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英彦の決死の行動

 弱点をあっさりと見破られた付喪神達の焦る顔。

その顔を見ながら笑みを浮かべる八剣。


その笑みはまるで新しい玩具を見つけた子供のようであった。


「ぎゃあああああ」

「うろろろろろryk」

「ふえららたたt」


それぞれが違う断末魔を叫びながら溶けていく。


「一時撤退するぞ。あの女ひでぇ奴だ」

「あの女を先に殺せ。とにかく殺せ」


奴らは焦っていた。

弱点をあっさりと見破られ集中攻撃されているのだ。


「アハハハハハハハ、溶けろ溶けろ。ハハハハハ」


八剣は上機嫌で付喪神達に水をかけまくる。

彼女はまるで魔王のように付喪神達に破壊を繰り返していた。

そうして敵戦力の半分ほどを溶かしていった八剣だったが、


「はぁ…はぁ…流石に使いすぎたわ。疲れちまったよ」


どうやら大量にパワーを使ってしまい、疲れきってしまったらしい。

それをチャンスだと見た付喪神達。


「チャンスだ。皆」

「これ以上、奴の力が回復する前に」

「ぶっ殺す」


沢山の付喪神達が八剣に狙いを変更して飛びかかっていく。


「書記ィィィィ!!!」

「ダメだ間に合わない」


役員達も駆けつけようとするが、やはり数の多い付喪神達の方が有利なのだ。

八剣の視界には付喪神達の飛びかかる姿しか写らない。

八剣は死を覚悟した。




 「『インフェルノ ランナウェー、ファイアー、インフェルノ ランナウェー、ファイアー、インフェルノランナウェー、ファイア、インフェルノランナウェー、ファイアー』」


激しい炎によって、次々と倒れていく付喪神達。

その攻撃の主は英彦。


「八剣さん。早く避難してください。僕が追い払っている間に早く!!」


英彦は次々と八剣に襲いかかってくる付喪神達を倒していく。


「あんた…止めとけよ。私よりもあんたが逃げるべきよ」


「奴らの弱点が分かった今、重要なのは八剣さんの能力です。ここで殺されちゃいけないんです。皆さんは明山さん達を追ってください。どうやら終わりそうにないですから。ここは僕が足止めをしますから」


そう言うと英彦は八剣を突き飛ばした。

そして自分の方に向かってくる付喪神達。

そんな中、英彦は再び呪文のようなものを唱え始める。

英彦の周りに付喪神達が近づいてきた瞬間だった。

目を見開き、覚悟を決めて技名を言い放つ。


「『ラグナロク』」


英彦を中心に巨大な火柱が立った。

そのまま、英彦の姿は火柱の中に消えていく。




 「あいつ……付喪神ごと自分を……」


残された生徒会役員達。

八剣は英彦の焼死体に向かっていこうとするが、


「八剣さん。ダメです。あいつが作った隙を無駄にする気ですか? それにもうあの火力じゃ」


役員の一人に動きを止められる。


「あのクソガキ。くそっ…。何が足止めだよ」


八剣は地面を力任せに殴る。

込み上げてくる自分の無力さを呪いながら。


「だが、あいつのお陰で大半の付喪神達を倒せ……嘘だろ?」


役員の一人が途中で発言を止めてある方向に指を指す。

役員達がその方角を見ると、そこには……。




 そこにいたのは大量の付喪神達であった。


「ざぁぁぁぁんねんだったな。俺達は四阿様の付喪神。あのお方は無限に俺たちを創れるんだよ。あの人が死ぬまで永遠に偽者の元でもある俺たちをな」


その中の先頭にいた付喪神がそう言った。


「そいつはただ、四十体ほどの意味のない付喪神達と心中したんだぜ。アヒャャャ!!」


その隣にいた付喪神も続いてそう言った。


「じゃあ お前ら、200人ほどの俺たちの仇打ちと行こうじゃねぇか。行くぜぇ」


再び先頭にいた付喪神が叫ぶと、一斉に攻め込んできた。

これでは、せっかく心中した英彦が無駄死にである。

先ほど以上の数の付喪神達がこちらに向かって走ってきているのだ。




 その時、


「『ラグナロク』」


突然再び火柱が付喪神達を襲う。

皆が声のした方向を見ると、そこには黒く焦げた地面の上に立っている男がいた。


「英彦。生きて…はっ!」


八剣は嬉しそうに声をあげたが、あることに気がついた。


「あいつ笑っている。笑顔だ。そして目を見開いてる」


見ると英彦の顔はつり上がったような笑顔で、瞳孔を見開いていた。


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今回の話もどうかあなたの暇潰しとして役にたちますように…。 気に入っていただけたら是非評価でもポチッと押していただけませんでしょうか。モチベーションに繋がりますので…。星1でも構いません!! ★これ以外の作品☆付喪神の力で闘う付喪人シリーズ
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