山上の恐怖な体験
一方、こちらは生徒会室。真っ二つになる花瓶や絵。そして大台ケ原の前髪。
「うわぁぁぁぁぁ!?!?!?」
あらゆる物が斬られていく。
F-215の剣撃はすさまじく。
山上は反撃ができないまま、ただ剣さばきを避けることしか出来なかった。
「いつまでも逃げていたら俺を倒すことはできないぞ」
そう言いながらF-215は剣を振る事をやめない。
「チッ……」
山上は避けながら、戦いにくい生徒会室から隙を見て脱出する。
「どこへ行くつもりか? どこに行っても同じだ」
生徒会室から出ていった山上を追いかけF-215も廊下に出ていく。
しかし、F-215の目の前に山上の姿はなかった。
「まさか逃げた?」
辺りを見渡したが、周りには誰もいなかった。
「なんて、思ってんじゃねぇよ」
F-215は気づくのが遅すぎたのだ。
誰もいないわけではなかった。山上はいた。
天井に紐を張ってしがみつき、隙が出来るのを待っていたのだ。
「上にいただと!?」
F-215は上を振り向くが、既に首には紐が巻き付いていた。
「おい教えろ。お前らのことすべて……。さもないとその首縛り上げることになるぞ」
「殺ってみるがよい。無駄だから……。この……人も殺したことのない甘ちゃんめ! あっ、俺も殺したことなかった」
山上は躊躇うこともなく、紐を引っ張る。
それと同時にF-215の首は落ちた。
「チッ、こんなに楽なもんかよ。仕方がない。もう一人のやつに聞くか」
山上はF-215の死体を見捨てて、校庭に向かおうとした。
ふと、あいつの言った言葉が気になり、後ろを振り返り死体を確認する。
「!?」
その死体には首がなかった。
いや、首は落ちたからないのだが。
周りにないのだ。
首が転がっていったのだろうか。
そんなの想像したくないことである。
「おい、どうした? 探し物か?」
山上は声のした方向を向いた。
その方向は足元である。
「よっ、だから言っ……ブッベロブゥゥゥ」
山上によって、蹴飛ばされた首は廊下の先へ蹴り飛ばされていく。
「お前ってしつこいな」
至って冷静に振る舞ってはいたが、山上の心の中はこうなっていた。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
生首がしゃべるなんて超怖いィィィィィィ。
山上とF-215の戦いはまだ終わらない。
「まったく、本当にあいつの情報は正しいの? ほんとにこの高校なんかにいるのかしら。結局あの男も働いてくれなかったし……。もう……皆やる気が無さすぎるのよ」
女性は一人、廊下を歩いていた。
歳は既に成人しているのだろうが、とても若い年齢であることは確かだ。
校内には生徒は既に下校しているので、生徒会以外には誰もいない。
女性はどうやら何かを確かめに来たらしい。
教えてもらった情報を頼りにして、協力者が少ないながらも活動しているのだ。




