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7.秋の収穫

今は秋~8月であ~る。

夏の時と同じ量の収穫が確実となった。

今ではルーティーンになっている魔力枯渇睡眠。

火の玉を掌から離れた場所に出現させると異常に魔力を消費することに気が付いた。

というのは、夜の穴掘りだけではなかなか眠れなかったからなのである。

それで屋根より上で火の玉を作ろうと考え、自分からどれ位離れた場所に出現させられるか試してみたのである。

屋根に火が付いたらまずいのでね。

魔力による発動物が術者より離れた分だけ加速度的に魔力の消費量が増える。

距離とどのような関係が成り立つのかは後で判明するので、その時まではひ・み・つ。

あれー?“みぅ”(最初)→“みじゅ”→“みず”(現在)の時は・・・・離れていたよね?

「まっ良いか。」

これも後で判ったことだが、水魔法は掌から既に霧粒として繰り出されていた。

やけどをしないからと言うか、体に直接被害が出ない現象なので0距離発動し、その後魔力水の霧が目的地へ飛んで行く途中で空気中の水分を取り込むことにより水滴となった為である。

今は、夜、サッカーボール大の無色の火の玉を地上10mほどの所に出現させて、そこから上空へ放った個数を数えながら眠るのである。

強制的に魔力枯渇になる睡眠導入剤みたいなものだ。

火辻(ひつじ)が1火気(ぴき)」「火辻(ひつじ)が2火気(ひき)」・・・

100火気(ぴき)以内で眠れなければ次の日、火の玉を少し大きくするのである。

ビー玉サイズから初めて、ピンポン玉→テニスボール→ソフトボール→ハンドボール→現在のサッカーボールくらいの大きさ

街灯もないし夜は皆家に籠っているので誰にもばれず、一応安心して行える危険な遊び(修行)である。

魔力量は確実に増えているのは判ったが、増え方が徐々に少なくなっている気がする。


8月中過ぎ、収穫日の2日前にあたる本日、年貢収集部隊がアラスタ村に到着した。

やはり目が点になっていた。

だってついこの前というか3か月前の収穫作業を見ていた人たちだからね。

今年の年間収穫量は夏の分も合わせると例年の6倍だ。

王国内の約6村分の生産をこの村だけで出来てしまうのだ。

確実に今年の祭りは盛り上がる事だろう。

今年こそこの世界で生まれて初めてパン食える。

しかも新麦。

うどんは無い。

ラーメンも無い。

スパゲッティも無い。

麺類が無い。

大豆欲しい。

味噌・醤油欲しい。

あっ、米重要。

味覚は転生前と変わらないと思う。


根菜類の収穫は僕の魔法で簡単になった。

畑に手を置き、土から根菜類が吐き出されるイメージで

「むりむりー」

すると挽肉マシンから挽肉が出てくる感じで、畑の土から芋やらモグラやらミミズ等がモリモリ…

あまり良い表現ではないな…。

改めて、枝豆をさやから押し出した感じで、土から吐き出されるのである。

後は皆で拾うだけ・・・とーっても簡単♡。

なので、地面の上に落ちている芋を粛々と収穫するのであった。

それにしてもミミズのサイズが尋常ではない位大きい。

耕耘魔法でミミズを強力に保護しようと思ったのがいけなかったのかな?。


もぎ取り刈り取り収穫は必ず人手が必要だ。

鉄は高価だが費用対効果を考えると鎌にはケチっていられないはず。

大分使い込んだ鎌を使い麦を刈り取るのを見ていて、

『あっこれもしかしたら』

と、“麦焼酎”(麦ジョーシュさんのことネ)に鎌を貸してもらって

「きれいきれい」

・・・・・

やっぱり・・・・新品になった。

さっきまでの鎌の刃なんか今の5分の1しかなかったんだ。

かなり使い込んでいたのね。

「・・・・・・」

“麦焼酎“はみんなを呼び集め、そして皆に鎌を僕の前に差し出させた。

まーやることはやるか

面倒くさいから皆さんごと

「きれいきれい♡」

サービスで“♡”付きネ。

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

先ほどの鎌新品事件プラス、馬鹿じゃなくお馬さんで起きたあの現象である。

鎌はもちろんの事、皆さんの髪・肌・服・靴・表情、とーってもきれいになりましたとさ。

この後は収穫速度が格段にアップしましたよ。

農作業の途中で呼び寄せたので、多少の疲労があったと思うが、そんな疲労が“ポンッ”と抜けて気分が物凄く良くなったみたいだ。

何かあやしい薬使ったみたいで、ゴメンナサイ。



体に変化が起きた“きれいきれい♡“って治癒魔法に入ったりしないのかな?

よくラノベで見られる“水・火・土・風・聖・闇・・・”とかの分類ってあるのかな?

この村では知っている人がいない。

父ちゃんも母ちゃんも“土いじったから土魔法なんじゃねーの?”とか“明るいから光魔法だべ”“いや、白いから白魔法じゃないの?”とか“きれいになるからそのまま浄化魔法でしょう?”なんて言う。

ちなみにアラスタ村内で一番魔法が使えるのが僕の両親だそうだ。

今までは…。

でも、今は僕だよー。

この世界では、浄化魔法は1日1回できれば魔法の才能があると言われている。

一人で4回出来るというと、自分の家の便所の浄化1回と他の便所3か所分の浄化が出来てしまうのだ。

各農家は必ず2回以上は浄化できる人たちしかできない優秀な方たちの職業のようだ。

なぜならば隣家に行くにも距離が離れているので、浄化を頼みに行って担当を連れてきて帰る、となると時間がかかってしまう。

浄化できなくなると臭いや病気・不快害虫の温床になってしまうからだ。

豪雪になれば数日間家に籠るので浄化を頼むことが出来ない。

密集地だと共同便所があり当番制で浄化するのでなんとかなる。

そこへ来てこの僕。

一度贅沢を味わうと元には戻れない。


麦に関しての扱いはこうだ。

主食である“麦”は収穫量の9割以上をその地区の領主に納めなければならない。

領主はそれを管理し、都度、国の指示に従い王都や他領地に納めなければならない。

納付後の残り麦は生誕地で消費及び販売をして良い。

国は、麦の納付量に応じて金銭又は他食料及び塩を優先的に支給する。

領主は“麦出納帳”を毎小年(月)初日に王都麦管理部署に提出しなければならない。

その年の予定納付収穫量は6小年末日に各領主へ伝える。

王国全域の前年収穫量と消費量を考慮し当年収穫予定量を決定する。

不作等、不測の事態の時は王都にて各領主及び王都麦管理担当者との話し合いにて納付作物種と量の調整をする。

豊作時でも国への納付量は予定量で行い、余剰分は各領主が適宜管理する。


アラスタ村の村長は、各農産物ごとに管理者=生産者を任命し配属している。

ここで“浄化魔法”2回以上使える人を選んでいる。

選ばれた人は、その種の農作物にかかわる時間が長いので、作物に関する知識が豊富になり、その子孫が“浄化魔法”2回以上使えればそのまま世襲する。

農作業等の再教育などが面倒くさいのもあるので、麦担当は魔法が一番使える”芋ジョーシュ“(僕の父ちゃん)ではなくそのまま”麦ジョーシュ“とその息子”麦ジョアン“のままなのである。

なので麦は“麦焼酎”こと“麦ジョーシュ”が村代表で麦畑を担当している“管理人”みたいなものだ。

芋のうちらは“芋ジョアン”(本家)と息子“芋ジョーシュ”(分家)の2家族になっている。



話は変わって僕は父ちゃんに聞いてみた。

「自動浄化機能付きの便所ってあるの?」

「?“じ どうじょう か きのう つき”?ってなんだ?」

ゴメン父ちゃん。

父ちゃんには難しい言葉だったみたい。

「勝手に浄化してくれる便所なんて有るの?」

「あははは。有ったら凄いな。見たことも聞いたことも無いや。」

そりゃーこの村から1歩も出たことのない父ちゃんは見た事が無いのは当たり前だ。

隣村から嫁いできた母ちゃんも知らないみたいなので、隣村でもわかる人はいなさそうだ。


更に話は変わるが、治癒魔法は王都に行けば受けられるらしい。

ある程度のケガや病気は治癒魔法で一瞬で治るらしい。

ただし、ある程度だだそうだ。

そのある程度はどの位なのかは今は分からない。


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