表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/295

フラグの使用にはご注意を

 「ふぅ…。危な…かった…ぜ」


そう言いながら、倒れていたはずの山上がゆっくりと起き上がった。

どうやら、目を覚ました山上がそばにあった槍を投げつけてくれたようだ。


「大丈夫か? 山上」


大台ケ原も目を覚まし、山上に駆け寄る。


「ああ、大丈夫だよ。生徒会長ってどうしたんだ。その顔は?」


顔がボコボコになっている大台ケ原は、何も答えずに山上に肩を貸して立ち上がらせた。

その様子を見ていると、山上の方はもう体力的にも危険な状態なのかもしれない。

本当は病院に連れていかなければいけないのだろうが、ここから病院に行くなんて時間がかかりすぎる。

俺はふと側に立っていた黒に頼み込んでみることにした。


「なぁ、黒。お前回復能力とかないのか? あいつ今にもヤバいと思うんだけど」


すると、どうやら黒は挑発を受けたと勘違いをしたようで、


「へぇー。疑ってるの? この私に出来ないことがあると思ってるの。これでも私は回復魔法くらい使えるんですからね!!

私をバカにしてるのね。見てなさいよ」


そう言うと黒は二人に近づき、回復魔法を放った。

黒の手のひらから黄緑色みたいな光が発射されて、光は山上の体を巡っている。

そして、しばらくするとその光は消えた。

もしかして、これで治療は終了なのだろうか。




 そんな黒の活躍を遠くから傍観していると、この光景を当たり前のように見ている事に気づき…。


「えーーーー!!!!!????? お前魔法が使えるの?」


俺は当たり前のように見守っていたのだが、黒が魔法が使えることに驚いていた。

そんな話を彼女は今まで一度もしてくれないかったのだ。


「あったり前じゃない。私は黒帝家の血を引いてるのよ」


どや顔を見せつけながら俺に自慢してくる姿は本当に腹立たしい。

しかし、羨ましくもある。


「お前でも魔法が使えるなら俺にも使えるかな?」


「魔法学を学べばね。でも、もう学んでも意味ないわ。時代が時代だもの」


そう言えばフィツロイもそんな事を言っていたが、この世界では魔法はどういう立場なのだろう。

モンスターもあまりいないし、冒険者の数も少なそうだ。

今度、黒に聞いてみるか。




 そんな事を思っていると、顔がボコボコになった大台ケ原は黒に向かって自身の想いを語り始める。


「黒さん。俺という男がいながら今回は怖がらせてしまってすまない。

だが、これからは今回の事を挽回できるように頑張っていく。だから、その~俺と……俺と付き合っ………」


しかし、黒は大台ケ原の話を聞いていなかったようだ。


「ねぇ~明山。早く帰りましょうよ。

ん? どうしたの? 生徒会長さん?」


黒は何を言われたか気になるようなキラキラとした瞳で大台ケ原を見つめる。


「あっ……いや、その~。なんでもないです」


大台ケ原は急に恥ずかしくなってしまったのだろう。

顔を赤面して黙ってしまった。

その様子を見て黒は不思議に思いながらも気にしない事にしたようだ。

少しショックを受けている大台ケ原を俺と山上は同情の目で見つめてあげていた。




 その時、俺の後ろで何かがモゾモゾと動く音が聞こえてくる。

その瞬間、俺は自分の背筋が凍るのを感じた。

確かに何かがいたのは明らかだったが、振り向いても何もないのだ。

何かがいた気がしたのだが、3人が気づいていないということは気のせいだったのだろうか。


「ふぅ、疲れたー。明山さん早く帰りましょう。皆が心配してるだろうし……。魔王軍幹部の八虐の謀大逆を倒したってこと皆に教えてあげないとね」


黒にとっては今の言葉は何気ない一言だったであろうが、明らかにフラグである。


「おい、お前……またそんなフラグを!?」


「「「…!?」」」


どうやら皆にも何かが動く音が聞こえたようだ。

皆、俺の方を見て青ざめている。

ん? 俺の方を見て?

俺はゆっくりと後ろを振り返る。

こんな時は洋風なボスのカッコいいテーマ音楽がかかるものだが。

俺が言いたいのはそれほどまでに確定していたと言うことだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今回の話もどうかあなたの暇潰しとして役にたちますように…。 気に入っていただけたら是非評価でもポチッと押していただけませんでしょうか。モチベーションに繋がりますので…。星1でも構いません!! ★これ以外の作品☆付喪神の力で闘う付喪人シリーズ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ