2.初めての・・・
転生してから5か月。
両親の会話から魔法の大雑把なことを学んだ。
1.魔力量は生まれた時から決まっている。(いわゆるMAX-MP)
2.魔法の強さも生まれた時から決まっている。(いわゆる最大魔法レベル)
3.魔法の種類や精度は努力次第。(覚える事は出来るが十全に使えるかは別)
4.何らかの原因により後天的に魔力量や魔法の強さが増えたり減ったりする。
5.魔法は呪文を唱えなければ発動しない。(しかし声の大小は威力に関係ない)
6.魔力枯渇状態の時は吐き気とめまいが強烈に襲われ、時には気を失う。
7.丸一日魔力枯渇状態で魔力が回復しなければ魔力量が減るか死んでしまう。
だそうだ。
父も母も若い頃から灯り魔法や浄化魔法の使用限度回数は変わっていないみたいで、
さんざん魔力枯渇していたけれども全く魔力量は変わらなかったみたいだ。
マジか。
でも、生前のラノベ…あれは空想か…。
残念‥‥。
ラノベでは割と魔力枯渇と回復で魔力量増えるってのがあったなー。
でも・・・・・・でも・・・。
やっぱ残念。
そういえばラノベで魔法はイメージって記述が多かったなー。
『ちょっと試してみるか』
掌を上に(仰向けなので天井に)向けて水の玉をイメージして
「みぅ」
・・・・・・・・
真っ暗になった。
眠っていたみたいだ。
どれだけ眠っていたかわからないが、目が覚めたのでもう一度掌を天井に
「みぅ」
ぽたっ!
っ!
額に水滴が落ちてきた。
雨漏れ?
ふたたび掌を上に・・天井にむけて水の玉をイメージして
「みぅ?」
・・・・
真っ暗。
気が付いたら夜だった。
どうやら魔力枯渇で気を失っていたみたいだ。
めまいや吐き気は無かった。
ミルクを飲む。
今は夜なので寝る。
翌朝目覚める。
ミルクを飲んだ後寝たふりをする。
両親は俺がぐっすり寝ていると思って畑に出かけて行った。
「みぅ」
ぽたx3!
!!
顔に落ちてくる水滴が増えた気がする。
「みぅ」
・・・・
割とすぐに目が覚めたみたいだ。
「みぅ」
ぽたx10!
!!!
もしかして魔力量増えたの?魔力強くなったの?
何か物凄く興奮してきた。
「みーぅ!」
ぱしゃ!“
「けほっけほっ」
コップ1杯ほどの水が顔面にかかってしまった。
ニヤリ!
そしてすぐに記憶が無くなった。
昼頃、俺の目が覚めたのと同時に母が部屋に入って来て、俺を見て驚愕の表情に変わる。
何せ俺の顔あたりがびしょびしょになっていたから。
でも俺は「きゃっきゃっ」と笑っている。
俺の着替えをし、そして昼のチュパチュパタイムの後、満腹になったところ。
魔力量が劇増している気がして
「キャッキャッキャー!!」
母の腕の中で奇声をあげてしまった。
そして
「みーーーぅ!」
と言葉を発した瞬間
俺の掌からバケツ一杯ほどの水の塊が玄関の方へ時速100km程の速度で射出された。
そこで記憶が無くなった。
夕方目覚めた。
玄関の扉がというより玄関部分が壁の一部ごと壊れていた。
俺の水魔法のせいで、両親は俺を心配そうに見ていたが、俺が目覚めたら物凄い笑顔で抱きしめてきた。
「ジョン!あなた凄い!とても凄いわ!」
「ジョン!お前!凄い魔法使いになっているんだな!」
と言って喜んでいた。
『玄関どうしよう』
「ジョン、もう一回やって!」
「ジョン、もう一回できるか?」
「あーぅーうー・・」
「ね、もう一回」
「みーーう!」
ザバーーー!
ドラム缶半分ほど(約100リットル)の水で、部屋中が浸ってしまった。
魔法を使い魔力枯渇状態になるほど加速度的に魔力量と威力が大きくなってきている気がする。
両親は俺の魔法による水量に呆然としていた。
俺は調子に乗ってもう一度
「みーーうっ!。」
朝になっていた。
魔法が発動する前に、魔力切れで寝てしまったみたいだ。
玄関は壊れたままだが外から見えないように布で目隠しされていた。
目が覚めたら、ミルクタイム。
チュパチュパ後に畑に連れていかれた。
「ジョン、昨日のもう一回やってみて!」
「ジョン、また昨日のできるか?」
俺は掌を前の方(畑の方)へ向けて
「みぅっみぅっみぅ!」
と言った。
空というより途中の空間から雨のように水滴が畑に降り注いだ。
!!!
両親絶句。
ちょうど孫である俺を見に来たであろうジョアンなんか顎が外れていた。
しかも本人は顎が外れていることにまだ気が付いていない。
俺は魔法が使えて威力が上がっている事に喜びを覚え
「キャー!」
と叫んでいた。
今年は水不足だったのもあってか両親・爺ちゃん共に大喜び。
あの後爺ちゃんの畑に連れていかれて、
「みぅっみぅっみ!」
昼過ぎに目覚めた。
毎回1回の魔法に魔力全部乗せしていたみただった。
魔力回復しないうちに全力魔法を使うものだから気を失う。
はたからは、疲れて眠ってしまったように見えているみたいだった。
何せ、キャッキャと喜んでいて顔色も変わらず元気いっぱいで魔法を使うと気持ちよさそうに眠っている。
通常、魔力枯渇状態になり気を失うと、顔色が悪いまま、冷や汗をかきながら“うんうん“とうなされるそうだ。
午後チュパチュパタイム後爺ちゃんの畑で水魔法を使った。
芋畑は危機を脱した。
あれから10日後の朝、“麦のジョーシュ”がわが家へ来た。
やはり水不足のため麦の生育が悪い。
今年の税金年貢問題で、このままだと芋も相当量国に持って行かれそうだと領主から連絡が来ているみたいだ。
他の町や村も水不足で作物の生育が悪いみたいだ。
俺は居間のカーペット上でハイハイ&ゴロゴロして「キャッキャ」と暇つぶししている。
母は俺を抱っこして外に出る。
父と麦のダブル“ジョーシュ”は後に続いて出てきた。
今、俺の目の前は麦畑。
魔法の練習にはもってこいだ!と思いたい。
「ジョン、この前のもう一回やってみて!」
「ジョン、またこの前のでいっぱい出るやつできるか?」
「・・・・・・」
母が何か言いたげに父を睨む。
今回俺は水を降らせながら寝る気満々で思いっきり魔法をぶっ放そうと考えていた。
「みうっみぅっみーーーーぅ!!!」
と両手を高く上げた。
万歳だ。
ぽつ・・・・ぽつ・・ぽつ
パラパラパラ
ザーーーーーーーーーー!
雨っぽいちょっと多めの水滴が降って来たのが視界に入った途端いつのまにか夕方になっていた。
大成功だったみたい。
この時から俺の立場が激変した。
“水瓶ジョン”とか“井戸ジョン”とか“ミズジョン”
と呼ばれるようになった。
そして村内の各畑へ出張…連れてこられて雨乞い…水魔法の練習…実験する日々が続くのであった。
まー別に良いんだけれどもねー。
真ん中ので呼ばれたら「ハン○ーーーグ!」って叫びそうだし。