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動き出す邪悪(narou)

 場所は数市にあるショッピングセンサー。

そこに沢山の人々に紛れて、2人のカップルがいた。


「今日はありがとう。楽しかったよ」

「あっ、私もです。あのまた会えますか?」


夜の噴水をバックに、「彼女は私との今日が楽しかった」と言ってくれた。


「また会おう。次に君と会える日が楽しみ。」


「はい!!」


そう言うと二人はそれぞれの家へと帰宅する。

先程の女性は私の彼女だ。

他の女とは違う……私にとって最も大切な女性だ。

今日は彼女と二人で懐かしの数市に出かけていたのだ。

私のお気に入りの愛車でドライブという訳だ。

すると、突然雨が降り始める。


「デート中に降りださなくてよかった」


道は傘を差す人でいっぱい。

現在、沢山の人が帰宅ラッシュをする時間なのだ。


「フフフ~ン。きょうはストレスも貯まらない良い日だったな。誰かに跡をつけられていなければな」


そう言うと男は一度立ち止まり、路地裏へと進んでいく。




 それを追いかけるように一人、彼の跡を追うものがいた。

路地裏には二人の人間しかいない。男はストーカーに向かって言った。


「君……私にストレスを感じさせてどうするつもりなんだい? 私に何か用かな?」


その問いかけに対し、レインコートを着ている人は、


「へぇ~やっぱりあなただったのね。

あの情報は正解か。

まぁ、あなたの正体を知ったとしても何も思わないけど。

ねぇ、あなたは傘を持ってない?」


その質問に男は血管の浮き出た顔で、


「俺の質問に答えろォォ!!!!

それとも、君は私の幸せな生活を邪魔しに来ただけか?」


「おっと……それはごめんなさい。でも、話すには傘がいるのよ。雨に濡れるのは誰でも嫌でしょ。特に私はね」


男は仕方がなくそいつに折り畳み傘を手渡した。

そいつは折り畳み傘を指し、レインコートのフードから頭を出す。

その顔は男にとっては馴染み深く。会いたいというよりは会いたいとは思えない。むしろ会いたくない存在である知り合い美人のお姉さんであった。


「おや? お前は確か」


「今回の事にはあなたにも協力してもらうわ。そろそろちゃんと働いて貰わないとね」


そう言うと彼女は男を見て怪しい笑みを浮かべる。しかし、男にとってはその彼女のために仕事を使用とは考えていない。


「すまないが私はまだ、あの御方の為に戦うつもりはないよ。

私は今、幸せな日々を過ごしているんだから……。あいつらに頼めばいいだろ」


「幸せ自慢かよ」とストカーは思いながらもその発言を押し殺して男に頼み込んでくる。


「あいつらも働かないのよ。とにかく、話だけでも聞いて……」


仕方なく男は彼女の話を聞くことにした。

『ストカーの回想』


「……という事なの」


「そうか…遂に1人殺られたか。これはみんなが動き出すな。だが、私はまだ魔王のために働きたくない。

まだまだ彼女とデートだってしたりないし、仕事もあるし、趣味もある」


「そこをなんとか……。真面目な人が必要なのよ。私に恩を返すと思って」


レインコートを着ている者は、私に頼み込んでくる。

しかし、私にだってプライベートがあるのだ。

確かに長年の仲ではあるが、苦労ばっかりかけさせられた。


「嫌だ。確かにかわいい人に言われているのを断れる性格ではないが、君は性格がかわいくない」


「ヒッ………!?

ひどいな~お姉ちゃんを泣かせるなんて悪い子だぞ? 反抗期かな?」


レインコートの者は驚いてはいるが、いつも通りのテンションで会話を続ける。


「別に君の破裂音を聞いても構わないんだよ? それに君は私のお姉ちゃんじゃないし」


だが、私の言っていることは嘘偽りのない真実である。


「分かったよ。君の好きにしなさい。

もうお姉ちゃんは知らないからね」


レインコートの者はそう言うと、怒りを露にしてその場から立ち去っていく。




 しかし、そう簡単にいかないのがレインコートの者とのやり取りである。

そいつは路地裏を出るフリをして側で隠れている。

本人は気づいていないのかもしれないが、バレバレの隠れ方だ。

これで隠れているつもりなのだろうか。

笑わせてくれる。


「まったく、分かったよ。もしも私が魔王様に命令された時は動いてやるよ。

でもそれまでは自由にさせてくれてもいいだろ?

私も平穏な人生を過ごしたいんだ。

幸せになりたいんだ。

それに魂は結構な量を送ってあげてるはずだよ」


「ゲッ、バレてる。そう言うならいいわ。

確かにあなたは魂を回収する数が多いものね。あなたの趣味のお陰だわ。まぁ…じゃあね。またどこかで会いましょう?

私の可愛い弟ちゃん~」


レインコートの者は手を振りながら、路地裏を出ていった。


私は路地裏に1人取り残される。


「……無事を祈ってるよ。私の偽者お姉ちゃん」


私はふと呟いてしまった事を後悔しながら、私も路地裏から出ていった。

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今回の話もどうかあなたの暇潰しとして役にたちますように…。 気に入っていただけたら是非評価でもポチッと押していただけませんでしょうか。モチベーションに繋がりますので…。星1でも構いません!! ★これ以外の作品☆付喪神の力で闘う付喪人シリーズ
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