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59.ロシナンの告白

厩へ入った僕と魔王様(ジョルじいちゃん)

ポムとロシナンの頭部の刃がギラついている。

新しく家族になった仔馬の“キュー”とポム次期夫馬(ふじん)の“エラ”が居る。

僕にとっては当たり前の光景だが、この世界の常識からはかけ離れている。

番とその仔馬だけならまだしも、他馬(よそもの)も一緒に居て、且つ人も傍に居る。

しかも怪我無しで、生存したままでだ。

ロシナンはジョル爺ちゃんとお話がしたいのだから、ジョル爺ちゃんがロシナンに触れなければならない。

『ジョン、お願い。』

「じいちゃん、ロシナンが良いって言ったから触れて。」

ジョルダンはロシナンに触れる。

僕はロシナンとジョル爺ちゃんに触れ“かいわする”の魔法を唱える。

光った。

『ジョルダンと二人っきりで話したいから皆出ていって』

キューも僕達と一緒に厩を出る。


2時間経った。

空が明るくなってきた。

『入って来て良いよ。』

厩に入る。

「ジョン坊や、心して聞け。」

『あたい達は自分の死ぬ時期が判るの。で、あたいは、今度の冬に寿命になる。』

[え?若返って寿命伸びたんじゃないの?]

『あんたの葉法は“若返る”じゃぁ無く、物凄く健康になるんだよ。どんなに健康でも、寿命は寿命だよ。あたいが生きている間に“キュー”を産めて良かった。』

[・・・・・]

『キューにはもう、あたいの総てを伝授したし、あんたのおかげで、エラにも伝授できた。後はジョンに出来るかどうかだけど良いかい?』

[どうするの?]

ロシナンが僕の所へやって来て、ロシナンの額と僕の額とくっつけた。

そして僕の頭にロシナンの記憶が流れ込んできた。

『さすが、化けジョンだね。あたいの記憶を伝授する事が出来るのは本来自分の産んだ子だけなのにね。』

と言った瞬間ロシナンとポムの角が落ちた。

通常出産後半年から1年経たないと落ちない角がその日のうちに落ちた。

動物たちの記憶の伝授は時間をかけて行うみたいだが、受け皿がしっかりしていれば、一瞬で終わる。

キューはロシナンのお腹にいる間からジョン(ぼく)の魔法を大量に摂取していた為、余裕すぎるくらいの受け皿が出来ていた。

エラに関しては、春にジョン(ぼく)のミスで感電ではなく感魔させてしまった為受け皿が発達した為である。

後は最期の最後まで楽しく過ごす事に費やしてもらいたいと願う。


朝日が昇り家に入る。

そして、仔馬が産まれ、名を“キュー”にした事、最後にロシナンが今度の冬に寿命が尽きる事を話した。


もう角が無くなったので、厩から出て外を散歩する3頭。

アレックは馬が出産直後に角が取れるなんて聞いたこと無いものだから、混乱している。


「セーラ手伝って。」

「うん、いいよ。」

「ジョルじいちゃん、手伝って。」

「あぁ、良いぞ。」

「じゃぁロシナンの所へ行こう。」


[ロシナンおいで。]

ロシナンがやって来た。

[魔法試してみて良いかい?]

『良いよ。』

「僕が合図したらジョルじいちゃんは“えぇーゆだなぁー”をロシナンにかけて。」

「わかった。」

「セーラも“えぇーゆだなぁー”をロシナンにかけて。」

「うん、いいよ。」

「じゃぁせーのっ!」

「「“えぇーゆだなぁー」

そして僕は。

同時に100回分の“きれいきれい♡”をかけてみた。

[ロシナン、どうかな?]

『体調は良いけれど、寿命は変わらないみたいだね。』

寿命はどうにもできないみたいだった。

魔法で寿命がどこまでも延びるのであれば、生き物で溢れかえってしまい食糧難になってしまうよね。

それに、寿命を延ばす事が出来る魔法使いは、世界中のあらゆる人物からいろんな意味で狙われてしまうからね。

ジョル爺ちゃんも、寿命が延ばせなかった事に関して安堵していたみたいだ。

この辺はスッパリ諦めよう。


「ジョル爺ちゃん、“かいわする”の魔法かけたから、離れていてもお話出来るようになったよ。」

「本当か?」

「うん。」

「馬車の中からポム達とお話してたの見てしょ?。」

「あぁ、そういえばそうだったな。」

[領主様、聞こえる?]

『おっ、ジョンか、どうした?』

[今、魔王様が僕の所に来ているの。]

『え?』

[今、魔王様が僕の所に来ているの。]

『そ‥そうか。』

[ジョル爺ちゃんも離れた人とお話したいよね?]

「あぁ。」

[これから行っても良い?]

『かまわないぞ。』

[じゃぁ、ジョル爺ちゃんんと一緒に行くね。]

『えっと、何で来るのかな?』

[エラと“らぷ号”で。]

『わかった、待っている。』

「ジョル爺ちゃん行こう!」

エラに“らぷ号”をセットし、僕と魔王様(ジョルじいちゃん)とアレックが乗り込む。

御者席に僕とジョル爺ちゃんんとアレックが座る。

「誰も中に入らないの?」

「俺は一応ジョンの護衛だし…」

「儂はあの木々が避ける様を見たいしのぅ。」

「ボク一人で中に居ても…良いか。」

僕は“らぷ号”の中に移動する。

「じゃぁいつもの魔法するね、“りにあかぁ”に“ういんどばりあ”。」

・・・

あれ?出発しないぞ?

[エラ?]

『ジョンが“出発”って言ったら出発するよ?』

[あ、出発ーッ!]

裏の深森を突っ切って2分で着いちゃった。

カップヌードル芯有りの堅麺だ。

アレックは相変わらず、森の中では無我の境地だったみたいだ。


領主邸でジョル爺ちゃんとアストール間で“かいわする”の魔法をかけると次は王様の所となったが、

このまま行っても、ドンキと馬車の回収にアラスタまで戻らなければならない。

けど、“らぷ号”の居心地があまりにも良いので、やはり王都へと向かう。

ここで急遽アストールも一緒に行く事となった


王都に2分で着いた。

盗賊団を風船ワゴンの風船状態にして入都した僕と“らぷ号”は、王都では“顔パス”“らぷパス”で簡単に通過出来るようになっていた。

しかも王城へも“顔パス”“らぷパス”“魔王様パス”ですんなりだった。

王様との謁見も魔王様と僕様(・・)で優先された。


携帯電話の新規契約じゃなく遠距離会話魔法“かいわする”をかける為に最優先された。

皆で手をつなぎ輪になって“友達のO”でなく

「かいわする」

で、回線契約の完了。

「お話したい人を思い浮かべて話しかけると相手に声が聞こえるよ。」

「それは便利だな。そうだ家族と大臣たちともお願いしたい。」

先ずは王様家族全員がお手々繋いで“かいわする”の魔法をかけた。

その後国政関係者全員と王様と魔王様と必然的に僕が“かいわする”魔法によりグループ通話が可能となった。

そしてソールトの領主邸でアストールを降ろし、アストールという最果ての我が村へと帰った。


ジョル爺ちゃん

[ドルフや聞こえるか?]

『魔王様聞こえます。』

[おぉー!これは物凄く便利じゃ!]

『アラスタからですか?』

[そうじゃ、そうじゃ。]

『魔王様の国でも大丈夫なのでしょうか?』

[ジョン坊、どうなのじゃ?]

[たぶん大丈夫だと思うよ。]

[世界中の何処に居ても話が出来るのは凄いのじゃ。]

[この“かいわする”でお話しするのには、話かけた方の魔力を使うから、魔力が少ない人からは短い距離と短い時間しか話せないよ。]

『『『『『え゛!』』』』』

僕の説明は一方通行で全員に聞こえたようだ。

これにより全員が僕の魔力でグループ会話が出来てしまう。

『ということは、ジョンを呼び出せば誰にでも繋げてもらえるという事だな?』王

[そういうことになる…ね‥。]

ヤバイ、電話交換士になってしまった。

一応“えぇーゆだなぁー”が扱える人であれば、時間・距離無制限で使えるのだ。

時間が有ればジョル爺ちゃんにも“かいわする”を覚えてもらいたい。

遠距離会話ができるから、リモートになっちゃうのか。


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