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合格発表

　どれくらい気を失っていただろうか？

気がつくと俺はベットの上にいた。

ここは病室だろうか。

傍には英彦と駒々、そしてウサギが座っている。

「明山さんよかったー。生きてる」

二人とも泣いている。

一人は仮面で顔が隠れているので本当に泣いているのかよく見えない。

そもそも、何故俺は病室に寝かされているのだ。

なんだか記憶が飛んでいる。

「どうして俺はここに？」

「明山お前は八虐の一人と戦って呪いを受け、倒されたんだ」

「『悪夢の再来』は下手したら死んでしまうほど恐ろしい呪いです。死亡確率は60パーセントほどですが、効かなかったみたいですね」

何それ怖い。

「あれ？黒は？」

周囲を見ても黒はいないみたいだ。

正直に言えば黒にはお見舞いくらい来てほしかった。

「黒さんですか。外にいるみたいですが………。

あっ、そうだ。あとで黒さんにお礼を言っておいてくださいね」

そうか無事か。よかった。

俺は安心しきっていると、駒ヶがこれまでに何があったかを教えてくれた。

「あいつは自らにかけられた呪いをといてお前をここまで背負ってきたんだぞ。

しかし、あいつは凄いな。

自分にかけられた呪いを意図も簡単に解いたんだからな。

普通なら解くのは難しい呪いのはずなのにな」

普通なら解くのが難しい呪いを簡単に解除した。

黒ってそんなにすごい奴だったのか。

「あっ、そういえば八虐の野郎は？」

「あいつはまだ見つかっていない。恐らくもう遠くに逃げたんだろう。

そして、あいつが何をしていたか詳しく分かっている者はいない。

でも、あいつと突然現れた巨大なスライム。何か関係があるのだろうか」

英彦達は知らない。

恐らくそのスライムはあいつが出したのだろう。

明山はあいつにスライムがなついてた事を思い出した。

ブ………って奴はいったい何者だったのか。

結局、奴の本当の正体は分からなかったなぁ。

　「それと明山さんお知らせがあります」

言いにくそうな事でもあるような顔で英彦が話してきた。

見ると英彦と駒ヶの二人の手にはサンチュウが着けてある。

それはつまり俺以外が合格できたということ。

「そうか。良かったじゃないか。おめでとう」

俺もあの時あいつと戦わなければ今頃は…………。

「明山さん何を勘違いしてるんですか？あなたもですよ」

「えっ！？俺も？」

英彦は明山にサンチュウを渡してきた。これが俺のサンチュウ………。

「言っちゃいけないかもしれませんが、あの巨大なスライムが出てきた時に皆逃げ出したんです。

その時に討伐数を稼ぐことができずに時間が過ぎてしまったお陰で、ギリギリ合格ラインに到達されてたんですよ」

へー、そんな事があっても中止にはならないのか。

付喪連盟はどうかしている。

本来なら中止にすべき案件なはずなのに……。

しかし、英彦の説明を聞いてると、これって……と思う節があった。

「待てよ……と言うことはつまり俺は試験に?」

「はい、その通りです」

「よっしゃぁぁぁぁぁ！！！！！」

遂に俺は付喪人の？免許を再取得できたと言うことだ。

──────────

ここは何処かの城の中。

王の間に八人の者達が集っている。

その中の一人の者が司会を勤めていた。

「今日をもって我らと共に今まで戦ってきた仲間の一人であるブ………。えっと？」

せっかくのお別れ会だというのに名前を覚えられていない。

その事に彼はもう諦めていた。

「あっ、もういいです」

「……………とにかく我らの仲間であるこいつが退任することになった。今までありがとう」

二人は硬い握手を交わす。そこで周囲からの拍手がパチパチと鳴らされる。

「今日で退任すると言うことがまだ信じられていないよ」

「お疲れ様。最後まで仕事。ご苦労様だったな。

あと、これ。今日はいないがリーダーからの手紙だ。受け取れ」

「皆いろいろと今までありがとう」

「そして、今日もう１つ発表がある。

先日やめたあいつの席と、今日退任するお前の席に入る者についてだが………」

扉を開け二人の者が入ってきた。その姿はドアの奥の光で隠されており、その素顔を幹部達は確認するのに時間がかかった。

１人は女性。もう１人は男性。

「さぁ皆、仲間の新たなる人生への門出と新入への祝いを込めて晩餐会を開催する！！！」

晩餐会の宣言から、一晩中行われる晩餐会は様々な生き物の阿鼻叫喚の叫びによる音色が響き渡っていた。