48.犯罪者たちの処遇
短いです。領主様アストールの回です。
盗賊23人の首札の記載事項を書き写し、その書簡を王都の法務大臣宛に送ったアストール。
『元聖者で暗殺者の男が居たとは。
それをのほほんと制圧したジョン…
しかも、そいつの魔法を封じて梗塞するなんて芸当を、ごく当たり前にこなす化け物じみた行動力。
更に悪人には徹底して容赦しない気概。
魔王様が気にするのも良くわかる。
全員の死刑は確定だが、“ゲルト”だけは危険だな。
でもこいつだけ両足と左腕が無くなっていたな。』
(それはね、両足はポム君がチョッキンしちゃったからなのだよ。)
ゲルトとは案件人物の事だ。
本人は何も話さないが、首の札には“ぼくの名前はゲルトで盗賊です。608人殺しました”
そして裏には608人の名前と出身地がびっしり極小で書かれていた。
一人だけ突出していた殺人数。
各国の要人の名前も有った。
『早馬で王都の往復か…ジョンに頼めばよかった。
そう言えば、徒歩でアラスタからケチャールに来たって言っていたな。
アラスタからケチャール迄5日って言っていたな。
ん?今は冬だろ?5日?徒歩で?
あとケチャールで早馬を借りたと言っていたな。
ケチャールから2分で…ん?2分?でここまで来たって?
ジョンに預けたポムではなかったみたいだったが2分で?
どんな馬だったかな?
仮にケチャールからここまで2分だと王都まで、湖の上を走ると…
5分?え?5分?
それでポム達より少し早いって…え?
何で?
たしかに加速感や減速感が全く感じない魔法だし、風景がグニャグニャしてよく見えなかったあの速度よりも早いって事か?
どんだけ化け物の領域に行ってしまったんだあいつは。』
今回の王都への早馬は片道3日は絶対かかる。
元々ケチャールに居た早馬より早いはずのアストール専用の早馬を衛兵に貸して、王都まで行かせた。
それでも3日はかかる。
『やはり湖を迂回するのは遠回りだな。』
『よし、ジョンにもう一度ここに来てもらおう』
「誰かケチャール迄行ってジョンを連れて来てくれ!」
ということでジョンを迎えに行く別の衛兵1名がケチャールへ向けて出発した。