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とある男の朝食教室

 いつも通りの朝が来た。

雀が鳴き、蝶が舞っている穏やかな朝である。

私はいつも通りの時間に起きて時計を見る。

すると、あの人との待ち合わせにはまだ時間があるようだ。

今日はあの人が綺麗な夕日を見たいというので連れていく約束をしていたのだ。




 「良い朝だ。今日も国市は平和だなぁ。本当にいい都市だ。

う~ん、そうだな。今日は時間までのんびりと過ごすのも良いかもしれない。しかし、殺人鬼騒ぎで暇している奴らが羨ましいものだ。はぁ、朝から下準備をしなければなぁ」


私は台所へと向かうと、自分用の朝食を作る為に食材を冷蔵庫から取り出した。


「今日の朝食はタマゴサンドに、コーヒー、後はこの余り物の野菜で作ったサラダと、ブルーベリーヨーグルト。これなら今日も健康に生きていけるかな?」




 さぁ…料理を始めよう。

ブルーベリーヨーグルト。

これは市販のやつで大丈夫だ。


では、タマゴサンドを作ろう。

キュウリとかハムとか飾りつけはいらないのさ。

タマゴのみ、これこそがタマゴサンド。

まずはタマゴの準備から。

卵を茹でる。時間は8分くらいかな。

鍋に水を入れて強火にかけ沸騰させ、鍋に卵を投入。そして、すぐさま冷やす冷やす冷やす。

その間にバターを室温に戻しておこう。

冷やしたら、殻を剥いでキッチンペーパーで水気を取り、粗みじん切り。

切られた卵をボウルに入れたら、マヨネーズを加えてヘラでかき混ぜる。

塩、粗挽き黒コショウを加えよう。

食パンの耳は全て削ぎ落とし、両面にバターを塗りたくって卵ペーストを挟む。

ラップで包み、冷蔵庫で10分寝かせて卵と食パンをなじませよう。

最後に冷蔵庫から取り出し、ラップをはずして半分に切れば完成。


 さて、次は余り物サラダ。

野菜をパッと切ってシュパッと切ってお皿にインすれば完成だ。


さぁ、問題のコーヒーの作りの始まりだ。

まず、豆を選ぼう。今回は粉末状にしておいた高級品のコーヒー粉だ。

おっと、作り方は普通のコーヒーと同じだから省略しよう。

さぁ、完成だ。私特製のコーヒー。


『イヤァァァァァァァァ!!! キャァァァァァァ!!! ギヤァァァァァァ!!! ウギヤァァァァァ!!!』


コーヒーから叫び声が聞こえるようだが、気のせいだろう。

さて、これで朝食は揃った。




 それら全てをテーブルに並べて、私は食卓に座った。

自分で作っておいてなんだが、料理の腕はとても良いかもしれない。

いつかサンドウィッチ店を経営するのも良いかもしれないな。

そのときは自慢のサンドウィッチに自慢のコーヒーをつけてモーニングセットで売り出してあげるつもりだ。

その後、我ながら上出来な朝食を食べた後、私は皿を洗う為に皿を流しへと運んだ。

そして、きちんと皿をピカピカにした後、私は顔を洗いに洗面所へと向かう。




 歯磨き、顔洗い、トイレ、風呂掃除、洗濯物洗い。

一通りの家事を一時的に終わらせることができた。

さて、次にやることは……。


「さてさてさて……。そろそろ下見に行きますか」


私は再び部屋に戻ると、スーツにズボンを履いて、仕事モードへと切り替わる。

だが、本当に仕事にいくというわけではない。

今からが仕事であり、趣味の時間でもあるのだ。


「さぁ、今日も一日はりきって頑張ろう~!!」


これから始まる趣味の時間を楽しみに私は玄関を飛び出していった。




 私の家は国市の住宅街にある和風な外見の屋敷だ。

みんなが見惚れるような美しい豪邸でも、古びた幽霊屋敷と呼ばれる様な家ではない。

ごく普通の屋敷。

それが私の愛する家だ。


「今日はどこへ行こうか」


私は車庫に向かうと、真っ赤な軽自動車に乗り込んだ。

数市に住んでいた時に、一目惚れしたので初めて車という物を買ってみたのだ。

もちろん、免許証も数市で取得した。

長年使っている愛車なのだ。

私は車のエンジンをかけ、今日も平和な町をドライブするのだ。




 道路には殺人鬼騒ぎでも通勤している会社員達。

まぁ、そもそも殺人鬼騒ぎで休業になる方がおかしいのだ。

相手はたかが殺人鬼。

それなのに、学校や幼稚園は帰宅時間を早めたりしている。

子持ちの社会人にはキツイ日々。

「みんな早く殺人鬼が逮捕されないかな」なんて思っているのだろうな。

私は車の窓から社会人達を見ながら、そう思っていた。


「それほど、出世して金持ちになりたいのかな。

休み無し、毎日毎日、ペコペコと頭を下げる。出世して偉い地位に登り詰めるか」


私はとあるショッピングモールにたどり着くと、そこの駐車場に車を止めた。




 ここまでは簡単だ。

ただし、ショッピングモールに用があるというわけではない。

その周辺、周辺でよいのだ。

ショッピングモールの周辺で、暇そうに歩いている女性を探す。


そうナンパである。

私が今から行うのはナンパ。


「さぁってと、今日はどの子を誘うとするかな」


小声でそう呟きながら町を歩く。

出来れば性格の悪そうな、金持ちのお嬢様がよいのだが……。

そんな女性はだいたい国市なんかに住んではいないだろう。




 そう思っているとちょうど目の前に二人組の女性が歩いているのを見つけた。


「やっぱ高級水着は良いわね」


「さすがにヤバイよ。彼の財布からクレジットカードを借りてきたからと言っても……。勝手に数百万もする水着を買うなんて」


どうやらその女性は彼氏に無断で高級水着を買ったらしいんだが。


「大丈夫、大丈夫!!

1つくらい良いでしょ。ちゃんと後でお金は返すんだからさ。今からあの話題の海に行くんだから、別に買ったって」


「ちゃんと後で水着代返しなよ。あっ、早く行こうよ。電車に乗り遅れるよ」


なんて会話をして歩いている。

彼氏に無断で金を借り、高級水着を買うなんて……。

しかも、これから水着を買った帰りに、その話題の海に行くつもりなのだろう。

ナンパをしてみる価値はありそうだな。

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今回の話もどうかあなたの暇潰しとして役にたちますように…。 気に入っていただけたら是非評価でもポチッと押していただけませんでしょうか。モチベーションに繋がりますので…。星1でも構いません!! ★これ以外の作品☆付喪神の力で闘う付喪人シリーズ
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