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第五回 関門

8. 7月14日(土)


 さて。復路は新門司港からフェリーで。

 実は、今日の予定で確定しているのは、それだけ。そして出港が夕方なので、それまでは適当にドライブして時間を潰すことにした。


 まず目を付けた行先は、角島(つのしま)。「死ぬまでには訪れたい絶景スポット」と呼ばれているそうだ(誰に呼ばれているかは不明)。初めから時間に余裕があるスケジュールなので、宿のあるJudasの街を10時頃に出発。文字通り雲一つない晴天の下、野越え山越え町越えて、角島を目指して走る。ただ、「角島」という標識が出てくるのはかなり走ってから。それ以前は「特牛」(「こっとい」、と読むそうです)を目指して。

 〝特牛〟と書いて「こっとい」。何故こう読むのか気になって、帰ってから調べてみたら。結論を言うと、理由は不明、らしい。けど、古語で「牡牛」のことを「ことひうし」といい、これがなまったという説が有力な模様。なお、「牡牛」を「こっとい」と読むのは、西日本では普通にあるみたい。


 さて、それはそうと、角島の入り口に当たる「角島大橋」。これこそが、日本で最も美しいと呼ばれる橋だそうで、それを撮影する為に(?)、海士ヶ瀬(あまがせ)公園がある。観光客はここにきて、橋と島を撮影している。

 ところで。私は風景写真が好きだ。山が好きだ海が好きだ空が好きだ。雲が好きだ花が好きだ樹々が好きだ。橋や船といった人工物も外せない。けど、海に限定すれば、一番好きなのは、まず暗礁(あんしょう)()いだ海に、そこだけ白く泡立つ暗礁は、絶好のシャッタースポット。そして今日みたいに、雲一つない晴天と、空の色と区別がつかないような海を隔てる水平線。興奮して変な汁が溢れるほど、好物だ。

 観光客が、橋に向かってレンズを向けている中で、私は一人、水平線に向かって夢中でシャッターを切った。


 そして、いよいよ島の中へ。といっても、ビューポイントと思える場所を見つけたら車を止め、カメラを構え。

 まぁある場所で、絶好の砂浜だと思ってカメラを向けたらそこは海水浴場だった、というのもあったけど。えぇ、関東東海方面の海水浴場に、男が車で一人でやってきて、浜辺に向かってカメラを構えたら、その瞬間に通報されて連行されるだろう。けど、ここではそう言った気配もなく。けどファインダーの真ん中に、ビキニの美女を捉えた瞬間、さすがに自重してカメラを下すことを選んだ(その直前に右手の人差し指に力が入ったかどうかは、ご想像にお任せしますが)。


 角島灯台を見物し、それから(おもむろ)に下関の町へ。海岸通りの国道191号線は、むしろ動画で撮影したくなるくらい景色が良かった。

 そのまま時間に余裕があったので、彦島へ。とはいえここはまぁ「行ってきた」というだけで終わったけど。


 カーナビは、関門海峡を渡るのにトンネルを(くぐ)るように指示してきた。が、ここまで景色を楽しんでいた人間に、外が見えないトンネルを潜れとは、莫迦を言う。という訳で、設定されたルートを無視して関門橋へ。壇之浦PAでランチ。

 予定では、新門司ICで降りて港まで走る予定だったけど、時間もあるという事から門司ICで降りる。ナビも新しいルートを指示してきた。

 が、そのルート。何故か山道を指示してきた。それも、車一台行き違いも出来ないような細い道だ。不安になりながらルートを辿っていくと。


 道が、二又に分かれていた。そして、一方は「工事の為通行止め」という。ナビは、縮尺の関係上どちらを指示しているのかわからない(ナビ上は一本道)。この「工事の為通行止め」というのが、先日の豪雨の所為であれば、こちらがナビが指示する道であり、その道は通行止めだから引き返すべき、という事になる。が、通れる道の方がナビの指示する道であれば、そのまま走れば新門司港に着くことになる。考えた挙句、通れる道を走ることにした。

 はい、間違い。途中何ヶ所か、法面(のりめん)が崩れており、道を間違えたことは明らかだった。しかし、Uターンすることが可能な場所は無く。仕方なしにそのままその道を走っていった。ナビはしきりにUターンを勧めて。それどころか、ナビの地図は、その先行き止まりを示していた。

 その、地図上の行き止まりの少し手前。民家があり、そこの入り口というべき場所に、ちょっとした空間があった。そこを利用すれば、Uターン出来るかも。そう思って、敢行してみたところ。結論、無理。四苦八苦しているときに、その民家の方が出てきてくれて、事情を知ったら「この道をもう少し先に進むと、三差路がある。そこでUターン出来るよ」と教えてくれた。感謝!

 なお、Uターンした後でナビが指示したルートは、その山道自体を否定するものだった。なら何故このルートを指示した(苦笑)。ちなみに、後で地図を確認したところ、当初ナビが指示した道は「県道260号線」。うん、こんな道を県道指定するな!(笑)。


 本当は、時間に余裕があったから、門司の町も観光するつもりだったのだけど、それで気力が尽き、真っ直ぐ新門司港を目指すことにした。

 が、ここで私は、とんでもない勘違いをしていたことに気付いた。

 フェリーの出港時間は、午後7時。そして出港の2時間前には港に着いていなければならない。

 が、「午後7時」を「17時」と勘違いし、その2時間前、15時(午後3時)に港に着く予定でスケジュールを組んでいたのだ。更に観光予定を一つ省略したことで、港に着いたのは午後2時前。フェリーの乗船待ち駐車場で、それから3時間、ただただ時間を潰さなければならなくなったのでした。


 日差しを遮るものの無い駐車場で、雲一つない炎天下。そこで3時間時間を潰し。ついに乗船受付が開始された。

 けど、私はWebで予約していた為、他の乗船客が車検証を抱えて受付の列に並んだのを横目に見ながら、タッチパネルで数十秒。あっさり乗船券を受け取り、また車に戻ることが出来た。なお、Web予約だと割引も利く。

 更に1時間以上待ったけど、ここまでくるともう待つのも苦にならず。そして、乗船。

(2,479文字:2018/07/23初稿 2018/07/23投稿予約 2018/07/28 09:00掲載 2018/07/29「門司IC」と「新門司IC」が逆だったので入れ替え)

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