32.魔導組合本部
魔王様サイドの続きです。
中6時、魔導組合の本部に着いた魔導王。
もめるのは面倒くさいので、最初から”魔導王の証“を持って受付へ行く。
今、臨時で受付の係員をしていたのは魔導王の奥さん“エルザ・ヘーベリウス”で、若き日の魔導王の姿を見て目に涙を浮かべ
「何か思い残しがあるのですね?おっしゃってくださいな。」
「いや、死んでいないから。まだ生きているから。ちょっと若く見えるようになっただけだから。殺さないでよね。お願いだから。」
ここで若返った事に気が付いた奥様。
羨ましそうな視線でじ~と見つめて来る。
「帰ったらエルザにもするから。ネ?。」
「確か、ノードスカー王国へ向かわれたと思いますが、まだ1月位しか経っていませんが、途中でお帰りになられたのですか?」
「ノードスカーへは行った。更に今回はノードスカーの外れの村まで言って来た。」
「それですと日にちが合いませんが?」
「帰りは半日…だった。」
「またー御冗談でしょ?」
「いや、本当で、その事でここに来たんだ。」
「なーんか胡散臭いですわねー。」
「後で証明するから、今は組合長と会いたい。」
「分かりました、では一緒にまいりましょう。」
トントン
組合長室のドアをノックする。
「入っていいぞ」
直ぐに返事が聞こえた。
部屋に入る魔導王夫妻。
部屋に入ると呆けた顔をした組合長“ボトム・ボルト”が座っている。
「ボトムよどうしたのだ?」
「・・・」
「まずは“ただいま”」
「え?魔導王様?」
「そうだが?」
「いやー。あれ?」
「まー儂の若い頃の顔を思い出してくれよ。」
「え?え?え?本当に?」
「帰って来てから皆同じ反応で面白いな。」
「お帰りなさいませ?魔導王様?」
「先に聖教会に寄って来た。とりあえずはまず外に出てほしいのだが。」
ということで3人で魔導組合の裏庭へ出る。
そこには凛々しい馬とへんてこりんな車輪の付いた馬車があった。
「先ずはこれだ」
と魔洗便器を馬車から降ろす。
「「何ですか?これは。」」
「これは“魔洗便器”という便器だ。」
「「便器…ですか?」」
「そうだ、どこでも使える完全自動浄化機能付き便器じゃ」
「コレを何処で?」
「馬車で…半日の所で…だ。」
「そんな近くでですか?」
「いや、ノードスカー王国の外れの村だ。」
「それだと半日なんて、半年とかじゃなく?」
質問をガン無視して
「それとこの馬はロシナンだ」
「「え?ええ!!」」
「ってあれ?この馬角が生えかかっていますが?」
「ん?お?本当だ。これはマズイ。またノードスカーへ行く‥前に馬車に乗ってくれ。」
2人は馬車の中に乗り込み、魔導王は御者席に座る。
「一旦外に出るからの。」
ロシナンにゆ~っくり歩くよう言い、城門を出る。
馬車内の2人に外を見るように伝え、窓から外を見ているのを確認してから
「ロシナン、海へ行って帰って来よう。」
と言ったとたん城門がニュルリと消えあっという間に海に出た。
海上をひとっ走りした後再び城門がニュルリと姿を現した。
「ということじゃ。」
馬車内の2人は反応してくれない。
とりあえず魔導組合の裏庭まで戻って来た。
その間に再起動が済んだ2人が下りて来る。
「ということじゃ。」
「「・・・・・」」
「ということじゃ。」
「何と言っていいのやら…。」
「この馬車で半日じゃ。」
再び組合長室に入る3人。
「で、最果ての地でこの馬車に魔法をかけてもらったのじゃ。」
「どのような人物にですか?」
「まだ3歳半だった。」
「ロシナンがそろそろまずい事になりそうだから一旦アラスタ村へ行ってくる。この魔洗便器は儂が使ったが、置いていくので使ってみるが良い。」
「「わたくしも行ってみたいのですが…。」」
という2人。
組合を開けるわけにはいかないので、妻のエルザだけ連れて行くことにした。
「では行って来る。」
と言い再びノードスカー王国へ向かう事になった。
夕方の日が暮れて、星が空に瞬きだしたころだ。
晴天、満天の星空の海上をノードスカー王国へ向かい爆走するロシナン馬車。
移動中のロシナン馬車で、数回“えぇーゆだなぁー”をロシナンとエルザにかける魔導王。
日の出前にノードスカー王城へ着いたロシナン馬車。
王城へ一旦入り、以前預けていたメスの馬“ドンキ”を引き取る。
「ドンキやロシナンの行く所に後で来てくれるかの?」
ドンキはロシナンと何か話しているように見える。
「ドンキやロシナンの行く所に後で来てくれるかの?」
すると2頭は揃って頭を大きく上下に振った。
「ではポムの所へ行こう。」
グニュン!
夜明けの薄暗い森の中を体を光らせながら走るロシナン。
王都から1時間半ほどでアラスタ村のジョンの家の前に着いた。
早朝ドアをノックする魔王様。
家から出て来るジョン。
「ジョル爺ちゃんとロシナン、お帰り。」
ロシナンを厩へ連れて行くジョン。
そして“かいじょ”と“きれい”と“えぇーゆだなぁー”をかける。
再会を喜びあうポムとロシナン。




