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4.オリジナル魔法

母の元へ行く。

かー()ちゃん、しょうか(浄化)まほーおしぇー(教え)てー。」

「「えっ?!!・・・・・」」

両親は固まった。

『?????』

首をかしげる僕。

「浄化魔法は呪文がとても長く難しいのよ。」

「ああ。少しでも間違えると魔力だけ無くなって発動もしないからな。」

「えーおしぇー(教え)てー。」

浄化魔法は万能キレイキレイだ。

体や衣服の汚れ、食器の汚れから汚物処理まで何でもござれの魔法だ。

何が何でもマスターしたい。

「じゃー夜寝る前に教えるね。」

魔力枯渇してもいいようになのか、日中別の魔法を使う時の為の魔力温存なのか、

夜まで待たなければダメみたいだった。

「とーちゃん、あきゃー(灯り)まほーおしぇー(教え)てー。」

「それも夜な。」

やっぱり夜か。


外に出る。

9月の中頃だ。木々の葉はもう散っている。

割と寒い。

両親・じいちゃんは畑の冬支度している。

畑の表面に麦わらを蒔いているのだ。

これにより地中深くまで凍らないようにするためだ。

この世界ではいつのまにかこのようにするようになっていたみたい。

空には薄暗いどんよりした雲が下りてきた。

白いものがちらちら下りてくる。

妖精?んなわけないか、雪だ。

雪だと思う。

何か地面に付く直前に消えてしまう。

周りの畑も同じように雪が積もらない。

「??」

畑仕事が一段落ついて僕のところに来た両親。

「これで次の春は安心だな。」

なんと藁の発酵熱でじわじわ地中まで冷えるのを遅らせているのだそうだ。

そして雪はしんしんと降りを強め、ある程度雪がが地面に着地してからは一気に積もり始めた。

その状況を確認してから僕たちは家に帰るのであった。


夜。

「まほー」

「まずは灯りからだな。」

「○□※□▽〰×○□▽△※○、・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・、□▽△※○。」

な・長い。

すると父ちゃんの掌から光の玉が出てきて天井の定位置に留まった。

「ながいねー。」

「灯りの強さ、光っている時間、どの場所でどれくらい留まっているか、光る以外は熱を持ったりしないとかを呪文で唱えているんだよ。」

「へーーー。」

「じゃー、今度は浄化ね。」

「うん。」

「○□※□▽〰×○□▽△※○、死▼●※◆・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・黒×●▲▼●※呪死◆■◆、□▽△※○。」

ところどころ不吉な日本語っぽい言葉があった、がこっちも長い。

すると服の汚れが無くなり体がすっきりした感覚になった。

「なんかきもちいー。」

「体の汚れとか部屋の汚れとかをきれいにしたからね。

でも今日はこれまでね。これ以上魔法を使えないわ。」

なんと部屋の汚れとか広範囲の浄化魔法は魔力がごっそり持って行かれるみたいだ。

「うん、わかった。僕もするね。」

呪文の出だしと最後はどちらの魔法も同じみたいだ。

が、僕はイメージ様・妄想全開による恩恵を理解している(つもり)なので、父ちゃんのと同じ様な感じで‥と頭の中で思い浮かべ

「あかゆくなーいぇ。」(訳:明るくなーれ)

と一言、決して“あ、痒くなーれ”ではないよ。

「「!!。」」

ぼくの掌から父ちゃんのと同じ様なものが出てきて、父ちゃんの灯りの元まで進んで、ぶつかった。

そして父ちゃんの灯りの元が消えた。

で、僕の灯りがその場で光続けたのであった。

それを見た父ちゃん、

「えっ?えっ?何?何?」

「どうしたの?」

「普通はあの呪文唱えないとダメなのに・・・

灯りどうしは重ならないで並んでくっつくはずなのに、オレのが消えちゃったし。」

で父ちゃんがまた

「ぶつぶつ・・・」

父ちゃんの灯り玉が僕の灯り玉の所にすぃーと近づいてきてぶつかった途端に

父ちゃんの灯り玉が消えてしまった。

僕はどんどん何だか可笑しくなってきて、つい・・・・。

「あかゆくなーいぇ。」

と叫んだ。

天井中央の灯り玉がドーナツ状の輪になって広がっていき、壁の近くまで行くと

壁から一定距離で止まり、そのまま四角い輪になり部屋中が均一の明るさになった。

影が出来ない。

「ぉおおお!たのしー!」

「「・・・・・・・・・・」」

両親は天井を見て固まっている。

「さっきかーちゃん、しょーかしちゃったから、しょーかまほーわしたしゆー。」

(訳:さっき母ちゃん、浄化しちゃったから浄化魔法は明日する)

と言ったら、二人とも再起動して僕を見つめてきた。

「今日からよろしく。」

灯り当番が僕になった瞬間だった。

灯りの強弱は僕のさじ加減でいつでも調整できた。

四角いリング状の光源だけれども任意の場所だけ明るくしたり暗くしたりもできた。

魔法love、イメージ大切、妄想バンザイ。


次の日朝の朝食前。

『家の中外満遍なくきれいに、体もきれいに、臭いを消して、ついでに便所もきれいに、臭いは元から絶つように、あ、あとばい菌も無くなっちゃえーってこんな感じかな?。』

と心の中で思い浮かべ、

「きぇーきぇー」(“きれいきれい”と言っているつもり)

某コマーシャルのフレーズ風で呪文を唱えた。

その瞬間、周りが明るく輝き始めた。


いきなり光り出した我が家…と便所。

便所で用をたしていた父ちゃんも。

朝食の用意をしていた母ちゃんも。

雪の降り具合を確認するために外へ出ていた隣の畑の爺ちゃんは…範囲外だったので光らなかった。

目撃者(体験者2人含む)は3人。

そして、いきなり光り出した我が家と便所。

目撃されてた物体はこの2棟。


雪はまだ降っている。


積雪深は僕の胸の高さ(深さ)位。


10秒程で光が収まってたみたい。

僕は気持ちよさそうに寝ていたそうだ。

・・・・・魔力切れだった。


昼頃目が覚めた。

両親&爺ちゃんが僕を見つめている。

ここはいつもの家だ。

でも違和感が。

「おいも()」(意訳:ごはん)

と呟くと、はっとして昼食の準備を始める母ちゃん。

父ちゃん爺ちゃんはまだこちらを見つめている。

でも違和感が。

発動途中で魔力が途切れると、きちんと魔法が作動しないんだったよね?

でも家の中が新築っぽく見える。

壁や天井なんか傷もシミも一つもなく木目ばっちりの表面つるつる。

床なんか靴のある所…。

靴まで新品みたい。

いつも土間に藁引いてカーペット敷いているが、

土間、藁、いつも見慣れていたぼろぼろのカーペット。

なんという事でしょう、新品同様になっているではありませんか。

あれ?

「おうちどうしちゃったの?」

「「「・・・・・・・」」」

「あっれー?」

と可愛く見えるように首をかしげる。

「お前の魔法でこんなになっちまったんだよ!」

そういえばいつも父ちゃんは爺ちゃんと同じ感じにくたびれた同じ様な服着ていたが、

今は…爺ちゃんはいつもどおりだ。

父ちゃんは…ファッションショーかって言いたくなるような綺麗な新品の皮製の服を着ている。

あれっ?母ちゃんは?

父ちゃんと同じだった。

実のところ両親は結婚の時、行商人からおそろいの中古の皮服を購入していた。

毎日、浄化魔法で手入れしていたので、ほぼ入手した時のままの状態を保つことが出来ていたのである。

それが、要するに本当の新品時の状態まできれいさっぱり戻ってしまっていたのであった。

浄化って汚れをきれいに落とすだけじゃなかったの?

ゴメン、二人とも何か着心地悪そう。

新品の革製品なので、全く馴染んでいない。

爺ちゃんが

「外」

と一言

僕の手を引き外へ。

父ちゃんも直ぐに出てきた。

母屋を中心に円形状に便所の壁の途中あたりまで雪が無くなっていて、そこを境に・・・。

便所の壁が昔のままの所と新品材料を使ったみたいな所とくっきりわかる様になっていた。

もちろん母屋は外観も新築そのもの・・・に見える。

便所の中を見ると、かろうじて便器部分は新品同様になっていた。

もちろん排泄物は無くなっていた。

壁と天井の古い部分が残っているので少し匂う。

これは使いにくそうと思いすぐに

「きれいきれい」

と便所限定で魔法を発動。

うん。

新築便所の完成だ。

でも・・・。浄化って汚れ落として消臭除菌するだけじゃなかったっけ?


次の日の朝と夕方、爺ちゃん家を“ジョン浄化”してビシッと新築化。

その3日後すぐ隣の“麦焼酎”(麦ジョーシュの事ね。父ちゃんと一緒♡)宅も“ジョン浄化”。

爺ちゃん家のすぐ隣と言ってもかなり離れているし、しかも雪で隣の家である爺ちゃん家は見えないはずなのに、何故ばれた?


この“きれいきれい“という魔法はさらに数日後村中で話題になり・・・・・。

冬の間毎日グーすかと他の各家々で眠る事になってしまった。

我が家は村外れにあるし、冬は皆家に籠って滅多に外出しない。

冬ごもりだからね。

雪解けまで秘密にしていようとしたが、村の中心に近づくにつれて人目に触れる機会が増えるせいか、秘密は続かなかった。


ちなみに村民一致してこの村だけの秘密事項となった。

・・・今のところ。

浄化魔法様!最高!!


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