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【声劇】幸せの館

作者: ほむら


加瀬 涼太 (かせりょうた)♂…27歳。サラリーマン。The普通。多分恐らくこの物語の主人公


中村剛士 (なかむらたけし)♂…30歳。フリーター。喧嘩っ早く荒々しい性格、よく怖がられる


渡辺愛梨 (わたなべあいり)♀…23歳。アパレル店員。カップルでこの館に連れてこられた。甘ったるい声で話す感情起伏の激しい性格


田村礼音 (たむられおん)♂…25歳。バンドマン。愛梨とカップル

だらしない、危機感がない。お調子者な性格


工藤南美 (くどうみなみ)♀…21歳。名門大学生。落ち着いた性格で基本物事には動じない


須王アンナ(すおうあんな)♀…28歳ハーフ。財閥令嬢。物腰柔らかく丁寧な性格


GM(ゲームマスター)♂♀…登場人物を館に連れてきた張本人。緊張感がなく登場人物の心を逆撫ですることが多い。思惑はなんだろうか


涼太♂:

剛士♂:

玲音♂:

愛梨♀:

南美♀:

アンナ♀:

GM♂♀:


3:4or4:3


--------------

剛士「だから何もしねぇーよ!怖がるな!鬱陶しい!お前の話し方がムカつくっつっただけだろうがよ!」


愛梨「うぇ〜ん怖ぃょぉ、玲音く〜ん」


玲音「そこが愛梨の可愛いところだろうが!愛梨を泣かすなよ!……よしよし愛梨俺が守ってやるからな」


アンナ「皆さんもう少しだけでいいのです、お静かにして貰えませんか」


剛士「あぁ??うるっせーのはこの女だろうが!」


南美「騒いだところで何もいいことはありませんよ、疲れるだけです」


剛士「ちっ調子狂うぜ、てめぇらも」


涼太「……ん、んん…?」


南美「あら、お目覚めになりましたか」


涼太「?あ、はい。ていうかど、どこですかここ…」


アンナ「ごめんなさい、私にも分からないの。貴方…傷とかは無いかしら?」


涼太「はい…特に」


剛士「おう、やっと目覚めたかガキ」


愛梨「が、ガキ呼ばわりは良くないよぉ」


玲音「愛梨は優しいな〜おはようお兄さん」


涼太「あ、おはようございます…あの…あなた達は?」


玲音「俺は田村玲音。俺もなんでここにいるかは分っかんねぇの。でも愛梨と一緒ならどこでもいいってな」


愛梨「玲音くんったら♡私は愛梨だょ、目が覚めたらここにいて私もびっくりしたょ。はぁ、玲音君と一緒で良かった♡」


玲音「もぉ〜お前は可愛いな全く〜」


剛士「ここのバカップルは置いとけ、俺は中村剛士。俺は一番最初に目が覚めたな、場所は分かんねぇし知らねぇ奴らと一緒だしで頭おかしくなったと思ったぜ」


南美「私は工藤南美、21歳大学生です。どこでしょうねここは」


アンナ「私は須王アンナ。私も皆様と同じ状況なので説明は省きますね。貴方のお名前は?」


涼太「僕は…加瀬涼太です、皆さんよろしくお願いします」


剛士「ハッ学校の自己紹介みてぇだな」


涼太「はぁ…えっと皆さんはどこまで記憶がありますか?僕は恐らく仕事帰りの電車を待っていたと思うんです」


剛士「言うて鮮明に思い出したんだな、お前」


愛梨「玲音くぅん大好き♡」


玲音「愛梨♡俺も好き」


南美「この状況で仲良くするのは勝手ですが空気を読むということをして貰えませんか」


愛梨「チッ」


玲音「愛梨?」


愛梨「ううん!なんでもない!」


剛士「………俺は正直覚えてねぇに近い多分家でくつろいでたんだと思うんだけどな」


南美「私は市の図書館でおよそ10時頃まで自習をしていました。」


涼太「そうですか、アンナさんは?」


アンナ「私は…それが全く思い出せないのです、ごめんなさい」


涼太「いえ、謝ることじゃ…」


玲音「俺は愛梨とデート中、公園のベンチで休んでたら愛梨が飲み物が欲しいって言ったんだ。それで俺が買いに行くかって話になって…多分買えてないと思うからベンチで2人揃ってだな」


愛梨「そぅそぅ、そんな感じだったよぉ」


涼太「なるほど…ありがとうございます。バラバラなんですね」


アンナ「あら、涼太さんはもしかして探偵さん?」


涼太「いや!そんなっ全然…ただのサラリーマンですよ、ただ共通点とかあれば集められた理由もわかると思って…」


剛士「やっぱりガキだったか(笑)」


愛梨「ん〜愛梨達に共通点〜?あるかなぁ。愛梨はわかんないなぁ」


玲音「俺もわかんねぇな、こんな怖いおっさんとか知り合いにいねぇし」


剛士「あ?それは俺の事か?」


玲音「自覚あんじゃんwウケるwww」


剛士「てめぇ…!」


南美「落ち着いてくださいと先程から言っているはずです」


愛梨「玲音くん、落ち着こぉ?今はここから出る方法考えようよぉ」


剛士・玲音「ふん!」


GM「やぁやぁやぁ皆さんお目覚めのようで」


全員「!?」


涼太「青い…鳥?」


GM「皆さん、幸せですか?私は幸せを運ぶ青い鳥兼ゲームマスター。私の独断と偏見で現在幸せを感じていないだろう皆さんを集めました」


玲音「どういうことだ!」


愛梨「愛梨達が幸せじゃないってどういうことぉ?愛梨はぁ玲音君と一緒にいれてとってもしあわせだよぉ?」


涼太「恐らく…それは今関係ありません、そんな簡単じゃない」


GM「それはいずれ気づくこと、今教えるべきことじゃありません」


剛士「ふざけるな!」


南美「状況だけはしっかり教えてもらいたいものです」


アンナ「………」


涼太「それで幸せを感じていなかったらなんなんだ、あんたの狙いはなんだ」


GM「おっと物分りのいい人間が1人。いいですねぇ1人でもいればゲームの進行がしやすくなる」


剛士「答えになってねぇぞ!」


GM「まぁまぁ落ち着いて。

このゲームはあなた方に幸せを与えるもの。よいしょ」


目の前に拳銃が6丁現れる


玲音「うわっ!」


愛梨「やだぁ…なにこれ」


アンナ「どういうおつもりですか」


涼太「なんだよ…これ」


剛士「拳銃じゃねぇか、それと幸せとなんの関係がある」


玲音「うっわぁー!これ本物かよ!すげぇ初めて見た!触っていいか?」


愛梨「ちょっと玲音くん!」


アンナ「ある意味物分りがいいですねあの方は」


GM「この拳銃6丁、本物は一丁だけ。見た目重みは全部一緒ですけどね。それで一日に1度本物を手にした人は1人殺してもらいます、殺さなかったら本物の拳銃を持っている人は脱落、まぁぶっちゃけて言うと死にますね」


剛士「は!?」


愛梨「何それ…殺すとか愛梨怖ぃ」


南美「……趣味が悪いにも程がありますね」


涼太「……殺す…?」


GM「そして一日の終わり、ん〜21時にしましょう。その時間に本物の拳銃を持ってる人を当ててもらいます。」


玲音「人狼ゲームみたいだな!」


愛梨「玲音君どうして楽しそうなの…?」


玲音「どうせドッキリだろ?だったら楽しもうぜ!愛梨のことは俺が守ってやるよ」


愛梨「玲音君…うん!」


GM「狼…その表現はいいですね。本物を狼、偽物を羊としましょう♪そして狼を指名したら羊の勝ち、羊を指名してしまったらゲームクリアとなりませんのでご注意を。またもし、狼が指名されたら処刑されます。」


剛士「狼はバレないように殺す必要があるのか…」


涼太「殺すとかおかしいだろ…!幸せって…ふざけてる」


南美「狼を引かないこと、羊なら羊だと信じさせることそれがこのゲームの大事なところですね」


アンナ「そういうことだそうですね難しい」


GM「では!みなさーん拳銃を選んでくださーい」


玲音「よっとこれにする〜」


愛梨「じゃ、じゃあ私は隣の」


剛士「面倒臭いこれでいい」


南美「きっと…どれを選んでも一緒」


アンナ「涼太さん…?残り2つどうされますか?」


涼太「残った方でいいです…」


アンナ「明らかに顔色が悪くなってますね、どうしましたか?」


涼太「なんでもないです、大丈夫…」


アンナ「では、私はこっちに」


涼太「………これか」


GM「皆さん選べましたね。それではこの部屋で試し打ちを1回行ってからゲームスタートです、まずは涼太さんから〜!」



GM「皆さん終わりましたね!ではゲームスタートです!」


涼太「……ふぅ」


剛士「やってらんねぇぜ俺は別の部屋に行く」


涼太「別々に行動して大丈夫なんですか」


剛士「お前が狼だった時の方が怖ぇよ俺は一人で行動する」


涼太「そうですか」


アンナ「私も別行動を取らせて貰いますね」


愛梨「愛梨はずぅっっと玲音君と一緒!」


玲音「おう!俺も愛梨と一緒だ」


南美「先に言っておきます、私は羊でした。それでは単独行動失礼します」


涼太「えっ?」


GM「時間まで暇なのでリスナーさんにのみ皆さんのモノローグをお聞かせしたいと思います♪」


涼太(この中の1人は絶対狼…誰も信じちゃいけないんだ…)


玲音(ちぇっ羊かよ、つまんねーの狼で1人殺ってみたかったなぁ、どうせドッキリなんだし)


剛士(偽物か…逃げれば取り敢えず安牌だな。あとは羊だと信じてもらうだけ…)


南美(羊…なんでもいいけど早く勉強しなきゃ)


愛梨(ちっ!本物かよ!殺さなきゃじゃんか!誰?誰を殺せばいい?みんなひとりだバレないと思うけど…死にたくない!クソ!……待てよ……)


GM「皆さん色んな心情を持っていますね、さてゲームはどう動くのか楽しみです♪」


愛梨「玲音君…」


玲音「なんだ?愛梨」


愛梨「私…南美さんが狼だと思う」


玲音「そうなのか?なんで」


愛梨「自分で羊だってわざわざ言うのっておかしいと思ぅの…」


玲音「それだけで決めつけるのか?」


愛梨「だめ…?だって怪しくて怖ぃよ」


玲音「愛梨が怖いなら申し訳ないけど南美さんに投票しようか」


愛梨「うん!あとごめんね、恥ずかしいけどお手洗い行きたい」


玲音「あはは、行ってこいよ」


愛梨(よし、あとは…)


剛士「ふぅとんでもねぇことに巻き込まれたな…全く。昔のツケか?」


愛梨「剛士さん」


剛士「あん?………………な、に」


愛梨「ごめん、剛士さんあなたに罪はないけどこうするしかないの」


剛士「お…まえ…が、狼…だっ…たの…か」


GM「さてさてさて〜答え合わせの時間がやってまいりましたぁー!皆さん誰に投票するかきめましたかぁ?!あれ、剛士さんがいませんねぇ…ということは?狼が動いたということ!くぅー!ゲームっぽくなってきましたー!」


涼太「うるさい…」


玲音「とか言ってどこかに隠したんだろ?」


GM「隠した?本物みます?ほいっ」


玲音「うわっ!…………おぇっ…」


愛梨「やめてよぉ、見せないで…」


アンナ「死体を見せるなんて本当に悪趣味だわ」


南美「……正確に心臓を撃ち抜いてる…プロの仕業みたい」


涼太「…隠せ、あまりにも可哀想だ」


GM「はーい、という訳で投票ターイム。狼はだぁれ?」


涼太「分かんないよ、そんなの…」


アンナ「そうですよね、分かるものではありません」


南美「私は羊でした、それしか言うことはありません」


愛梨「私は南美さんが狼だと思う…」


玲音「お、俺も…」


南美「んなっ!なぜ!私は本当に羊でした!」


愛梨「そう言い張るのが怪しいんだよぉ」


玲音「そうだそうだ、単独行動してたしアリバイないだろ!」


涼太「まて!そんなこと言ったらここにいる全員アリバイないだろ!」


アンナ「そうですね、玲音さんと愛梨さん以外は単独行動してました」


玲音「でも俺と愛梨が1人を狼だと思ってる、これで2票だ。他の人間に2票入らない限り南美さんが狼で決定だ」


涼太「……そもそもなんで人を処刑するのに躊躇いがないんだ…」


アンナ「そういう人なんですよきっと」


南美「助けて…私じゃない…お願い」


涼太「南美さん、あなたでは無い理由はありますか?」


南美「そ、それは…ない。だってずっと本を読んでいたから」


愛梨「私南美さんが狼の理由ある…」


南美「は!?なんで…!?私は剛士さんと部屋が離れてから1度もあっていないのよ!」


愛梨「じゃあ…このハンカチ何?」


南美「!?なんであなたが持って…それに血が…」


愛梨「この会場に来る時に落ちてて拾ったの」


GM「これで言い逃れは出来なさそうですね!南美さんが狼、これでいいと思う人!」


愛梨「はーい」


玲音「はい」


アンナ「はい」


涼太「…………」


南美「嘘、違う私じゃない!違う違う違う違う違う!!!」


GM「はーい!過半数の票が入ったので南美さんを処刑します!」


南美「私じゃなっ…………」


GM「はーい処刑完了♪それでは答え合わせします。本当に南美さんが狼だったのか…ドゥルルルルルルルルデン!羊でしたぁ!残念!」


愛梨「え…じゃあこのハンカチはなんだったの?愛梨無実の人を犯人扱いしちゃったの?うえーん」


玲音「仕方ないよ、あれはそう思ってしまう証拠のようなものだった。愛梨、大丈夫」


アンナ「………申し訳ないことをしたわ、南美さんごめんなさい」


涼太「………………」


GM「ハズレだったのでゲームはまだ終わりません!次の狼を決めましょう!次は4丁のうち一丁です!」


涼太「今回も残り物でいいです」


アンナ「私はこれにします」


愛梨「愛梨これ…」


玲音「俺これ、おい残ったぞ」


涼太「…はい」


GM「それではゲームスタート!アーンドモノローグ」


涼太(羊か…人を犠牲にして生き残る…これがあってるのか?本当の幸せってなんだ)


愛梨(よっしゃ羊!もうあんなのはごめんよ!)


アンナ(羊…)


玲音(狼…!!!クソっこれは本当の殺人ゲームだ、殺らなきゃ殺られる…誰だ、誰にすればいい!)


GM「今度はどうゲームが動くのでしょうね♪」



愛梨「アンナさん」


アンナ「愛梨さん、あれ、恋人さんとは一緒にいないの?」


愛梨「うん、お手洗い行ってる…愛梨怖いよぉ」


アンナ「そう、おふたりはいつも仲良しね、きっとこんな所に集められる以前に幸せだったんじゃないかしら」


愛梨「アンナさん…」


アンナ「………まさか本当に人が亡くなるなんてね、それもいっきに2人。気が滅入るわ。貴方も簡単に人に近づかない方がいいんじゃないかしら」


愛梨「う、うん…」



涼太「羊…また狼には気をつけなければ…ん?あれは…」


玲音「ただいま、愛梨。提案なんだけどこれからは別行動にしよう、ずっと一緒にいても良かったんだけど…正直今は誰も信じられない…」


愛梨「えっ、玲音君…愛梨も疑うの?愛梨羊だよ?」


玲音「疑いたくないし死にたくもない。だったら自分の身は自分で守っておく方が安全だと思うんだ。しばらくは別行動にしよう」


愛梨「玲音君がそう言うなら…」


愛梨(何よ!私が信じられないって言うの!?今までどんだけ尽くしてきたと思ってるのよ!)


愛梨「分かったよ…」


玲音「ありがとう愛梨、愛してるからな」


涼太(なぜ今更別行動を…?何か考えがあるのか?だとしたら今回の狼はまさか…!)


GM「それでは投票のお時間です!今回殺されたのは〜ででん!愛梨さん!」


涼太「………」


玲音「嘘だろ…?………グスッ愛梨ぃ…愛梨ぃー!」


アンナ「ここにいないということはそうでしょうね…」


涼太 (やっぱりか…)


GM「では!各自誰が狼か投票してください!」


玲音「誰だよ!俺の愛梨を殺したやつは!絶対許さねぇ!許さねぇ!リーマン!お前だろ!気弱なフリしてもっと弱い愛梨を狙ったんだ!犯人はこいつだ!」


涼太「……違います」


アンナ「根拠はあるのですか?」


涼太「……あります」


玲音「はぁぁ!?」


涼太「今回のゲームいつも一緒にいるあなた方に2人は単独行動をしていました、アンナさんも一人でいた愛梨さんを見かけたはずです」


アンナ「そうですね、今回は一人でいたから珍しく思って覚えています」


玲音「それがてめぇじゃなくなる根拠にはならねぇだろ!」


涼太「そうですね、僕じゃない根拠はこの続きです。単独行動を提案したのは玲音さん。その理由は二人でいるから玲音が殺し安いだろうと思わせないため」


玲音「は?」


涼太「あえて単独行動させてそれを他人に見させることで他の人も愛梨さんを殺せただろうという状況を作り出したんです、標的は僕みたいだったようですね」


アンナ「なるほど、そこで本当に狼の玲音さんが愛梨さんを殺したと」


玲音「違う!なんで俺が愛梨を殺さなきゃなんないんだ!そもそもその会話の証拠がないだろ!」


涼太「なにかおかしいと思ったのでボイスレコーダーに録音してあります」


玲音「んな!」


涼太「嘘です、でも今の表情、反応が何よりの証拠でしょう」


アンナ「そうですね」


玲音「カマかけやがって…」


GM「それでは玲音さんが狼だと思う人」


涼太「はい」


アンナ「はい」


玲音「違っ仕方なかったんだ!助けてくれよ!」


GM「過半数の票が入ったので田村玲音さんを処刑します!」


玲音「俺にはまだやりたいことがあっ………………」


アンナ「2度目でも慣れませんね、この光景は」


涼太「僕が殺したんだ…」


アンナ「………」


GM「さて!残り2人になったのでルールを変更します!本物の拳銃2丁をここに用意します、単純に殺しあってください!ゲームスタート!」


涼太「とうとう殺し合え…か。」


アンナ「雑なルールですね、拳銃を持って10秒間は何もしないのはいかがでしょうか」


涼太「乗り気ですね、アンナさん」


アンナ「だってそうするしかないのでしょう?」


涼太「いいですよ、分かりました」


アンナ「………………」


涼太「………………」


アンナ「なぜ撃たないのですか?」


涼太「そのままお返しします」


アンナ「私は撃ちます、今から」


涼太「そうですか、………どうぞ」


アンナ「拳銃を捨てた…?何をふざけているのです!」


涼太「ふざけてなんていませんよ、ほら早く。僕には人は殺せない、処刑してしまったけどね」


アンナ「こんな余裕のない状況で何悠長なこと言ってるんですか!」


涼太「アンナさん、覚悟を決めましょうよ。僕を撃ってあの時の地獄から抜け出して幸せになってください」


アンナ「………!?」


涼太「僕…思い出したんですよ、ここに集まった人達の共通点。あの事件ですよね」


アンナ「…っ」


涼太「あの事件の関係者。それも悪い意味で」


アンナ「そうよ…あの事件で私は弟を失った…。まだ大学生で未来があったはずの弟を。」


涼太「須王という苗字で思い出すべきだった、彼は僕の友達だったから」


アンナ「友達…?」


涼太「ええ、僕が裏切ってからは友達じゃなくなりましたが。このゲームは僕達の幸せじゃない。あなたの幸せ、復讐のためだったんだ」


アンナ「そうよ、弟は中村の脅しと貴方の裏切りを苦にしてビルから飛び降りた。渡辺と田村はその様子を面白おかしく拡散していた、工藤は助けられたかもしれない命を見て見ぬふりをした…全員許せなかった!全員の冷たい心のせいで弟は死んだ!全員死ねばいいと思った!だからこのゲームを始めたのよ!財閥のお金あるだけ使って建物から拳銃の手配、誘拐まで…」


涼太「そうですね、そこまで出来たのは財閥令嬢のあなただけだ。」


アンナ「このゲームを通して分かったけれどあなたは他の人とは違った。確信のない工藤さんを処刑にかける際あなたは賛成しなかった、殺しを最後まで躊躇っているように思えた。田村さんもそう、処刑を殺したと表現し悔いていた。今もそう、過去を思い出し命を差し出した」


涼太「まぁ、誰だって殺しは嫌ですよ。それに命を差し出すなんて大層なものじゃない、過去の過ちを精算するためにあなたにカタをつけてもらうだけだ」


アンナ「過ちだと思っているのね…」


涼太「そりゃまぁ。友達の相談を僕は自分の保身のために聞く耳を持たなかった、裏切ったのだから。彼が死んでから僕は信じるという言葉がめっぽうにダメになった。信じてもらえて僕は裏切ったのだから。まあ、これは自業自得ですけれど。すみませんでしたアンナさん。謝って許されることじゃないけれど最期に」


アンナ「弟は遺書であなたの事を責めてはいなかった、あなたの事を最後まで親友だと言っていたわ。あなたを憎んでいるのは私だけ」


涼太「…………そうですか」


アンナ「あなたは今幸せ?」


涼太「そうですね、彼が許してくれたと知れて前よりは幸せかもしれません」


アンナ「このゲームはもう1つ脱出できる方法があったの」


涼太「もう1つ?」


アンナ「狼になっても人を殺さないこと。自分が死ぬかもしれなくても他人を助ける、そんな優しさがあれば全員脱出できたのよ」


涼太「幸せは人の犠牲の上に成り立つものじゃない、優しさが作ると伝えたかったんですね。…でも貴方はあの人達の犠牲の上に幸せを手に入れようとした!それはどう言い訳するつもりなんです!」


アンナ「そうね、矛盾してるわ。だからって言い訳はしないし申し訳なさも私は感じない。幸せなんて建前、ただの復讐の館。さぁ、あなたは武器を手にしても相手を殺さなかった。脱出条件クリアよ、そこの扉から出られる」


涼太「……あなたは?」


アンナ「私は弟の所へ行くわ。もう守らなきゃいけない人はいないから」


涼太「それはダメだ…!」


アンナ「来ないで、撃つわよ」


涼太「そんなっ…あなたが幸せにならなきゃこの館になんの意味があったんだ!」


アンナ「私は幸せよ、だからもう行ってちょうだい」



涼太(僕は一人で外へ出た、その瞬間建物が火に包まれ崩れていった。彼女は本当に幸せだったのか、向こうで弟と出会えただろうか。僕は彼女とこの出来事を忘れずこれからも幸せになるために人にやさしく生きていこうと思う)



end

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