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暇潰しは乳兄弟

読みに来ていただきありがとうございます!

今回はちょっと短い場面で、次は長くなります。

 王太子ご夫妻とマティアス様が来る日、メイドや侍女、執事や従僕が忙しく走り回っていた。


 早い時間から準備ができた私は、ユーリと二人っきりで長い時間を自室で待たされていた。とはいえ、私はドレスや髪が崩れたりしてはいけないので、立って歩くか椅子に、シワに気をつけながら座るしかできない。ベッドにゴロゴロが大好きな私としては全くくつろげない暇な時間だった。


 私は赤い髪に映えるように、白が基調のドレスに赤い縁飾りがついた白いレース。可愛さを演出するため宝石主体ではなく、赤やピンクの生花に白いカスミ草を混ぜた、小さな花飾りが髪や肩のあたりに飾られていた。それらはうっかり寝転んだら、一瞬でぐちゃぐちゃ確定である。


 まぁ、センスに自信はないが頑張ったので、それなりに可愛らしく仕上がったとおもう。


 ちなみに、顔のパーツや赤い髪がきつすぎて、取り寄せた可愛いピンクや水色のドレスのような可愛らしい女子が着る、淡い色調のドレスが絶望的なくらい似合わなかった。

 赤や紫、オレンジ、黒など濃い色はやたらと似合ったが、濃い化粧でもすれば水商売でもいけそうな、色気に似た可愛さとは遠い感じになるのだ。一応言うと私は六歳である。

 白オンリーも微妙に濃い顔が浮くので、差し色に赤い縁取りが入ることに。


 沢山ワードロープにあった普段着用の淡い色のドレスは、私やユーリのトレーニング用に使われた。私が着ないまま死蔵されていたからだ。

 銀髪のユーリはフリフリのピンクは微妙に合わなかったが、白や水色、瞳と同じ薄紫等淡い寒色系のドレスはすごく似合っていた。だから、公式の場で着れそうなお洒落なドレスは、ユーリには随分遠慮されたが、もったいないし進呈することにした。だって、似合う人が着た方がいいし。


 ついでにユーリには、早めに着替えも終わったせいで、手持ちぶさただった私の暇潰しに付き合ってもらう。今はちょっとした内職作業中だ。白いナプキンと厚紙を組み合わせて、二つ形にしていく。なんとなく、手を動かしていると、細かい不安は忘れられる。


「ユーリ、今日は頑張る私の応援をしてね。」


 なんとなく組み立てて、作ったものを複数のピンを使って髪に留める。うん、可愛く仕上がった。


「リーチェ様の・・・応援ですか・・・はい・・・」


 微妙に沈み、気乗りしないようなユーリの返事。今回の茶会にフィリス解雇がかかっていることは、私もフィリスもユーリには言っていない。


 何を応援したらいいのか、わからないかもしれない。


 暇潰し作業の結果が割といい出来で、自分でも満足の笑みがこぼれた頃、メイドが扉を叩いた。


「王太子殿下ご一家が、門まで来られたそうです。」

「わかりました、すぐ行きます。」


 父と兄が待っている。一家で館の玄関に並んで、王太子ご一行のお迎えをするのだ。公爵令嬢として、恥ずかしくないように振る舞おう。そしてユーリたちを守るために、マティアス様を何が何でも、再度来させてみせる。気合いを入れて、ドレスの裾を捌く私。


「ほーっほっほっほっ、ユーリいってくるわね!お土産楽しみに待っててね!」

「リーチェ様、一体どこに行く気ですか。館の中庭でしょうが。」


 乳兄弟の顔から力が抜け、苦笑に崩れるのを見ながら私は扉を閉じた。



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