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ゴスロリと仮面

 その後、しばらく悶えていたセンテネルは、自分が置いていかれている事に気がつく。

このままでは口も聞いてくれないかもしれないと思ったセンテネルは、彼を引き止めるためにとあるお店を指差した。


「先輩、待ってくださいよ。

あそこでアイスが売ってます。行きましょう!!

氷菓子 甘味 氷結 販売 買売 暴食 強欲 過ち 旨味。一緒に行きましょうよ」


「ガキか!てめぇは? まぁいい。待っててやるから行ってこい」


センテネルのワガママを聞いてエトナは側の木を背凭れとして使って彼が無事にアイスを買うのを待っている。

エトナはセンテネルに呆れながらも過保護なのかもしれない。

センテネルはうきうきしながらアイスを買いに行ったのだが。




 途中で、走ってきた通行人とぶつかってしまった。


「痛ってーな。何ぶつかってきてんだよ。

なんだ? その変な仮面はふざけてんのか? てめぇ」


そう言いながらセンテネルを睨み付ける通行人。

相手はいかにも性格の悪そうな通行人であった。

しかし、センテネルは魔王軍幹部だとしても喧嘩に移らず通行人に土下座を披露する。


「私としたことが……。すみません。

死して償わせていただきます。

私の汚らわしい罪を御許しください。清めください。懺悔 懺悔 懺悔 懺悔 懺悔 懺悔…………」


頭から流血するほどに頭を下げ土下座をし続けている。

こんなのを見たら誰であろうと関わりたくない。

誰でも気味悪がってその場から離れようとする。

それは通行人でも同じことであった。


「やめろ。気持ち悪い」


そう言うと脅す気もなくなった通行人はその場から立ち去ろうとする。

もちろん、簡単にはその場から逃げたりはしなかった。

こっそりと彼はセンテネルの財布を獲っていたのだ。

その財布をバレないようにポケットに入れて彼はその場から遠ざかろうとしていた。




 「あなた堕落してますね。

罪を重ねましたね。罪は懺悔しても償うものです。

ですが、神は日々、信仰の為忙しい。

なので私が代わりに裁いて差し上げましょう」


しかし、その事はとっくにセンテネルにはバレていた。

センテネルは土下座を止めて立ち上がる。

そうして、狂気染みたオーラを出しながら、その通行人を見つめている。

先程まで土下座をしていた者が急に豹変したのだ。


「なんだよ? お前おかしいぞ?」


焦りと恐怖を感じた通行人はその場から離れようと逃げ出してしまった。




 そして、ここはアイス屋から離れた遠くの路地裏。


「ハァハァ…。ここまで逃げればあいつはもう追ってこないだろう」


通行人は元々足には自信があったので、その走りでセンテネルから逃れて、この路地裏まで逃げてきたのだ。

周りに人は誰もいない事を確認すると、通行人は地面に腰を下ろす。


「もうここまで来たら誰も来ないだろう。まったく、ヒヤヒヤさせやがって」


そして、一息ついたところで盗んだ財布の中身を確認したのだが、


「なんだよ。財布には何もないのかよ」


中には1円も入っていなかったのである。

通行人はその財布を投げ捨て、二人目のカモを探しに出かけようとした。




 その時。


「堕落を極めていますねぇ~」


突然、誰かが後ろから話しかけてきた事で通行人は警戒する。


内心では心臓が飛び出そうな程ビックリしていたが、思いきって後ろを振り向いてみる。


「誰だ!?」


すると、辺りを見渡しても誰もいない。

「まさか」と思いながら通行人は上を見上げる。

そこには先程の仮面を被った男が宙に浮いていたのだ。

まるでサーカス団の綱渡りのように仮面を被った男は宙に浮いている。

「てめぇ、どうやって?」と言おうとした通行人であったが、突然声がでない状況に陥った。

それに呼吸もしにくい。

まるで彼の口を何かで押さえつけられているかのようだ。

その結果、通行人の恐怖心は更に上昇するのであった。

あまりの苦しさに地面に倒れて恐怖に悶え苦しむ姿を見ながらセンテネルは男に話しかける。


「あなたは堕落しています。素晴らしい。

あっ、両足はちゃんと固定させてもらいました。

逃げられないですよ~」


センテネルの言った通り、通行人の足は地面を立つことも出来ず、動かすことも出来なかった。




 しばらくすると、今度は幼女がその現場を訪れた。

通行人はその幼女に助けを求めようとしたが、その願いが叶わないことを知る。


「あっ、先輩。こいついります?」


そう言って通行人を指差しながらセンテネルは幼女に聞いた。


「そいつは入らねぇってよ。お前の好きにしな」


そう言い残すと、幼女は涙を浮かべた男には目もくれずに、その路地裏から出ていった。




 こうして再び二人きりになった路地裏。

男は恐怖心から涙を流し、センテネルはまるでピエロのように陽気に嗤っている。


「んんーんー!!!」


声がでない。息が苦しい。両手両足が動かない。

身動きも抵抗も出来ない男に向かってセンテネルは喜びながら話しかける。


「あなた良かったですね。喰われないって。

でも、その分私が使ってあげますからね。

あなたみたいな堕落した魂は信者にふさわしい。

教えを説かず強制的に信者にして差し上げますよ。

そして今こそあなたに神より力を授けましょう。

逃亡 後悔 懺悔 信仰 強制 不本意 目標 生活 清潔 堕落。

…では行き…ます…よ。

ようこそォゥォゥォゥォゥ!!!!堕落 堕落 堕落ぅぅぅ!!!!!!!!」


そう言いながらセンテネルは男の体にに何かを張り付けてしまった。

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今回の話もどうかあなたの暇潰しとして役にたちますように…。 気に入っていただけたら是非評価でもポチッと押していただけませんでしょうか。モチベーションに繋がりますので…。星1でも構いません!! ★これ以外の作品☆付喪神の力で闘う付喪人シリーズ
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