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放課後校内見回り隊

 「「偽者?」」


結局、二人は会長の話を聞きながら驚いた。

まさか会長の偽者なんているなんて思わなかったのだ。

いや、それよりも思う事があった。

どうしてこいつの偽者なんだ。

もっと良い見本がそこらに沢山あるというのに……。

生徒会長の偽者になんてなる価値がないのに……。

二人は彼の話を聞きながらそう思った。




 その後、三人は一応会長の偽者探しのために校内を見回って見ることに……。

彼らは生徒会室から出ると当てもなく学校内を捜索し始める。


「会長の偽者なんて何の得があるんだ。何もないと思うが」


「シー!!!」


山上は大台ヶ原に聞こえないように小声で呟くと、八剣は必死に黙らせようとしている。


「俺も昨日知ったんだ。俺のフリをして校内を歩き回っていたって聞いたぞ」


大台ケ原生徒会長はそう言っているが、ほんとにいるのだろうか。

騙されている気しかしない。




 夕方、誰もいない教室に微かに夕日が差し込む。

そんな幻想的な時間であったが校内には人も少なく、静まり返っていた。

誰もいない廊下。誰もいない教室。

昼間の生徒の元気の良さが無かったかのように静かである。

一階、二階、三階と次々見回りをしているが、誰もいない。


「やっぱり怪しい人物はいませんねェ。モグモグ」


八剣はいつの間にかメロンパンを頬張りながら歩いていた。


「なぁ、八剣。そのメロンパンどこにあった?」


山上が何かに気づいたかのように八剣を見る。

八剣はモグモグと食べ続けながら言った。


「副会長の机の上に置いてありましたぁ~」


「正直なのは良いことだが、それは俺の買った数量限定のメロンパンだ」


「そうですかぁ? モグモグ。すみまモグモグせんでしたモグモグ。いモグモグりモグモグまモグモグす?」


「チッ、明日新しいの買ってこいよ」


今日の山上は心が広かった。

いつもなら乱闘が始まるのだが、今日は落ち着いているようだ。


「モ、グモグ!?!? モグ、モグモグ、モグ!?」


そんな山上の態度に八剣も驚いている。

山上には、八剣が何を言っているか正確には分からなかったが、もう諦めた方がいいのだろう。

美味しそうにメロンパンを頬張る八剣を見ながら、山上はため息をついた。




 見回りを始めてから既に1時間ほどの時間が経過した。

だが、怪しい人物は誰もいないのだ。


「やっぱり生徒会長は騙されたんじゃないんですか?」


メロンパンを完食した八剣が疑いの目で大台ケ原を見ている。


「そうかも知れない。これだけ探してもいないんだ。すまなかった。帰りに何か奢るよ」


大台ケ原もどうやら偽者はいないという気になってしまった。

自分が騙されていた事をようやく気がついたようだ。


「これで悩みは解決だな。早く帰ろう。暗くなってしまう」


山上の発言によって三人は一階の靴箱へと向かう。




 そうして、3人は一階へと降りてきた。

靴箱までの間にはトイレがあり、その真横には大きな鑑が立て掛けてあった。

おそらく鏡が割れたのでその替えを一応、この場所に置いているのだろう。

その鏡を見て、異変にいち早く気づいたのは八剣だった。

彼女は二人に聞こえるように小声で、


「二人共、気づきましたか? 誰かが私たちの後ろからつけてきています」


そうして三人は後ろを振り向くがそこには誰もいない。

八剣はそこに誰もいないことに驚いているようだが、またふざけているのだろうか。


「八剣、誰もいないじゃないか」


「八剣、こんな時間まで残されてたからって冗談はやめてくれよ。怖くなっちゃうだろ」


もちろん、後ろに誰もいないので二人には冗談を言っているようにしか聞こえなかったのだろう。

山上と大台ケ原が話している時にもう一度鏡をチラ見した八剣だったが、やはり誰かがいる。

隠れながらこちらを見ているのだ。


「近づいてきたわ。こっちに歩いてきた」


八剣が何もない場所を指差している。

山上たちには何も見えないが、八剣だけには見えるのだろうか。


「だから、どうしたんだ八剣。何もいないぞ」


とにかく落ち着かせようと八剣を宥める大台ケ原だったが、


「生徒会長危ない。後ろに近づいてきました。

貴方の背に向かって刃物で刺して来ようとしています。後ろです。見えないんですか?」


どうやら八剣には何かが見えているのだ。

これは真実か、それとも彼女の幻覚なのか。

山上たちには見えない何かが見えているのだ。




 「くっ……まずい、すみません生徒会長。手荒な真似をします」


八剣はそう言うと彼女の付喪神の能力で流水を操り、大台ケ原を突き飛ばす。

大台ケ原は怪我なく突き飛ばされた。


「八剣、よくわからないがありがとう。でも、もう少し優しく突き飛ばせなかったか?」


大台ケ原はズボンに付いた埃を払って立ち上がる。

八剣は大台ケ原の無事を確認すると、山上の方を見て言った。


「あっ、副会長。後ろにいますよ。人質に取るつもりなんでしょうか?」


「チッ、何で俺の時は冷静な態度で教えてくれるんだよ」


山上は急いでその場から離れた。


「生徒会長大丈夫でしたか? はっ!?」


八剣の視界では、先程まで山上の近くにいたはずの男が大台ケ原の後ろにいるのだ。

そして、その男は持っている刃物を大台ヶ原に向かって……。


「あっ………。うわぁぁぁぁ!!!!!」


大台ケ原の背中から大量の出血。

背中から飛び出る暖かい液体。


「「生徒会長ォォォォォ!!!!!」」


二人は事の重大さを改めて理解した。

そいつはただそこにいるような幽霊ではない。

命を狙う暗殺者だったのだ。

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今回の話もどうかあなたの暇潰しとして役にたちますように…。 気に入っていただけたら是非評価でもポチッと押していただけませんでしょうか。モチベーションに繋がりますので…。星1でも構いません!! ★これ以外の作品☆付喪神の力で闘う付喪人シリーズ
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