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5.もーりもりー

(1月)になった。

そろそろ農作物の種まき時期だ。

去年の冬に播いた藁は、雪の下でネズミか何かの小動物の餌になったみたいで、無くなっていた。

僕の魔力量はまだまだ増えているみたいだ。

たぶん。

毎夜布団の中に入り、床に手を置き家の外、玄関の反対側の方向で、地面より50cmから下方向へ、土魔法の穴掘り埋め立てを気を失うほど・・・・魔力枯渇状態になるまで繰り返すのがルーティーンであった。

穴は直径1m深さ1mの円柱型空洞。

地面すれすれだと落とし穴になってしまうし万が一、人が落ちた時埋め立ててしまって、そのまま朝までグーすか寝てしまったらとてもまずいから、50cmの安全マージンをとっている。

もし空洞のまま寝てしまって、誰かが落ちたとしても1m程度の深さなので安心。

毎夜穴あけ埋め立ての1サイクルの回数を数えている。

日中の使用魔力量にはばらつきがあるので、最終的な総魔力量にどれくらいの変化があるのかはよくわからない。


1歳ちょっとなのに、もうこの世界の6歳児以上の言語能力を有し3歳児以上の運動能力も余裕で見せつける僕“ジョン”。

村のアイドル的な存在。

村中から引っ張りだこなのである。

浄化魔法屋として…シクシク…。

生前は過労死?だったはずだけど。

1歳にしてこの労働量。

まだ1歳2カ月よ、僕は。



種まきの時期になった春、僕は各農家に行き、ぶっ倒れるまで魔法で畑を耕すことになってしまう。


僕にとっては我が家の方が一番なのである。

今春、家族3人で畑に出て、父ちゃんが畝を作り母ちゃんが穴を掘り種芋を入れる。

そして僕が土で埋める。

10個くらい埋めたあたりに僕が

「とーちゃーん。かーちゃーん。ねー良いかなー。」

と言った。

何事だろうと僕に視線を向ける二人。

「まほーするー!」

と言って畑の土に両手を付け

「もーりもりー」

すると見る見るうちに、等間隔に畝ができ、さらに一定間隔で種芋を入れる穴が開いていく。

ちなみに、ミミズが強く丈夫になるイメージも加えている。

そして僕が

いも()植えよー!」

と芋を抱えて歩き出したのと同時に母ちゃんはぶっ倒れた。

父ちゃんは母ちゃんを助け起こし、

「ジョン‥こ・これは…」

「うん!まほー!いも()らく()ちん!」

最初に抱えた分を埋め終わり次の種芋を取りに戻ったところで、母ちゃん再起動完了。

両親は無言で種芋を畑に埋める。

僕は鼻歌歌っている。

毎年数日かかる芋埋め作業が、今年は1日で終わった。


次の日は芋埋めの手伝いにじいちゃん家に行った。

じいちゃん所の畑はうちより広いので、毎年うちのが終わり次第じいちゃん所へ手伝いに行っていたが、今年は芋埋めシーズン2日目でじいちゃんの所へ来た僕たち。

じいちゃんは

「お前ん所の芋植え終わってから来てくれや!」

と怒っている。

父ちゃんは

「ごめん…、親父…、終わったわ。」

じいちゃんは意味が分からず眉根を寄せて父ちゃんを睨む。

そこで僕がニコニコとてとてとじいちゃんの傍まで行き

「じいちゃん見て見て!」

って地面に手を置き

「もーりもりー」

じいちゃんもぶっ倒れた。

じいちゃんが再起動するまで放置して3人で芋埋め作業。

じいちゃん合流後はスピードアップ。

爺ちゃんの所は爺ちゃん一人でやっていた初日と僕たちの合流日の2日で作業が終わった。


麦畑の麦撒き前の時期は村人総出で畑起こしを行うのがこの村の習わし。

本日はその初日。

各ファミリーごと麦畑の区画が決まっていて、順次耕し始めていた。

僕はその状況を見つめて、土をどのように耕しているのかを観察する。

隣の耕し終わった土に手を突っ込んで柔らかさや深さを確認。

別の区画へ行き同じように確認。

数カ所確認したあと、うちの区画に戻ってきてこちらも確認。

「とーちゃん。かーちゃん。じ~ちゃん。」

「「「・・・・・」」」 コクリ

3人そろって無言で頷く。

地面に手をつき

「もーりもりー!」

・・・・・・・・・・・・

こちらでは、見た目はいたって普通の麦畑の完成だ。

まー、この後はたらいまわしですよ。

僕としては、さっさと畑仕事終わらせて遊びたかったからなのに。

だけど5面終わって6面目でぶっ倒れた(爆睡)。

次の日は10面終わらせ11面目でぶっ倒れた(爆睡)。

次の日は15面終わらせ3日でトータル30面、最後の日は寝ることはなかった。

僕が寝ていた間にみんなが普通に耕していたのを合わせて、全35面の畑が完了した。


この後は、他の作物の畑へ連行される僕。


前世は過労死。

今1歳ちょっと・・・。


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