66.王都へ3家族と1名
王都へと向かう事となったので準備をする。
僕たち家族は僕・父・母・妹・弟・妹の6人
アレック家は夫婦と子供2人の4人
の計10人
ちょうど10部屋なので一人1部屋だ
僕たち子供組は4人1部屋でも問題ないがせっかくなので
「一人一部屋で良いかな?」
なんだかんだで結局、僕たち子供組は4人で1部屋、夫婦2人1組で各1部屋、アレックの子供は一人1部屋の5部屋だけの使用となった。
中は広いので馬も中に入っても良いかもしれない。
“らぷ号Ver.2”をけん引する馬は最初はエラだ。
[ロシナン・ポム・キュー中に入って]
『冗談きついぜ、入れるわけないだろ』
[大丈夫]
『ジョンが“大丈夫”って言っていいるからだいじょうぶでしょ。』
と何の疑いもなくロシナンは中に入っていった。
すぐ後についてキューが入っていった。
僕の家族達が入っていった。
アレック家族も全員入っていった。
ポムは目玉落ちちゃうって言いたくなるくらい目をひん剥いている。
[ポム、入らないんなら閉めちゃうよ。]
と言いながら僕が乗り込む。
慌ててポムが中に入ってきた。
『なんじゃ!こりゃー!』
ポムだけ驚いている。
「『ジョンだからねー。』」
[ぽむたち、その辺で寛いでいて良いよ。窓の所から外見えるからね。]
と言いながら御者席の出入り口のへと向かう。
外を廻って乗った方が速い。
でも良いや。
[ソールトの領主様の所へ行くね。]
『『わかった。』』
エラと領主様から言葉が返ってきた。
村の門を出て結界の外側を通って僕たちの畑の近くを通って深森へ入り、爆速ショートカットだ。
ソールトへ着いても結界の外側を通って裏門の所へ行き、街に入る。
正味3分でソールト市内へと入れた。
そして領主邸前に到着。
[着いたよ。]
「「『『早すぎじゃない?』』」」
アレックの子達とポムとロシナンだ。
[ポムもロシナンもいつもだったら、今の10倍じゃぁきかないくらい速いよ。]
『『え、あぁ…なるほど…。』』
[何?どうしたの?]
『いや、前にジョンが言っていた“早すぎてつまらない”って意味、ものすごくよく分かった…、ごめん。』
[急ぐときは急いで、そうでないときはゆっくりとね?]
『はぁ、あたいも速く走れるから面白くってね、のんびりしたい時ってのんびりしたいものなんだねぇ。今回初めて分かったわ。』
『ん?何何?』
何もわかっていないエラだ。
領主邸ではなんと、ナント家一家5人と見知らぬ1人が“らぷ号Ver.2”に乗り込んできた。
見知らぬ1人とは
アレックの長男だった。
「父さんごめん。一緒にアラスタに行かなくて。」
「将来のためにここで訓練していたんだろ?」
「はい。」
「じゃぁ問題ないだろう。」
「もし僕も一緒に行っていたら…」
「しっかりとソールトで生活できていたなら問題ないだろう。」
「いや、魔力量が…」
「「「あ・・・」」」
そっちか。
領主様余計な事言っちゃったのね。
「あれは魔力切れにならないといけないからかなりきっついぞ!」
「ですよね。」
何がなんでも“ピーマン嫌い”みたいな感じで“魔力切れの魔力酔いがダメ”みたいな様なものだ。
部屋割りを変更…というよりも、数分で着いちゃうから適当で良いや。
「中に馬もいるけど良いよね?」
「中に馬?」
「大人しいから大丈夫。」
「???」
不思議な表情で“らぷ号Ver.2”に入り込む領主様一家と一人。
後について僕とアレックが入り、扉閉める。
合流した1家族と1人。
直立不動で大口を開けて馬を見ている。
口の中乾燥しちゃうよ。
「やはり化けジョンだな。」
お誉めのお言葉いただきました。
15m先の御者席出入口へと向かう僕。とアレック。と領主様。
そして王都へと向かうのであった。
ソールトの正門を出るとエラの爆速が始まる。湖の上を走りちょっと遠回りになるが川面を走り、王都の第二の門へ。
3分で着いた。
「着いたよ。」
「「「「「「え゛!もう?」」」」」
初体験の超高速移動に5人の声が揃った。
門から王都内へ入り、訓練場へ行く。
ここで、ジョン大臣とアレックス大将が有無を言わさず“らぷ号Ver.2”に乗り込んできた。
「「あ゛!こっちが欲しい!」」
心の声が駄々洩れだ。
中に馬が3頭いるのは疑問に思っていないみたいだ。
「ジョン坊だから馬がいて当たり前か。」
だってさ。
王城正門では僕の顔パス&“らぷ号”パスですんなり入城出来た。
いつもの停車場へ到着。
僕たちが下りる前に王様と王妃様、そして魔王様が“らぷ号Ver.2”に乗り込んできた。
「「おぉー!」」
「まぁー!」
御者席から内部に入ると皆が談笑している。
内部通用階段を降りていくと、王様と魔王様が駆け寄ってきて。
「「これ欲しい!」」
って見た目がちょっとした物置小屋のミニチュアっぽいのにね。
「えっと、馬車の中を広げるのじゃダメかな?」
「「馬車でできるのであれば頼む!」」
王都のアラスタ化の前に馬車のキャンピング馬車化を施す事になった。
全員で馬車置き場へとやって来た。
警護の兵士も20人ついてきた。
やはり最初は王様の…ではなく魔王様の馬車で実証見分するみたいだ。
既に魔改造されている魔王様専用馬車。
一旦解除魔法で元の形状に戻す。
2人乗りの細長い馬車。
「とりあえず“らぷゅた”。」
光りながら形を変えて車輪が水車の様に壁面と一体になり、80cm程の空中に浮きながら静止している。
中を覗くと狭いながらも、快適に過ごせるよう仕上がっている。
皆、今の内部状態を確認してからキャンピング馬車“ジョル号(仮)”から降りる。
そして
「中を広くするね、“らぷゅたばーじょんに”!からの“えぇーゆだなぁー”」
先に魔力回復しておけば良かった。
魔改造化が終わって中を覗く。
コレ絶対入れそうにないくらい狭い。
馬車内は3倍(体積27倍)効果で広くなり、陸屋根の為、高さに余裕があるから、今回は3階建てにイメージした。
内部の長さが12m幅5m高さ8m位。
1階階高は3m2・3階は2.5m位。床厚は2㎝位だが、魔法で強化されているので、力士が四股踏んでも全く問題ない。
1階はシステムキッチンと冷蔵庫x2と冷凍庫x1が常備のDKとトイレ1か所。
食堂部はテーブルと8客の椅子がセットされている。
2階はリビングとトイレ1か所と御者台出入り口。
リビングにはローテーブルとソファーがセットされている。
3階は4部屋の個室とトイレ1か所。
1階床下には収納庫だ。
皆、中に入り物件探索だ。
全員は入り込めない。
最初に入って行った魔王様は御者席から中を覗いてニヤニヤしている。
王様は王妃様とリビングで寛いでいる。
母はキッチンで料理を作っている。
あれー?王様のは良いのかな?
王様や魔王様相手にタメ口たたいて、更に摩訶不思議な魔法を連発するカギんちょ魔法使い、あの不可思議な空間を作り上げる化け物の子供…化け物が生んだ子供ではない…を恐れるよな目つきで見てくる領主様とアレックの長男2人。
その視線に気づき、微笑み返してみた。
「「ひっ!」」
いつもの村人達と同じ反応をされた。
「王様の馬車…」
「あ、そうだ!これじゃなかったんだ!」
魔王様の馬車でコレだったから、王様の馬車だとどうなるか期待が一気に膨れ上がっている。
プレッシャーがかかる。