの条件つけてみたの。」
「どうやって?」
「何となくなんだけど、よく分からないや。」
「明日あたり見習いの中から“えぇーゆだなぁー”が出来る者が出ると思うのでその時にでも実証しようじゃないか。」
「あと“きれいきれい♡”も同じ様にしておくね。」
翌日実証実験は成功した。
魔法さんありがとう。