表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/91

61.生活環境の更なる…

第一収穫期までは、まだまだ日にちが有る。

生活環境の改善を考えよう。

昨年はアラスタの村道を魔改良した為、村内は年中快適に移動できるようになった。

魔洗便器が在る為、衛生環境はかなり改善されている。

食事の為の煮炊きは、竈に薪をくべ、魔法による点火・着火と、井戸から汲んでくる水に頼っている。

この辺を何とかしたい。

現代システムキッチン風のシンク・コンロ・オーブンの3種1セットの物体をイメージした。

魚焼き専用グリルはオーブンが有るからいらないよね。

地面に絵を描いて、大工さんに木でサンプル1号を作ってもらう。

四角い木の箱にシンクの部分は穴が開いていて、オーブンの所は上から手前下に開く扉を付けてもらい、シンク下は観音開きの扉を付けてもらった。

シンク下には小さい四角い箱を2個付けてもらった。

コンロは3口で蛇口を2カ所でイメージする。

ケチャールから持ってきた鍋や薬缶を、鉄の材料用として用意する。

あと足りない材料は地中から魔法さんにおまかせで

「しすてむきっちん」

サンプル1号と鍋と薬缶が光り、魔力が結構な勢いで抜けていく。

魔力酔いは起こらなかった。

魔法“しすてむきっちん”によって出来上がったシステムキッチン。

白を基調とした外板、オーブンの扉は銀色に光るステンレス仕様になっている。

オーブンの扉の中央部は耐熱ガラスののぞき窓が有る。

火力調整用の丸いつまみが5つ、3口コンロ用とオーブンの上下用だ。

蛇口部は握り部分が無い。

手や鍋を蛇口前にかざすと水が出る。

水はシンク下の貯水タンクに魔法により空気中の水分を水にしたものが溜まっている。

蛇口の横にはダイヤルが有り右にいっぱいまわすと、4℃の水が出て、左にいっぱいまわすと45℃のお湯が出る。

シンク下の2つの箱の片方は、無機物をそのま受け止める物。

お金とかをシンクの排水溝に落としても浄化消滅されずに回収できるようにした。

もう一つの箱は一定サイズ以上の大きさの有機固形物を一時貯蔵する為の箱だ。

こちらは間違って食材を落としても浄化消滅してしまわないようにする為なのだ。

それ以外の細かい有機物や液体は箱に入る前の排水管で浄化消滅する仕様にした。

ちなみにシステムキッチン全体は汚れをはじく仕様にもなっている。


出来上がったシステムキッチンを不思議なものを見る目で見ている母ちゃんと大工さん。

二人に使い方を実践しながら説明する。

もう少女漫画のヒロインの様にキラキラウルウルの瞳で色々な角度から、システムキッチンを見ていじっている。

大工さんが持ち帰ろうとしたのだろう、持ち上げようとしたが、びくともしない。

そりゃそうだ、簡単に移動出来ちゃったら、ひっくり返ったりして火事になったら困る。

ちなみに、地震やある程度の温度になると自動的に火が消える安全機能付き。

「コレは浄化魔法1回分で半日使い放題だよ。」

「どこで魔力を補充するの?」

「この“システムキッチン”のどこでも触れていれば大丈夫。」

「くれ!これ俺にくれ!」

「とりあえず、さっきと同じ箱38個作って頂戴。アラスタのみんなの家に1台ずつ配るから。」

「おー!任せておけ!」

トントン、カンカン、ギコギコ・・・・

アレックが近づいて来た。

「なにやっているんだ?」

そしてアレックにも実践説明をした。

「くれ!これ俺にくれ!」

「いや、今みんなの家の分作るから焦らないでね。」

システムキッチン1号のナンバー1、1/39は僕の家に設置する予定だ。

「ケチャールから持ってきた鍋とか薬缶とかの鉄分足りなくなるから、鉄分けて頂戴。」

「足りないならケチャール行って来るぞ。」

「システムキッチン1台に鍋2個と薬缶1個分あれば良いから、それくらいの鉄よろしくね。」

[エラ来て]

『はいよ』

エラが来たので“らぷ号”を連結する。

[アレックと一緒にケチャール迄行って鉄買って来て。]

『ジョンは行かないの?』

[うんこれ作るから行って来て]

ウンコではないよ。

『わかったわ。』

「先に“りにあかぁ”と“ういんどばりあ”っと、で、アレック乗って。」

「おう、俺にアレかかったままだとケチャールで移動できないから助かる。」

[エラ、アレックの言う事ちゃんと聞くんだよ。]

『わかったわ。』

[じゃぁ、行ってらっしゃい。]


“シュン!ピタ!”

結界で止まってしまった。

[ちゃんと門から出て行ってね。]

『結界の事忘れていた…、チョー恥ずかしいんですけど…。』

と毛の下は赤くなっているだろう顔を見せない様に、そっぽを向いて門へと向かったエラ。


鉄が揃うまで時間がかかると思う。

箱を作ってもらっている間に村長宅へ行き、各家の代表者に僕の所へ来てもらうよう伝えて再び戻って来た。


徐々に村人が集まって来る。

ある程度人が集まって来たから、使い方を説明しようとした所、母ちゃんが実演販売のような勢いで説明を始めた。

歓声や拍手が起きる。

1家庭に冷蔵庫・冷凍庫・システムキッチンと1日3回分以上の浄化魔力量が必要となると、数世帯はどれか1~2個、使用不可の状態になってしまう事が判った。

これに関しては持ちつ持たれつで、お願いした。


夕方、アレックが帰って来た。

ケチャールの町長と一緒に。

『余計なおっさんがついて来ちゃったよ。』

事前にエラが僕に念話を飛ばしてきていたので大工さんにはもう一つ追加で作ってもらっていた。

最終的に合計40個だ。

木の箱39個が並んでいる。

らぷ号からは、鍋ではなく鉄のインゴットが運び出される。

セーラにも手伝ってもらう。

「ではまいります…“しすてむきっちん”!か~ら~の~」

「「えぇーゆだなぁー」」

僕とセーラの2重詠唱による魔力回復だ。

出来上がった39個のシステムキッチン。

我先に持ち帰ろうとする村民たち。

びくともしない。

恨めしそうな顔で僕を見つめる。

「ではみんなの家に運び込めるようにしするね。“りにあかぁ”」

さっきまでびくともしなかったシステムキッチンが簡単に移動できるようになった。

「夜2時に軽くなる魔法を解除するからそれまでに設置してね。」

みんな大喜びでシステムキッチンを押して帰って行った。

ケチャールの町長用の1台は“らぷ号”に入れるそして僕とアレックと町長はケチャールへと向かう。


今回ケチャールへは5分で着いた。

エラは飛ばすときは飛ばし、そうでないときはほどほどに飛ばすみたいだ。

スピード狂というより浮遊感や木々を躱すスリルを楽しんでいるみたいだ。


ケチャールで町長宅にシステムキッチンを設置。

明日以降町民に宣伝するそうだ。

早馬でアラスタまで3日はかかるはず。

それまでタルタンと…その前に

「町の結界はどうしよう?」

「そういえばその話もしたから村へ戻るのに時間がかかったんだ。」

「是非お願いしたい。」

「今からでも良いの?」

「良いよ。是非是非是非ともお願いする。」

「じゃぁ“でっかいけっかい”と“あくにんたいさん”」

夜闇の町が“ピカッ!”と一瞬光った。

町民には結界魔法の話が行き渡っていたらしく、騒然とはならなかった。

「じゃぁ、帰るね。」


アラスタへ帰って来た。

そして厩で日課の“きれいきれい♡”をして家に帰る。


翌朝僕と僕の家族全員とアレックがタルタンへ行き、道以外が全てアラスタ化した。

その次の日はモーラストへ行き、同じく道以外のアラスタ化に成功する。

この間はケチャールの早馬とすれ違うことは無かった。

それは至極当たり前である。

僕達はいつも森を突っ切るショートカットなので、街道を使わないからだ。


次の日の夕刻、ようやくケチャールの早馬がアラスタに来た。

予想通り、ケチャールの全世帯のシステムキッチン化の要請だ。


翌朝ケチャールへと向かう。

もちろん早馬も“りにあかぁ”と“ういんどばりあ”をかけて、エラ&“らぷ号”の後をついて来てもらった。

早馬に乗っていた方は、到着時には熟睡してオネショしていた…”きれいきれい”してあげたけどね。

ケチャールでは既に木の箱と鉄のインゴットが準備されていた。

そして、魔王様(ジョルじいちゃん)も来ていた。

念話で「システムキッチン」の話をしたからだ。

「じゃーするね。“しすてむきっちん”か~ら~の~」

「「「えぇーゆだなぁー」」」

僕とセーラと魔王様(ジョルじいちゃん)の回復魔法三重詠唱だ。

さすが、ケチャール。

前回同様、予備が有る。

取り敢えず全世帯分を移動する為“りにあかぁ”をかけ移動してもらった。

夕刻、システムキッチンにかかっていた“りにあかぁ”の解除をした。予備の内5台を貰い、ソールトへ向かう。


領主様(アストール)へ1台献上し、ソールトの街全体に結界魔法“でっかいけっかい”と“あくにんたいさん”をかけた。


ちょうどその時、外門の所で騒ぎが起こった。

「なんで入れなーんだ!審査通ったじゃねーか!どーしてくれんだよ!」

「いや我々も良く解らないんだが、何で入って来ないんだ?」

「だからここからそっちに行けねぇんだよ!」

かなり騒がしくなっている。


僕達はその現場へ向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ