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霧島伝説物語

 霧島津都きりしましんとはとある大国で生まれた。

彼は父は将軍。母が貴族。

そして、兄もいる貴族の家に生まれたのだ。

彼は成長し大人になると発明家になった。

俺の作った発明の出来は国中に広まり、ついに王族に仕えることが出来るほどに出世した。

その王族は白帝家。

白帝家は古来よりあった名門一族であり霧島が生まれ育った国の王族だったのだ。

そして、彼は真面目に働いた。

毎日毎日休まず働いた。

そのおかげだろうか…王に大臣としての地位を与えられた。

ある日、いつもの通り町を歩いていると彼は一人の女性と出会う。

彼はその女性に一目惚れした。

それほど美しいレディだったのだ。

そして、大臣としての知名度もあったからだろうが、王様の誕生日パーティーが国を上げて行われた日のこと。

勇気を持って話しかけると彼らはすぐに意気投合し仲良くなった。

そして二人は数ヶ月後に結婚した。

とても幸せだった。

彼の人生に春が訪れたのだ。

それから9年後、二人の間にめでたく子供が生まれた。

これからも3人幸せに仲良く暮らせる。

彼はそう思っていた。

だが、平和な日常が突如崩れ始めた。

ある日、やって来たあいつらによって………。




 バイオ団。

奴らは見せしめとして隣の国を征服していた。

理由はただ1つ、条約を要求させるため、ただその為だけである。

そして、同盟を結ぶため王の前に現れたバイオ団のリーダーであるバイオン。

彼は王に言った。


「これは初めまして王様。私はバイオンです。

今回あなた方に要求する事は、私たちと条約を結んで貰いたいのです」


「あなたがバイオンですか。話は聞いていました。お父様は元気ですか?」


「ええ、ですがね。ちゃんとこちらの話を聞いて貰いませんと………。

いいですか? あなたが我々の条約を結ぶ事によって今後、あなたの国を守ってあげようと言ってるんですよ」


その発言に王は怒りをこらえていた。

そして、作り笑顔をして質問をした。


「では我々は見返りに何をすればいいのですか?」


すると、バイオンは一瞬だけ王を睨み付けながら一言呟いた


「兵士」


「へっ、兵士?」


「そう優秀な兵士。あなた方に優秀な兵士として働いて欲しいのです」


王はさらに怒りをこらえていた。

しかし、ふと疑問に思ったことを発した。


「も…もし条約を結ばない場合って?」


「ほぉ、そんなこと聞いたって分かってるんですよね。あなたは王ですからね。

おや失礼。王とは言っても白帝家の権力を使ってこの小国を納めている方ですからね。まぁ、こんな感じですかね」


すると、バイオンは手からエネルギー弾を放つ。

そのエネルギー弾は城から少し遠くにある建物に当たり、建物は破壊された。


「付喪人が一人殺気を出してこちらを見ていたもので………。こういう事は事前に知ってたんですよ。では、これからよろしくお願いしますよ国王」


そう言うとバイオンは部下を引き連れて帰っていった。




 「クッ、何故だ。何故あんなクソガキに暗殺計画がバレたんだ。しかもあいつは俺をこの俺をバカにした…。この国の王である俺を…………」


王は悔しがっていた。


「意見することをお許しください。国王。ここは一つ本国に助けを求めると言うのは?」


家臣の一人は王に意見を申し上げた。


しかし、王にはそうする気がなかった。プライドを捨てたくなかったのだろう。


「それはダメだ。俺は37代目白帝の長男だぞ。俺の父は既にこの世を去った。弟達はいるがこの俺よりできてはいない。そんな格下どもに助けを乞えと言うのか」


「いえ、あっ………滅相もありません」


「そもそもあんなやつら、我が軍で蹴散らしてやりたいものだ。

しかし、何故あいつは知っていたのだ。暗殺計画を………。」


距離からしてもここからでは気づく事も出来ないほど離れていた場所だった。

何故あいつは知っていたのだ。

暗殺計画を…………。

何故あいつは知っていた?

知っていた?

王はあることに気付いた。


「まさか、この俺の家臣達の中に奴のスパイがいる?」


家臣達は驚いた。

確かに、あの計画を事前に聞いてたのは家臣達しかいなかった。

………とすると疑われているのは明らかだ。

だが、もし自分が疑われたら、もしアリバイを証明出来なければそれは一族の滅亡を意味するのだ。

下手に証言すれば命に関わる。

だが、もしもこの中に犯人がいなければ、疑いは今後も続き出世すら出来なくなる。

でも犯人は自白しない。

そうここから家臣達の裏切り合いが始まるのだ。




 その時期だろうか。

俺の兄も結婚していて、そして男の子も授かっていた。

また俺は変わらず幸せな日々を過ごしていた。

ある朝、俺はいつも通り仕事場へ向かっていると………。

町を歩くと周りの皆からの異様な視線を感じた。

そのときに既に気づいていればこんな事にはならなかったのかもしれない。

人々の視線を掻い潜りつつ、城へ入ると門番から霧島が王に呼ばれていると言われて、すぐさま王の元へ…………。

扉を開けると何人もの家臣が王の周りに控えていた。


「お待たせし申し訳ありません国王。今回は何故私めを及びに?」


王は椅子から静かに立ち上がるとこう言った。


「お前にスパイの容疑がかかっているのだ」


「ああ、前に宴会代を王様名義で払ったことで…………ん? スパイですか?」


「その事は後で聞くとして………そうだ」


俺は驚いた。

無実である自分にスパイ疑惑がかけられているのだ。


「それは謝った情報です。私がその様な事をするはずがございません」


すると、王は思いもよらない一言を発した。


「しかし、皆お前がバイオ団と話している所を見たと言っておるぞ」


「それも誤りでございます」


すると、何人かの家臣は口を揃えて、


「私はお前がバイオ団に何か話しているのを見たぞ」


「私もですぞ。」


家臣の全員がそう言っていた。


「そんな、まさかお前たち手っ取り早く犯人を作り上げて王からの信頼が無くならないように計画したな。

一番新入りの俺がいなくなっても別に損はないから。俺に冤罪をかけたな。

王様きちんと調べれば私の無実は証明されるはずです」


もう頼れるのは王様しかいなかった。

家臣どもは皆信じられないからである。

しかし王は、


「霧島お前をスパイとして無期懲役の刑に処する。連れていけ」


側にいた警備員達に捕らえられ俺は知った。


「王様あなたは調べることを怠った。犯人は他にいます。俺は無実なんだ。くそっ、離せ警備員ども。あんたは後悔する。俺を捕まえた事をいずれ後悔する。復讐してやる。呪ってやる。くそ野郎ーーーーー!!!!!」


俺が恨みを込めて叫んでいると、扉は閉められてしまう。




 手錠に繋がれたまま俺は町を歩いている。

人々からのヤジが飛ぶなかで、俺は絶望していた。

王はただ不安を消し去りたかっただけ、犯人さえ見つかれば良かったんだ。

奴等が憎い。憎い。憎い。憎い。

そして、こうして信じてくれない国民も憎い。

俺の側には何人もの警察官が銃を構えている。

俺が逃げ出さないようにだ。

もはやこのまま牢獄へと入れられて一生を過ごすのだろう。

そう思って諦めていたその時…………。

どこからか、微かに俺の名を呼ぶ声が聞こえた。

俺はもう疲れきっているのだろうか。

身も心も、疲れきっている。

だからこんな幻聴まで聞こえ……………。


「霧島お前を助けに来たぞ」


声がする方を見るとそこには、


「兄さん…。皆…。」


「いくぞお前ら霧島を救え!!」


「オオオオオオ!!!!」


俺の兄や友達が警察官に向かって突っ込んでいく。

その時から、警察官と仲間達の乱闘が始まった。


八百屋のティム達が猛威を震わせながら警察官相手に無双している。

その隙をついて、霧島に近づく者が一人。


「今、助けてやるからな」


彼は針金を使い手錠を開けようと試みる。


「兄さん無理だ。頼む逃げてくれ。このままだと皆…………。犯罪者として処刑される。俺はこうなる運命だったんだよ」


しかし、彼は止めなかった。


「待ってろ。今開けてやるからな。もう少しだ。後少し……………」


当時の俺には何故皆がここまでして自分を助けようとしてくれるのか分からなかった。


「なんで、なんでだよ。皆!!!!」


その時、警察長からの発砲許可が降りたのだろう。警察官達は銃を構えている。


「撃てぇ!!!!」


警察官達は発砲した。


すると、霧島の耳に激しく響く銃声や苦しむ声が聞こえた。


「グハッ!?」


傷口から地面に垂れ落ちる大量の血。


「ハァハァ、ヤバイヨ」


仲間全員の声がでなくなった。


「トォムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」


「トムが殺られた」


「嘘だろ。トムが…………八百屋のトムが…………」


「トムが殺られちまった。一度退却を………………」


「トムが殺られたもうダメだ。おしまいだよ~。死ぬんだ俺たちは死ぬんだ」


仲間達はもうパニック状態に陥る。

この場にいた警察官の目も傷ついたトムに向かう。

その隙に兄は俺の手錠を外すことに成功した。


「今だ。いけ津都」


「ああ本当にすまない。でも、なんで俺なんか…………」


しかし、無事に手錠を外して二人で逃げようとした瞬間。運命は残酷だった。




 「お前らどこへいくんだ。」


一人の警察官が俺達の事に気付いたのだ。

その声を聞いて他の警察官達も振り返り、俺に狙いを定めてくる。

絶体絶命の危機。俺は死を覚悟した。


「津都。お前は本当に嫌いだ。

お前が無実で捕まったって聞いたから助けてやろう思たから、俺が反バイオ団派の皆や、お前を助けたいと言ってくれる友達達と共に助けに来たんだ。

それなのにお前は生きることを諦めている。

お前を救いたいと思って来てる奴らに向かってそんな事口にするなよ」


「兄さん……………………」


いつも優しく接してくれた兄さんが本気で怒ったのはこれが初めてだった。


「そんなお前が俺は本当に嫌いだ。お前とは一緒に行きたくない。お前とはもう話したくもない。お前だけ後から惨めについてくるんだな」


「兄さん何もそんな言い方ないだろ。なら俺だって兄さんが嫌いだ。いつも人に黙って行動する。それでいつも家族に心配かけた。自分勝手な性格も本当に嫌いだ。兄さんなんて大嫌いだ」


警察官達は急に始まった兄弟喧嘩に戸惑いながらも銃を構えた状態にしていた。

だが、彼らの兄弟喧嘩は終らない。言い合いはまだ続いている。

さすがに警察官達も痺れを切らしているようだ。


「むむむ………。撃て!!!」


「お前の事はもう知らん。消えろ俺の前に姿を見せるな。ほら行け!!!」


兄はそう言うと俺を突き飛ばした。

後ろへ飛ばされた俺は偶然にもごみ置き場の所にぶつかった。

その時、激しい爆音と共に警察官達の叫び声が響き渡る。




 「兄さん…………?」


俺はその時何が起こったか分からなかった。

理解が出来なかった。分かりたくなかった。

兄はその身を犠牲にして俺を警察官達から守ったのだろう。

まだ子供を授かったばかりの兄。恐らく彼の息子や妻は帰りを待っているだろう。

俺の心は泣き叫びそうだった。

しかし、兄が最後に「行け」と言っていた事を思い出すと俺は走った。

決して振り返らずに兄が残した者のために………。




 追っ手を掻い潜りながら兄の家に行ってみると、

そこには誰もいなかった。

恐らく既に町から逃げていたのだ。

次に俺の親が住んでいる家に向かった。

親の家は兄の家に近い位置にあるのだ。

中に入ると親もいない。

安心したが自分の家族が無事かどうか確認するため俺はまた走った。

町ではまだ警察官が俺を探している。

必死に隠れながら、やっとの思いで俺は自宅に着いた。




 俺の自宅は町の外れにある。ここから少し歩けば国を出ることが出来るほどに…………。

俺は玄関から中に入るため鍵を開けようとした。

先程も思ったが兄や親の家には鍵がかけられてなかった。

俺の自宅にも鍵がかけられてなかったのだ。

恐らく全員もうこの事を知り、この国から逃げたのだろう。

俺が冤罪をかけられたばかりに色々な人に迷惑をかけてしまった。

「後で再会したら謝ろう」そう思った。


そうして中に入った時、異様というか不自然な空気を感じた。

家の家具が減っていたのだ。

皆が逃げた後、泥棒でも入ったのだろう。

つまり、だいぶ前にこの家から出たのだ。

安心した。後は俺が逃げればいいと思った。しかし、気付いた。

ゆりかごの中に俺の息子が置いていかれていたのだ。


「白魔。なんでお母さんは?」


そう聞いても白魔はまだしゃべれない。赤ちゃんだから…………。

ただ泣いていた。あやしても彼は泣き止まない。


「誰もいないのか?」


声をかけてみるが、誰も出てこない。

妻は本当に逃げてしまったのか。

もう妻は……………。


俺はまだ幼かった白魔を連れて家から出ようとした。

だが机の上にはあるものが置いてあった。それに気づいてしまった。

まだ湯気が出ている妻の大好きなコーヒー牛乳だ。

妻は苦いものが苦手なのである。

これを見るにさっきまで妻はこの家にいたのだ。

恐らく5分から10分前まではここに妻はいたのだ。

その時、俺の頭の中を嫌な想像が過った。

その事を確かめるために、俺は妻の携帯に電話をかけてみる。しかし、返事はない。

仕方なく俺は白魔を抱き抱え外に出ることにした。

妻の安否を探ろうともせずに………。




 そして、無事に国を出ることが出来た。

だが、俺はいずれここに戻ってくることになるだろう。

復讐を遂げるまで俺は生きることを決意した。

それからは白魔との二人暮らし。

家族を探したが見つからず時だけが過ぎていった。

ある日、俺は風の噂で国が滅びたということを知った。

だが、俺は復讐相手がいなくなったとは考えなかった。

俺の復讐相手は既にあの王だけでなく白帝家全員になっていたのだ。

白帝一族が滅亡するまで復讐を止めない俺はそう誓った。俺のために死んでいった仲間達のため、行方不明になった家族のために………。

その日から俺と白魔の復讐の人生が始まったのだ。




霧島回想「完」

スタッフロールが流れてきそうな展開だが流れるはずもない。


「フフ、皆次回も俺が大活躍するぞ。ぜひ見てください。さもなくば、夜にお前の家の前の隣のうちの近くの人の友達の友達の仲間が住んでいる町で知り合った友達の住んでいる国のある惑星で読んでいる人に、この物語の第6話に現れるぞぉ」


すると、執事が静かに言った。


「何を言っているのか分かりません霧島様」


「ああ、そうだろう。実は俺も自分で何を言っているのか分からなかったよ」


部屋から出ようと霧島が歩き出した時、霧島はまだ部屋にいた執事に言った。


「あっ、そういえば執事よ。この館は明日から俺と白魔だけで暮らすから、それ以外は全員今日限りで出ていかせてくれ」


執事は霧島からの命令に静かに頷く。


「分かりました。今までありがとうございました霧島様」


執事は分かっていた。

霧島は今から起こる事に自分たち使用人を巻き込みたくないということを…………。

霧島は静かに微笑むと、部屋から出ていった。



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今回の話もどうかあなたの暇潰しとして役にたちますように…。 気に入っていただけたら是非評価でもポチッと押していただけませんでしょうか。モチベーションに繋がりますので…。星1でも構いません!! ★これ以外の作品☆付喪神の力で闘う付喪人シリーズ
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