29.お馬鹿さんの会話
ポムとロシナンの会話の回です。
いつもより短いです。
『姉さん姉さん。俺ポムと言います。』
『わたしゃぁロシナンといいますじゃ。』
『姉さんのご主人様は魔法の王様なんですってね。』(ワクワク)
『んじゃ。』
『じゃー姉さんの魔力も凄そうですね。』
『いやー、あの人間の子供の方が物凄いぞよ。』
『あの子はジョンでさぁ。』
『ジョン坊ね。』
『姉さん、ジョンの魔法の“きれいきれい♡”は気持ち良いですぜ。』
『ああ、王都で一度かけてもらったが、アレは別次元の効能じゃった…。』
『今は別の“えぇーゆだなぁー”ってのをかけてもらっていますが、コレも凄いんでさー。』
『ほうほう。今度わしもかけてもらえるんじゃろうかのぅ。』
『おいらと一緒にいたら大丈夫でさー。』
『そんな安請け合いしても良いのかのぅ?』
『毎日朝晩かけてもらっているから大丈夫でさー。』
『ところでポムや。』
『なんでございやしょ。』
『ジョン坊の馬車にかけた魔法、アレはいったい何なんじゃ?』
『あっしは、まだ馬車引いてませんが、引いていた者共に聞いてみたら、『あのガキ化け物だ』と口をそろえていたです。』
『やはりの。』
『姉さん、それってなんなんですか?』
『いやの、馬車の重さが全く感じられなかったのじゃ。走り始めも止まる時も全く‥。』
『えっ?それって…。』
『そうじゃ、儂一頭で何もつけずに走っている感じだったのじゃ。』
『あれ?そういえば、王都から帰るときは湖の上走っちゃったなー。それと森の中も…。』
『なぬ?湖の上じゃと?』
『ハイです。何か体の重さも感じられなくなって地面を蹴れば足に負担もかからず物凄い速度が出ましたです。それに地面に寝転ぶ事が出来なくなったです。』
『なんじゃ?それは。』
『森の中は体が勝手に木を避けて、枝葉は勝手に避けてくれていたなー。』
『それもなんじゃ?』
『よく分からないけど、馬鹿げた魔法だったですよ。』
『何ともないのかえ?』
『最後に魔法を解いてくれたから、今は何ともないと思いますでさー。』
『・・・・・』
『姉さん、明日はおいらと一緒にこの村を回りませんか?』
『ポムが良ければ儂もこの村を見て回りたいのぅ。』
『ィよっしゃー!姉さんとデー…一緒に村を回れるぞ。』
『この老いぼれと一緒で良ければお願いするじゃ。』
『姉さんは老いぼれなんかじゃじゃないですぜ、もちろん喜んで案内しますぜ。』
ポムは年齢よりも魔力の相性が良い相手と一緒になりたいみたいだ。