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第二回 往路

4. 7月12日以前


 予定では、12日朝2時起床・朝3時出発。カーナビが予測する所要時間は、13時間だから、これで到着予定は午後4時。

 しかし、予定は一週間前から破綻した。「西日本豪雨」、正式名称「平成30年7月豪雨」だった。山陽道は土砂流入の為通行止め。復旧の見通し立たず。中国道も、一部区間通行止め(10日に解除)。

 関東の人間にとって。「西日本」という地域は、「東京都」と同じくらいの範囲に思えてしまうこともあるらしい。だから、広島の豪雨災害の結果、G氏のいる「辺境県」も水没している、とうちのお袋は連想してしまったようだった。旅行中止を勧奨される。


 もっとも、うちのお袋には前科がある。20年以上前の話だが、フロリダに旅行した際、「キーウェスト」でダイビングをしよう、という話になった。現地のダイビングスクールを予約し、ちょうどいいからライセンスも取得しよう、と。

 で、その為の宿をどこで取ろう? という話になった時、「フロリダキーズ」の真ん中あたりの島にあるコンドミニアムを予約したのだ。

 フロリダキーズ。フロリダ半島からキーウェストまで連なっている、列島の総称である。その全長、実に290km。

 が。「アメリカ東部地図」で見ると、その長さわずか1cm程度。だから「大した距離ではないだろう」と考え、だから「フロリダキーズのどこに宿を取っても同じ」と判断してしまったのだという。結果、現地にいた約一週間、私は毎日100km運転してキーウェストに入り、ダイビングをして、また100km運転して宿に帰るという日々を過ごすことになったのだった。なお。その場所に宿を取った当人は、ついに一度として、その100kmの行程を、起きたまま過ごすことはなかったという。


 閑話休題。そんな状況だから、出発前に宿とGさんに連絡を取り、現地の状況を確認することになった。

 Gさん曰く、「問題なし。但し秋芳洞は水没しているかも」。今回の企画のついでの観光先として外せないスポットが、水没?

 そしてホテル。辺境県秋芳洞の目前にある「Sロイヤルホテル」に予約(レコン)再確認(フォーム)ついでに確認。ホテルの予約はネット経由だった為、また災害事情もある為、再確認の電話をしたのだ。返信は、「問題なし。秋芳洞も水没してはいない」。オールオッケイ。


 そして、12日がやってきた。


5. 7月12日(木)


 朝2時起床・朝3時出発。の予定に合わせて、前夜はかなり早く床に就いた。けど、眠れない。

 遠足前の小学生かよ、と自嘲しながら、無理やり眠り、就寝出来たのは午後10時頃。そして、当然のこととして寝坊した。

 飛び起きたのは、4時。すぐにシャワーを浴びて(一日中運転する訳だから、朝シャワーを浴びておかないと後で大変なことになる)、荷物をつかんで出発したのは、その30分後だった。


 天気予報では、東京地方は曇りのち晴れ。明け方に雨が残るかも、とのこと。

 確かに出発したときは道路がまだ濡れていたし、車を出したらフロントグラスに何粒かの水滴が当たった。まだ名残が残っているのか? と思っていたら。

 東名道厚木ICを越えたあたりから、土砂降り。時速100kmで走行中、車輪が空転(スリップ)したのは果たしていつ以来だろう? けれど、さすがはTSS。その状況でも車輌がコントロールされていたのには驚いた。

 それはそうと、長距離運転の場合、2時間おきに必ず休憩を入れることを自分に義務付けている。疲労による集中力の低下は、自覚してからでは遅いからだ。その一方で、わずか5分、車から降りて足を動かすだけで、かなりリフレッシュ出来る。

 が、さすがに土砂降りの中で休みたいとは思わない。出来れば休憩予定地点に着く頃には、雨が止んでいてくれればいいのだけど。

 そう思っていたら、箱根の山を越え、御殿場に入り、第二東名に乗った頃には、雨はまばらに。最初の休憩地・静岡某SAでは、雨は止んでいた。


 二回目の休憩地・伊勢某SA。三回目西宮某SA。

 ちなみに、カーナビは、この頃まで山陽道の通行止め情報をまだ拾っていなかった。一方NEXCO西日本の広域災害情報では、中国道が迂回路に設定されており、距離別料金の適用は中国道を利用しても山陽道(最短距離)を利用したものとして計算するとのアナウンスがあった。


 四回目、岡山某SA。

 休憩中にG氏の作品の感想欄を見てみると、私の襲撃計画が漏れていた(笑)。

 まぁ私の活動報告に「カレーを食べに行ってきます」と書いていたから、G氏の個人情報解析済みの読者様方にはわかって当然のことだったけど。

 そして彼の活動報告には、某読者さんが「たかあきらはそろそろ出発したのかな?」といったコメントを残していた。いやいや、もう行程の半分過ぎてますって。

 だから、「今岡山」と、一言コメントを残した。


 五回目、広島某SA。

 私がGさんの活動報告に残したコメントにレスがついていた。「メリーさんみたいにだんだん近づいて行って、最後は『わたし店の前にいるの』で終わるのだろうか?」とのことだったので、それに乗ってみることにした。

 「私どんぶらー。今広島にいるの」。〝どんぶらー〟は、まぁ彼の感想欄・活動報告コメント欄に於ける、私の愛称(?)みたいなものだ。


 そして六回目。このあたりで休憩のタイミングが難しくなってきた。

 というのも、広島を越えたあたりから、さすがに疲労と集中力の低下を自覚するようになってきた。やはり時間にして8時間、距離にして700km。このあたりが私のピークラインのようだった。残りは3時間・300km。

 だから2時間おきの休憩というスケジュールを崩し、1時間おきに休憩を取ることにした。また中国道も工事(法面(のりめん)補修等)で車線規制が続き、これまで以上に神経を使う行程になっていたのも休憩を増やすことにした理由の一つだった。


 辺境県M市秋芳洞着、18時。(「秋芳洞」言っちゃったら「辺境県」て仮称する意味がない? まぁそのあたりはお約束、ということで)

 ちなみに、彼の活動報告には「メリーさんがだんだん近付いてきて、通り過ぎて行っちゃった」ネタを振ってみたら不発だった。残念。

(2,502文字:2018/07/16初稿 2018/07/23投稿予約 2018/07/25 09:00掲載予定)

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