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14.居残りさん と お馬鹿さん

9月の中旬、あと数日したら離れが完成する。

完成の日には居残りの“アレック”さんとお馬鹿さんが来ることになる。

お馬鹿さんは“ポム”という名前だそうだ。

そして、無事、離れが完成。

何故か母屋である我が家より大きい。

今回母屋と離れの間に便所を新築した。

馬房は既に完成されている。

壁は繋がっていないが屋根は母屋と離れと便所がつながっている。

アレックさんは浄化魔法6回は使えるそうだ。

領主邸で働く人は基本、浄化魔法5回以上出来るくらいの魔力量保持者が大前提だそうだ

浄化魔法5回以上…母ちゃん後1回出来たら、そちらに就職できたかも…。


実は、母屋より広い離れには理由があったのだ。


離れと便所の建築が完了し、引っ越し日になった。

あのお馬鹿さんと、見たことない人たちがやって来る。

お馬鹿さんは馬房に行かず、僕の方へ真っ直ぐにやって来る。

『あー、ハイハイ。』

「きれいきれい♡」

“ピカー”!

全身シャキッ!毛並みフサーッ!となり、そして満足した表情で馬房に入っていった。

『やっぱ頭良いじゃん!』

そして初めてお目見えになる人たちは

“エリーヌ”:アレックの奥さん

“エル”:アレックの次男9歳

“セマ”:アレックの長女5歳

だそうだ。

長男(“アル”というらしい13歳)は領主の街の学校みたいな所に行っているし、『こんな不便な超僻地になんかには行きたくない』と言って来ないそうだ。

色々話を聞いていたのだろう奥さん達は、“きれいきれい♡”を実際に見て驚いてはいたが、予備知識のおかげかちょっと驚いただけであった。

そしてお互い自己紹介を済ませて、各家に入るのであった。


おわかりいただけただろうか、離れが大きいのは5人済む前提だったからなのだ。


僕の家の方は子供が生まれたばかりなので、僕がアレックさんの家に行き、お馬鹿さんに乗るための練習日程を詰めるのであった。

結果、雪が積もりお馬鹿さんから落ちても、土に直に落ちるよりは安全という事で、10月になってからに決まった。

それでも結局新旧の便所の浄化は僕担当になってしまった。

クソッ!フンッ!・・・

まあ良いや。

新築の家に“きれいきれい”したらどうなるか気になったので、

「ここ“きれいきれい”していい?」

と尋ねた。

アレックさんとエリーヌさんは『新築なのに何故?』という風な表情で

「まぁ良いけど・・・」

の言葉をいただいて、早速

「きれいきれい♡」

光りましたよ、新築のはずの離れとNEW便所。

見た目はほとんど変化無しだが、隙間風が全く無くなったのと、多少の建付けが悪かった所が修正された。

皆さんもリフレッシュ!、そして、もちろんアレック家族の服や靴などが新品になりましたよー。

子供たちは目を見開いている。

あらーそれ以上開くと目玉落ちちゃうよー。

奥さんは恍惚な顔をして斜め上方をボーっと見ている。

アレックさんは一度受けていたから目を瞑ってゆっくり息を吐く。

「いやー、やっぱりこの“きれいきれい♡”という魔法は凄いな。」

「えへっ♡」

「魔力量とか大丈夫なのか?」

ドキッ!

「この前魔力枯渇になっちゃったー。だからあまりいっぱいできないよー。」

このくらいだと500軒は余裕だけど、1,000軒はどうだか分からない‥言わないけど。

「まぁ無理すんなよ。」

心配されちゃった。

てへっ!



アレックさんとのお話の後は2人で“ポム”という賢いお馬鹿さんの居る馬房へ行く。

「よろしくねポム」

と言うと、嬉しそうに頭を擦り付けてきた。

鹿頭だが角は無い、地球基準で考えてはいけない。

体の割に頭小っさ!でも賢い、柄はホルスタイン。

通常ブラッシングしたりするが“キレイキレイ♡”の方が超超お気に入り。

魔法だと一瞬で終わるが、お馬鹿さん的には1日じっくり至れり尽くせりのケアをされている感覚が有るみたいだ。

シカも、人も同じで腹8分目で十分満足する食後感を伴う。

通常の食後だと、食べたりない場合は満足領域まで改善される。

「夕方また来るねー。」

と言って馬房を出る。


夕方再び馬房。

「新しい魔法するね」

とポムに話しかける。

ぽむは賢い。

『いつものでないのか』凹

落胆の表情を浮かべるお馬鹿さん。

「えぇーゆだなぁー」

“ピカー!”

いつもと同じ感覚だったみたいで、満足した顔になった。

そして

「きれい」

“ぽやー”

体表を浄化し、更に満足顔になるポム。

やはり魔力消費量は格段に抑えられている感覚がある。

「また明日ねー」

とポムと別れ家に帰る僕。

賢いポムは明日もまた魔法をかけてもらえると確信している。


夜、馬房で睡眠中のポムは“ぼやー”と光っていた。

あとで知ったのだが、お馬鹿さんは夜寝ている間に、微力ながら筋力や持久力の上昇効果のある魔法を、本能で、自らにかけていたのであった。

それであの馬鹿力が出るのね。

そりゃー魔法使えるから、魔力回復効果のあるの癒し魔法の気持ちよさは半端でないのが分かるわな。


通常は人の眼には見えないほどのかすかな光なのだが、お馬鹿さんの中で僕の魔法を一番受けている“ポム”は魔法性能も上昇し始めているのであった。

多分数年後には領主様所有のポム以外のお馬鹿さんも、とんでもない馬鹿になるのではないだろうか。

だってアラスタ村来るたびに僕の所へ直行してくるから、魔法かけないと何されるか分からないからし、しかたないよね。


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