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63.街道の整備と前期収穫期

第一(前期)収穫期までもう少し。

アラスタからタルタンまでの街道の整備をしようと思う。

アラスタの村長と一緒に“らぷ号”でタルタンの村長宅へ行き、軽く打ち合わせをした。

タルタンからアラスタへ帰りながらの整備の予定だ。

道幅は5mほどで、現代舗装道路並みの滑らかさで道の境目から10mは芝生のような草が生え、そこから外は通常の草というか森との堺になってしまう。

芝生のような草(もう芝生と言っちゃう)は30㎝程成長したら風を使った魔法で5㎝まで勝手に刈り取ってしまうよう、舗装道路には自動草刈り機能を付与する。

魔法は“こくどう”で良いと思う。

今の道は左右の森の堺の、丁度中間地点をクネクネ蛇行しながら通っている。

できるだけ滑らかに真っ直ぐに進めるように、芝生の幅を最低5mまではとれるように考慮する。

徒歩で7日かかっていたのは、野営に適している少し開けた場所が6か所在る為だ。

標高的にはほぼ一定だが、実際は細かく上り下りが連続している道なのであり、簡単に言えばモトクロスのウォッシュボードやギャップのような感じなのである。

それをほぼ平らに整地しながら通行できるようになれば、徒歩による移動時間は半分以下になるだろうと思う。

タルタンの裏門からアラスタへ向かっている街道を見て、門の所で地面に手をつき

「とりあえず100m“こくどう”」

酷道が光りながらウネウネと整備され100mのきれいな道が出来上がった。

両脇は青々とした芝生がゴルフのフェアウェイの様になっていて10mを超えて森の部分までの所はラフになった。

ちなみにこの道路は、アラスタの村道と同じように年中一定の温度環境になるようになっている。

[まだまだいけそうだなー。エラ、ついて来て。]

『はーい。』

全員歩いて整備された道の端まで歩いて行く。

整備されていない境目で再び地面に手を付け

「今度は10倍の1Kmで“こくどう”」

ギャップの山から先が見えていなかった道が光りながらウネウネと変形し、かなり先のほうまで平らに酷道が高速道に変貌していた。

「まだまだ魔力に余裕があるみたいだからアラスタまで一気にやっちゃおうかな。」

1㎞先までの移動が面倒くさいので、整備された今いる場所で再び地面に手を付け、

「アラスタまで“こくどう”…“えぇーゆだなぁー”」

自分を光り輝せてしまった。

タルタンとアラスタの間の街道整備は一人“えぇーゆだなぁー”で何とかなるということが判った。

光が納まったので、振り返り

「終わっちゃった、てへっ!」

全員大口を開けていた。

「終わったから帰るね。」

と言い、“らぷ号”に乗り込む。

慌ててアレックとアラスタの村長も乗り込んできた。

タルタン村長は一人、村まで徒歩で帰っていった。

エラは新しくなった街道が気になったらしく、森を通らず街道に沿って通常…と言ってもかなりの速度だが、いつもよりかなりゆっくり走ってアラスタまで帰ってきた。

「これ、歩きで2日で来れそうだな。」

アレックがぼそりと呟いた。

「え?あっそうか!冬は雪でほとんど平に見えたから、本当はかなり起伏に富んでいたんだね。」

「だから雪の時期は緊急でもない限り移動しないのさ。」

「下手したら雪に埋まってしまうからなんだ。」

「タルタンとモーラスト間はこんなに起伏は激しくないし、ケチャールまでに至ってはほとんど起伏が無くなるぞ。」

ということは、同じ消費魔力量でも、整備できる距離は長くなると思う。

“りにあかぁ”で地面からほぼ一定に浮きながら移動する“馬と馬車”・エラと“らぷ号”にとっては、道無き道や断崖絶壁であろうとも平地の感覚で移動できてしまうし、いつも森を突っ切っていたから、ほとんど…全く気にしていなかった。


アラスタとタルタンの街道整備した2日後、タルタンから村民が3人やって来た。

「2日で着いちゃった。」

2倍以上の移動速度だそうだ。

しかも、移動に疲れたら、フェアウェイの柔らかい芝生でごろ寝でき、5か所目の広場部分なんかは、小高くかなりの広さの芝生キャンプ場みたいだったらしく、野営が楽だったそうだ。

上下左右にクネクネ蛇行していた旧街道の実際歩く距離は、新街道の2~3倍の無駄な距離を移動していた事になる。

ちなみにアラスタの村道は“かいてきどうろ”という魔法で整備してある。

“かいてきどうろ”の魔法で整備した道は疲れを癒す効果がついているがフェアウェイ整備付きの効果は無い。

街道を“かいてきどうろ”で整備したら、移動に関しては疲れ知らずだろうが、上下左右の蛇行路はそのままで、路面だけ滑らかになってしまっていただろう。

今のままでは“かいてきどうろ”で整備されていないタルタン村、冬になれば村道は雪が積もり移動しにくくなってしまうだろうから、明日以降行こう…タルタンへ再び。


ということで翌日タルタンへ3人のタルタン村民と一緒に“らぷ号”で行き、“かいてきどうろ”で完全にタルタンのアラスタ化を終えた。

ちなみにタルタン村内の“かいてきどうろ”はタルタン‐アラスタ間の街道整備と同じ位の魔力を要した感覚があった。

タルタンの魔改村(魔()村じゃないよ)化の後、ここの村長と一緒にモーラストへ行き、先に“かいてきどうろ”でアラスタ化した。

その後モーラスト‐タルタン間の酷道を国道…高速道化の魔法“こくどう”で一気に整備した。

ひとり回復“えぇーゆだなぁー”で完結出来るのが判っていたから、今回は簡単だった。

で、このままケチャールとはいかず帰・・え?ケチャールも?

なんかノリノリの2人の村長を“らぷ号”に乗せて、ケチャールへと向かった。


ケチャールの町長との話し合いで

「是が非でも、何が何でも頼む」

と懇願されたので、“かいてきどうろ”をやってみた。

「“かいてきどうろ”の“えぇーゆだなぁ”ー!!・・」

ブラックアウトしてしまった。

アレックの話だと町中の道が光り出した直後に、僕が光り輝き、いつもなら徐々に光が収まるのが、今回は激しく光ったり少し弱く光ったりを、しばらく繰り返していたそうだ。

僕はその状態で地面に手をついたまま全然動かなかったそうだ。

アラスタの8倍の人口の町だ、細い路地を合わせても町道の総延長は僻地3村の比じゃない。

その事はすっかり抜けていた自分を、魔法を使う前に叱りたい。

済んでしまったことだけどね。

「魔力切れで気を失っちゃった、てへっ。」

「え?魔力切れ起こしたのか?」

「うん。まぁ“えぇーゆだなぁー”の魔法で大丈夫だったけどね。」

「無理すんなよ。」

「モーラストまでの街道は全く問題ないくらい簡単だと思うよ。」

平面上の直線距離はアラスタ‐タルタン間とほぼ同じで、起伏や蛇行がほとんど無いので消費魔力は知れている。

なので

「モーラストまで“こくどう”!」

余裕だった。

ケチャール以降の僻地1町3村間は快適に移動出来るようになった。


そして各村長を各村に置いてアラスタまで帰ってきた。



前期(第一)収穫期になった。

いつもの収穫魔法による収穫。

収穫物は村の倉庫の米櫃(むぎびつ)米櫃(やさいびつ)へと直行した。

荷車に乗せ換えるのが面倒なので、風魔法で一気に倉庫へと移動させた。

その後、タルタンでも、その次のモーラストでも一気に収穫を終わらせた。

翌日は後期(第二)耕耘、種まきをアラスタから始める。

今回もセーラにやってもらい、僕は“えぇーゆだなぁー”でサポートした。

収穫はハッキリとした微妙なコントロール(イメージ)が必要なので僕が全部行った。


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