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69.さよならロシナン

今回の話は短いです。

10小年(10月)、1年最後の月だ。

あと、もう数日したらロシナンは永眠する。

ポムと仔馬のキューと妹分のエラの3頭がロシナンに寄り添っている。

今でもロシナンとポムに、走りで敵う馬は見た事がない。

僕の“りにあかぁ”と“ういんどばりあ”の魔法をかけている状態で、ここから王都までポムとロシナンはほぼ同じ速さで20秒かからない。

エラでさえ4分かかる。

ちなみにこれはショートカットしての時間だ。

普通の早馬だと街道を使うので…ソールトまで街道整備しちゃったから以前の2倍から5倍の速さで移動できるから、王都までは10日はかかる。

馬車だともっとかかる。

こんなタフなロシナンがあと数日で寿命とは信じがたい。


ちなみにこの世界の死者の弔い方は、浄化魔法により自然に返すというものだ。

昔は、息を引き取り、死亡が確定したら死者専門の“浄化士”が浄化魔法をかけ遺体の処理をしていた。

現在は、遺体を土に埋めて、体の一部を土から出し、そこに触れながら浄化魔法をかけるというのが、デフォルトだ。

理由は浄化最中がエグイからだ。

浄化魔法は表面から徐々に浄化されていく。

なので人体だとまず、表皮・皮膚から浄化され皮下組織、脂肪、筋肉、骨、内臓の順番に浄化されていく為、一般の人でなくても直視できないのだ。

魔力を大量消費して一気に浄化しても、この世界の元々の浄化プロセスが、表面から深部へと伝わっていくのは変わらない。

野生の生き物は寿命の前にほぼ肉食上位種に食べられる。

肉食上位種でも年を取り弱ってくると、肉食下位種に狩られ食べられる。

食物連鎖で回っている。

それでも他種に食べられず死んでいった獣は、虫などに食べられるので浄化魔法なんて必要ない。

でも人社会ではそうはいかない。

大事に育てた家族同然の家畜(ペット)を食べるということは家族を食べることと捉えてしまう為、人と同じ埋葬浄化をする。

食用の家畜はあくまでも食用の為、家族としての認識はない。

この世界の馬は移動手段の一番重要な存在であるため、大事に育てあげた飼育人は食べることはしない。

もっぱら馬を食す者は食用家畜として管理している者たちくらいだ。

ここで僕の“かいわする”でお話出来てしまうと、絶対に食べる事なんて出来っこない。

なので、ロシナンは人と同じ埋葬浄化になる予定だが、ロシナンったっての願いで、そのままの状態で僕に浄化魔法をかけて欲しいと懇願された。



10小年の20日中9時。

皆厩前に集まっている。

魔王様(ジョルじいちゃん)に王様と領主様(アストール)だ。

お忍びの為、ポム+“らぷ号Ver.2”で迎えに行ってきた。

『そろそろだねェ』

とロシナンが言った。

『じゃぁあたいは先に逝くね、ジョルダン(魔王様)もだけどすぐに来たら追い返すからね。』

と言い地面に腹ばいで座り目を閉じて深く息を吐いた。

そして二度と息を吸う事が無かった。

しばらく悲しみにふけっていたが、

『ジョン、もう良いぞ。』

とポムの言葉で

[ロシナンの希望なので僕が浄化します。]

「“きれいきれい♡”」

ロシナンが眩く輝いた次の瞬間光の粉末が弾け飛んだ。

光の細かい粉末が少し集まり、光の粒ななったりしながら、ゆっくり上昇していき徐々に消えて行った。


さよならロシナン。


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