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魔法世界デ魔法ナシ  作者: ヴァニ
第1章
13/16

スーパーメガトンギャラクティカパンチ

 


「真っ暗だね、何もないね」


「ん?フィリスには見えないのか?」


「え?またシュウにだけ何か見えてるの?」


「ああ……これがケルベロスの力の源かもな」


 歪んだ空間に入った二人がみたものは異なるものだった。


 フィリスにはなにもない壁も天井もない真っ暗な空間、シュウにはそこに緑色に光り輝く一メートルほどの巨大なクリスタルが空中に浮いているのが目に映っていた。他にはなにもなく心配していたトラップや敵もいないようだ。


「フィリスちょっと手を出してくれないか?」


「こう?」


 とシュウはフィリスの差し出した手を宝石のほうに向け手のひらを広げる。


「フィリスいくぞ! せーの!」


 フィリスはシュウがしたいことを悟り、


「アローファイナァ!!」


 フィリスの手の平から炎の矢が放たれ宝石に直撃する。


「なにかにあたった?!」


「ダメか…」


 シュウがそうつぶやくとその視線の先の緑色の輝く石はびくともせず何事もなかったかのようにそこに存在した。


「う~ん…」


「ねねシュウ? 何があるの? フィリスにも教えて」


 シュウが見えているものをフィリスに教えると、


「え~フィリスもみたいなぁ…。シュウだけずるい…。でもシュウにだけ見えて魔法がダメならシュウなら壊せるんじゃないかなぁ」


「おお…フィリスは天才だな! よしじゃあやってみるか」


 と冗談半分で石に近づき、


「スーパーメガトンギャラクティカパーンチ!」


 となんとなく技名を叫びながら左手で思いっきりぶん殴ってみる。


「いってぇえええええっ!」


 じ~んと左手がしびれまるで分厚い石の壁を殴ったように痛かった…。


 しかし…シュウの左手とクリスタルが接触した箇所が一瞬光るとクリスタルを中心に空間全体にガラスのように亀裂が入り始めた。


「ゔえええええっ!」


「うああああ、スーパーメガトンギャラクティカパンチすごーーい!!」


「フィリス驚くとこそこじゃねええ!」


 ――どうする?自分でも予想外の威力のパンチだったか!


 とあほなことを思っている間に緑色の巨大なクリスタルは音もなく粉々に砕けちる。それと同時に白い光の亀裂が大きくなり地震のように部屋全体が激しく揺れだす。


「え~とこのパターンははやく逃げないとまずい系じゃないか?」


「ねえねえ」


「ん?」


「なんかもうフィリスにも見えるんだけどすごいきれいだねえ」


 とフィリスの視線の先を見ると砕け散ったクリスタルから無数の小さな光が上に向かって飛んでいた。


「なんだ…これは…?」


 と考える暇もなく周りからパキパキッと音をたて真っ暗な空間全体が亀裂だらけになっていく、


「これはまずいだろ絶対!フィリス急いでここをでるぞ!」


 シュウはフィリスを抱きかかえ急いで入ってきた場所から飛びだそうとしたときシュウの耳にたくさんの声が囁くように語り掛けてきた。


「ありがとう…」


 ――空耳か?いやでもたしかに…聞こえたような?


「フィリス今なにか聞こえたか?」


「うん、みんながありがとうっていってるよ。シュウに感謝してるみたい」


「ん?みんなって誰だ?」


 とフィリスが困惑した顔をしたと思うと笑顔で、


「ん~わかんない」


 というフィリスに、


「そっか」


 とシュウは笑いながら返した。





 ××××××××××××××××××××





 イリーネの目の前で体の中心からゆっくりとケルベロスが再生されていく。


「まったく……」


 イリーネは自分の最後を悟った。手足を動かそうにもやはり動けそうにはない。再生を終えた真ん中のケルベロスの顔が大きく口を開け動けないイリーネに噛みつこうとする。イリーネは死を覚悟した。そのとき、


「アルウォーナァァ!!」


 ケルベロスの顔に激しい水流が直撃する。イリーネが声のほうへ視線をやるとぼろぼろの状態のリンが辛うじて立っていた。


「リンッ!!」


「バアだけ…死んじゃだめなのです…」


「たわけ…なぜ起き上がってきたのじゃ…」


「バアが死んだらリンは一人になっちゃうです…そんなの…そんなの…リンは絶対いやなのです!!」


 リンは瞳から涙を流しながら精いっぱい声を荒げる。


 ケルベロスが標的をリンに変え大きく口をあけながら猛スピードでリンに突進する。リンに避ける力が残っていないのは見るからに明らかだった。


「バア…リンをここまで育ててくれてありがとうなのです」


 リンはイリーネに笑顔を向ける。


「バカモンが…わしを………なめるなよ……」


 体を動かせないイリーネが辛うじてだせる力のない声でケルベロスを睨み呪文を唱えだす。


「大気に漂いし…雷光の…力よ我が…言葉にて目の前の敵を封じよ…雷痺!!」


 その瞬間リンの前で口を開けた巨大なケルベロスの体に電気がほとばしり動きを止めた。


 ――わしの命よ…まだ逝ってくれるなよ…まだかシュウ…。


「長くは……もたない…早く逃げるんじゃリン!」


 動けないケルベロスを見たリンはふらふらとイリーネのもとへ駆けつける。


「逃げろと…言うたじゃろ…バカもの………リン…すまぬ…」


 イリーネは目を閉じ意識を失った。


「バア!!バアああ!!」


 リンは泣きながら叫び続ける。。と同時にケルベロスの魔法は解け二人のもとへ襲い掛かる。リンは両手を大きく広げイリーネの前に守るように立ちはだかる。目の前にはケルベロスの大きな牙がいまにもリンを貫こうとしている。魔力も尽き動くこともままならないリンは目をつぶりガタガタ震える足の震えを抑えながら最後の時を待った…。


 だがいつまでたってもくるはずの痛みは来ない。もしかして自分はもう食べられてしまったのではないかと恐る恐る目を開くと…


「うわあああ!!」


「きゃあああ!!」


 その瞳に聞き覚えのある二つの声と見慣れた姿が飛び込んできた。












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