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お母様の力

ブックマーク、感想ありがとうございます!

「リリアーヌ様については、思い出話はまた今度してもいいが。いかに彼女の聖魔法が凄かったかは、これを見てもらえたら実感できるのではないかな?魔力を見る力があれば感じられるはずだ。」


 それは神殿とかの門前町で簡単に買える守り石だ。濃い青石はラピスラズリだろうか、丸いそれに穴が開いていて、そこを通る革ひもで首にかかっている。


 ライノールの首ったけから出てきた、庶民でも買えるような質のそう高くない石が、内側からの光でほんのり輝いて見える。


「十年前にリリアーヌ様が、戦場で祝福してくれたものだ。今でも不思議なくらい光の力がある。」

「あ」


 私はそれを見て驚いた、同じように不思議に光る石を持っていたからだ。首から金色の鎖に繋がれた赤い宝石を出した。


「それ、私も持っています。スタールビーのネックレスですけど、これも守り石だと聞いていますの。宝石だから不思議に思いませんでしたが、確かにこれも輝いて見えます。これもお母様の魔力でしょうか?」

「そのようだね、俺の物より石の質もいいが、親の愛もこもっているせいか、すごく輝いて見える。」


 私にはそこまでの輝きは感じられないが、寝るとき枕元の暗闇でも何故かすぐ見つけられる石なのだ。持っていると安心できるので、当たり前のようにほぼ毎日首にかけていた。


「僕も形は違いますが。リリアーヌ様に作っていただいたものを身につけています。母さんから出来るだけ身につけておくようにと言われています。」


ユーリが出してきたのは、銀色のペンダントだった。石の部分はアメジストだと思うが、右上の小さなもので、メインは銀色の金属板に文字のような紋様が書いてあるものだった。


「ユーリウスだったか、この紋様は神殿で使う文字だな。神聖文字は詳しくないが、神殿で作っている護符のように見える。何か他の人とは違う、怖いものが見えたり、不思議な体験をするとかはないか?」

「寝る時に特に夜暗いところで、いるはずのない影や声が聞こえたりします。延々夜泣き止まない、赤ちゃんの僕のためにリリアーヌ様が作ってくれたものだと聞いています。」

「え?そうなの?夜は影が怖いって、子供にありがちな幽霊怖いとか、ユーリの想像かと思ってた・・・・。」

「リーチェ様、さすがに僕もそこまで子供じゃないよ!」


いや、ユーリ、六歳は立派な子供です。


「寝る時にか・・・ベッドでその護符はつけているか?」

「いえ、今は風呂に入る時と寝る時は外しています。」

「護符だから、風呂はともかく、寝る際は身に着けておくといいだろう。」

「そうなんですね、わかりました。」

「ところで、ライノール、これは守り石とは違うの?」


私は疑問に思った。形がかなり違うのは意味があるのかと。


「守り石はなんとなくその人を守る感じだが、これはもう少し具体的に目的を持った物かな。俺はよく知らないが、良く似た文字を掘った、もっと簡素なものを同僚が首に下げてたんだ。死者だか闇の精霊だかに語りかけられる者がたまにいて、幼いと連れていかれると言われていてね。魔力の高い子に多いんだが、そういう子に渡す護符らしい。」

「こわっ、本気で幽霊避けですのね!ユーリが怖がってたのってほんとに何かいたんですのね。私の周りにもいますの?私も寝られなくなりそうですわ。」


 ぶるっと夜中ベッドを囲む幽霊を想像すると、寒気がした気がした。


「リーチェ様は大丈夫。リーチェ様の周りにはそういう影が寄って来ないんです。聖属性の魔力を持っていると言われて、なんとなく納得できました。」


そう言われた瞬間、不安で感じた寒気は気のせいとばかりに消えていった。


「まぁ、じゃあ私の聖属性ってほんとなのかもしれませんね。知らずにとはいえ、ユーリを守れてたなら良かったですわ、ほーっほっほっほっ。」


 暗いのが怖いと子供は色々想像する、前世でいえば保育園に通うくらいなら、一人で寝るなんて怖い限りだ。だから、子供の不安と想像力が影を作り出していると思ってたから、自分がユーリを本当に守れていたなんて気づかなかった。それを知ったのは、自分でも嬉しい限りだった。



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